前作(>プロ野球スピリッツ4)でほぼ完成の形を見たプロスピ。
今回はロード、暗転の大幅な短縮と共に、今までとは赴きの異なる調整が成されている。

変化は進化

何を置いても、CPU打者がボール球を振るのである。最高難易度の99でもだ。
これは明らかに今までのプロスピとは違う。
今までは高難易度のCPU打者はボール球を
まるでサイン盗みでもしているかのように見切っていたため、
なぜかストライクからストライクのフォーク等で勝負せざるを得なかったのだが、
今回、追い込んだ後は、ストライクからボールになる変化球や、
高め低めに投げ分けての釣り球勝負が基本になった。
加えて、現実さながらにクソボールを振ることもある。

これによって、現実さながらの配球で打ち取ることが可能なうえ、
ボール球で釣りながらカウントを悪くし、渋々四球を出してしまうというシーンも増えた。
これぞリアルである。逃げのピッチングの真骨頂。
当然、CPUとてただやみくもにボールを振るだけではないのだ。

今までもこの調整は可能だったのだろうが、ただ、デメリットを考えて破棄されていたのだろう。
当たり前の話で、CPU打者が弱くなってしまうのだ。実際、今回のCPU打者は弱い。
しかしその分、今回は投手の方が、コントロールによって、狙ったコースへ決まり難くなっている。
コントロールが最悪の投手などはベストピッチでも平気でブレるのである。
完璧な攻めをすれば弱いCPU打者を打ち取るのは容易だが、
そもそも完璧な制球が難しい
、というのがプロスピ5での投打のバランスとなったのだ。
今までのように神経質なまでに配球に気を遣う必要はなく、
投手本意で最高のピッチングを心掛ければ良い。

この変更はどうか? と言われれば、YES!! だろう。
何にしても、リアルにボール球で仕留められるバランス、というのは果てしなく大きく、
プロスピはまたしても革命を成し遂げた、ひいては、
リアルプロ野球のバランスにますます近付いたと言えよう。
また、前作より外野フライが出易くなった、というのも投打のバランス面で大きな改善ポイントである。
軽く当たった感じでも外野に凡フライが出易い(=犠牲フライも打ち易い)

もうひとつ特筆すべきは、盗塁関連のバランスである。
盗塁とは盗むか刺すかではなく、走れるか走らせないか、であったのだ。
何というリアルっぷり。これを実現しているのは牽制の重要性だ。
今回、CPU走者を牽制で刺せる。それも一度や二度ではなく、走るのを読んで足止め出来るのだ。
CPUを牽制で刺すというのは野球ゲー熟練者でも多くの人が初めての経験だろう。

自分が走る場合も同じく、今回はどの選手がよく走っているかAIが学習しているらしく、
走っている走者が出た場合はCPUが執拗なまでに牽制して来る。
牽制3球後、もう来ないだろうと走ったらウエストされてアウト、等が頻発するため、簡単には走れない。
CPUは絶対に走らせない気迫で牽制、ウエストを駆使し、
プレイヤーはそれを掻い潜ってスタートを切る勇気を要求される。
この駆け引きがあればこそ、しつこい牽制にまったくイライラしないのだ。むしろ闘志が沸く!

そして、普段走らないような選手が塁に出た場合はしつこい牽制が来ないため、
ジャストでスタートを切れば無警戒を突いて盗塁成功を奪い取ることも出来る。
現実でもたまに見る、さして足の速くない選手が無警戒を突いて〜というプレイを再現出来るのだ。
反対に、CPUにそれを決められることもあり、盗塁の駆け引きがとにかく熱い。

進化の余地はまだあるのかい?

ある内野安打がとにかく出難いのだ。
深い当たりをショートが遠投してギリギリアウト! というバランスは素晴らしいのだが、
それにしても内野安打が出ない。これでは左の俊足打者特有の嫌らしさが皆無だ。
この原因は、まず高いバウンドが出ないことが挙げられるだろう。
3のようにバウンドしない、ということはないのだが、現実はもっともっとバウンドし、
野手が捕った頃にはもう、ランナーは駆け抜けている――ということも全く珍しくない。
ワンバウンドで野手の身長を越え、外野へ抜けて行くこともある。
しかし、プロスピ5では高いバウンドでも野手が捕ればもう、ほぼ100%アウトである。

ボテボテや深い当たりでも極めて内野安打にはなり難く、やはり左の俊足が怖くない。
加えて一塁に駆け抜けるスピードも遅過ぎで、
それに伴ってゲッツーの頻度が現実より大幅増しになっている感が否めない。
この辺のバランスは修正が必要だろう。

もうひとつ、流し打ちの強振で逆方向にHRや外野の頭を越える当たり、フェンス直撃等、
これら大きな当たりが極めて出難いのも問題だ。
これは前作でもそうだったのだが、今回、ペナントの“オート難易度変動機能”によって、
まず数試合で投手がベストピッチオンリーになってしまうため、際立って感じる。
元々飛ばないうえ、ベストピッチ相手だとますます飛ばないのである。
もはや流し打ち強振が意味を成すのは左打者が三塁線を狙う場面のみと言っても良い。
例外は、超パワー+広角打法を持つウッズくらいのものである。
他の広角打法持ちはパワー不足で本来の効果を発揮出来ていないので、ここも修正を期待したい。

さらにもうひとつ、これも前作からなのだが、とにかく処理落ちをどうにかして頂きたい!
目押しが命に関わるこのゲームで定期的に処理落ちが訪れるのは致命傷だ。

最後、今回、捕手が動いたり演出が強化されているのだが、この辺はまだまだ強化して欲しい。
相変わらずバット折りやハーフスイングがないし、
インコースを攻めすぎたら雰囲気が悪くなったりとして欲しい。
イレギュラーバウンドしたり、打球がベースに当たったり、野手が交錯したり等、
アクシデント的な要素ももっともっと追加して頂きたいところだ。

ただ何にせよ、今回の新作で、前作よりさらに面白くなったのは間違いない。
順当に過去最高の出来と思って良いだろう。

高反発球を推奨してみる?

今回、はっきり言ってかなり簡単である。
普通にやっていたらすぐに極めてしまい、レベル最強のCPUを安定して抑えることが出来る。
ならば、ボールで打高投低に調整しようという提案。
ボールを高反発球にすると……これが、打たれる! ノーマル球よりは。
投手陣が揃って絶不調に陥った場合などはかなりの苦戦を強いられるはずだ。
加えて、先の逆方向での大きな当たりも出易くなることになる。バランスが崩れることは一切ない。

さらに超高反発球にまでしてしまうと、現実さながらの速度で打球が抜けて行く!
さすがにこちらはバランスがクラッシュしてしまうものの、このスピード感は爽快。
あまりにもCPUが打たない場合は使ってみるのも良いかもね。