ギース・ハワード外伝
〜孤島の鬼〜

絵、声共に小板橋篤記さん



東洋の荒ぶる魂の国、日本へと来日したギースは、
ジャパニーズマフィアの持って来たリストの中から
山田十平衛、不知火半蔵といった名を残す武道家ではなく、
孤島の鬼と呼ばれる素手の殺し屋の老人をターゲットに選んだ。

「私は万能の部下など欲してはいない。
私の望みは万能無敵の自分自身になることだ」

「凡百の格闘家として市井に生きられぬ夢想家め。
わしの手慰みになってこの場で肉塊となって果てよ!」

孤島の鬼

ギース・ハワードの才を見た孤島の鬼は、自分の拳をこの男に託す気になった。
しかし、敵が現れてもギースはそれを殺そうとはしなかった。
“殺せる”者と“殺した”者とでは天地の差がある。

「貴様の技の甘さの原因はな、ギース・ハワード!
貴様がまだ人を殺したことがないということだ!
真の強者たろうとする者は殺人など厭いはせぬ!」

帝王vs殺人鬼

「狂嵐迅撃掌!」

孤島の鬼の繰り出す殺気の塊を、ギースは受け、
そのまま咆哮と共に背後に投げつけた。
孤島の鬼は大地に首を抉り取られ、そして死んだ。

用が済んだギースは、死を受け入れ、恐れ、
技を残そうなどと考えた鬼を嘲笑し、その場を去る。
真の強者ならば死への恐怖などは皆無。
死すら支配するのが帝王、それがギース・ハワードの答えだった。

「この先、私の手で触れる者は全て滅びることだろう。
この手が死を与えることとなろう。
いや、ギース・ハワードの名が死そのものとなるのだ……!
ハハハハハハハハ!!」



戻る