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ヱヴァンゲリヲン新劇場版 -サウンドインパクト-
PSP バンダイナムコゲームス アンノウン・シンクロアクション |
アンノウン・シンクロアクションと銘打たれたヱヴァンゲリヲン新劇場版:序、破の音ゲーである。
映画そのままの映像が高画質で流れる中、
今更語るまでもない素晴らしいサウンドの数々で音ゲーがプレイ出来る。
しかも今作は音ゲーにしては珍しく、6タイプものゲームが楽しめるのである。
と書くとビジュアル、サウンド共に最高品質なうえにボリュームまでがありそうだが、
実質、6つあっても結局は音ゲーなのでリズムに合わせてボタンを押すだけであるし、
実際は僅か2時間足らずでエンディングを迎えることになる。
逆に6タイプもあるせいかバランス調整がゲームごとに滅茶苦茶で、
もはや心の壁が高すぎて我々人類が最後まで到達出来るのか疑問(かつ面白くない)モードや、
何故かNORMALよりHARDの方が圧倒的に簡単なモードがある等、
本当にテストプレイを行ったのかさえ首を傾げざるを得ない。一部はリズムに合わせる必要すらない。
結論から書くと3000円なら凡ゲー。1500円なら良ゲー。500円なら神ゲー。
初回限定生産版(11,530円)なら僕はもう、誰とも笑えません。
確かに映像は映画からの流用は当然として、一部3Dで作られた使徒戦のシーン等も
かなり忠実に再現されている様子が見受けられ、ビジュアルレベルは非常に高い気がする。
気がするのだが、プレイ中に背景アニメを見ている余裕などないのでクオリティの程は判別出来ない。
自動演奏モードもないため、自分でプレイしながらのアニメーション認識は不可能である。
そればかりか画面が真っ赤に染まって押すボタンが見えない等、邪魔ですらある。
さらに今作は全モードシンクロ率が100%に突入すると巨大な文字で「
暴走」とフラッシュが入り、
その間、押すボタンの認識が困難になる。
頑張ったはずなのに不利になる。
400%に突入するとまた「
覚醒」とフラッシュするので暴走、覚醒付近になればシンクロゲージを見ておき、
一瞬、視覚を失う覚悟を決めて事前に押すボタンを認識しておく必要があるのである。
邪魔である。
サウンドは新劇場版仕様なので「残酷な天使のテーゼ」「魂のルフラン」といった有名曲こそないものの、
「Beautiful World」がないのは残念だが、新劇場版の曲だけでも充分に満足出来るだろう。
一応、クラシックは収録されているので、旧エヴァ気分もほんのり味わえる。
ただ問題は今作のメインと思われる、曲に乗せてA.T.フィールドを割って行く「AT」モードのSEで、
これが実にショボい。雪の上がった朝、子供達が長靴で生き残った氷を踏んで遊んでいるかのような音だ。
ハリウッドスターならA.T.フィールドの100枚くらいは一気割りでビルから脱出出来るに違いない。
実はこのSEは原作そのままのものを使用しているそうなのだが、
エヴァのSEで印象的な物と言えば実際、A.T.フィールドで攻撃を“弾く”音くらいなので、
熱心なファンでもなかなか気付かなかった人も多いのではなかろうか。
いずれにしても爽快感がないので、音ゲーならではの誇張表現が必要だったかと思われる。
さらにPSPのスピーカーとあってはこのSE問題は深刻なので、
今作をプレイする際にはイヤホン、ヘッドホンが必須と言えよう。
※初回限定生産版は特製イヤホン付きです。
また、アスカの名場面を振り返るモードの曲が「今日の日はさようなら」なのは、悪質な嫌がらせと言えよう。
序、破共に金曜ロードショーで放送されるなど、昨今、一般業界にまで
市民権を得て来た感のあるEVANGELIONの世界だが、今作はそんな世相を反映してか、
全体的に非常にスタイリッシュなデザインとなっている。
一時期の、オタク層ですら反応に困るギャルゲーもどき共とは一線を画している。
この「ヱヴァンゲリヲン新劇場版 -サウンドインパクト-」ならば隠れエヴァオタの彼氏が、
「実はオレってエヴァオタなんだよねー」と彼女に見せたところで逆に好印象を持たれるだろう。
ただし、イケメンに限るのは言うまでもない。
クリア特典のご褒美もキャラクターを模した弁当、いわゆるキャラ弁の画像等、
今までのエヴァゲーにはない、まったく新しいものであり、彼女が、
「ちょっと今朝、お弁当作り過ぎちゃって……」と彼氏に手作り弁当を手渡す口実にすることが可能だ。
彼氏も「初号機の味がするよ!」等と手作りキャラ弁に大喜びしてくれるに違いない。
ただし、美少女に限るのは言うまでもないが、オシャレで今風のエヴァゲーを手に取ってみたい、
でもなかなか踏み出せない彼氏、彼女達には最後の切り札となってくれるだろう。
※初回限定生産版はオシャレな特製Tシャツ付きです。