西暦199X年、突如勃発したタイピング戦争は、一人の救世主の登場により終結を見た!
世に言う、激打世紀末戦争である!
人々は一時の平和を取り戻した――かに見えた!
しかし、新世紀200X年、世は再び暴力が支配する時代になった!
そして人類は、再び救世主の到来を待ち望んでいた。
その男こそ、タイピングによりキーボードの経絡秘孔を突き、
人体を内部から破壊する一子相伝の暗殺拳、北斗神拳の伝承者、ケンシロウであった!
今ここに、タイピング新世紀救世主伝説が始まる!

千葉繁氏のナレーションが言うにはそういうことらしい。
知らぬ間にタイピング戦争だとかキーボードの経絡秘孔だとかが復活している。

しかし、そんな千葉繁の言う意味の解らない言葉とは裏腹に、
今作は至ってストイックに、原作に忠実に作られている。
絵は原作絵をカラーにしたもので、漫画的なカットインがセンス良く随所に挿入されるし、
声優陣もケンシロウ、ラオウ、カイオウ、トキ(アミバ)、シン、サウザーが旧アニメキャストとなっている。
当然、名台詞も千百九ある経絡破孔すべて突く勢いで飛び出し、バトルに華を添えてくれるのだ。
「北斗の拳問題」というのが加わったのも嬉しい要素で、
今まで何の脈絡もない言葉を打っていた物が原作の名台詞となるのだから、
これが盛り上がらないはずがない。難しい漢字にはふりがなも完備されている。完璧だ。
ここまでやってなぜキーボードの経絡秘孔にこだわるのかが逆に解らない

ただし、反対に言えば先に挙げた以外の漢達はキャスティングが違う、ということになり、
そこに、例え累計50万本を売り上げていても決して砕くことの出来ぬトリスターのケチぶりが伺えよう。
シュウなどはユダと二役である。パッケージの通り、天を打つ怒りに身を震わせると良いだろう。

北斗の拳 激打 3 + 激打オンライン・タイピングバトル30日間無料版

以下、各モードを紹介しよう。

激打新世紀創造伝!!

vsハート様より始まるいわゆるストーリーモードである。
ハート様、シン、レイ、ジャギ、シュウ、サウザー、トキ、ラオウ、ファルコ、カイオウと、
錚々たる強敵達との一対一での死闘が始まる。その際に挿入されるドラマパートも見所だ。
修羅の国編までをカバーしている北斗ゲーは大変珍しく、貴重な作品と言える。

今回のタイピングバトルは対戦が意識されており、ケンシロウも相手も条件が近くなっている。
相手にもそれぞれに三つの奥義が用意されているのである。
これを使用されると繰り出された拳の形にアルファベットが迫ってきて、
タイピングで撃墜しなければダメージを受けてしまうのだ。
これがかなり難しいのだが、その分、根こそぎ撃墜した際には技を見切った気分を味わえよう。
これぞ北斗神拳 空極流舞! 空気の動きを知り、流れに逆らわずに跳ぶ。

ただし、一部キャラの奥義は迫ってくるのがアルファベットではなく、



断末魔となっており、しかもその間抜けな絵面とは違い見切り猶予時間が非常に厳しい。
いちいち「!」まで打たねばならぬのがそれに拍車をかける。
よって見切るのは至難の技だが、
高速で「たわば!」や「もぽえー!」等と打つのが得意な漢は挑戦してみるのも良いだろう。

激打覇者決闘伝!!

キャラクターを選んで勝ち抜きの対戦を行うフリーバトルモードである。
ケンシロウ以外にもきちんと奥義やアニメーション、多数のボイスが用意されているので、



コマと字幕で豪快に名前が違う壮絶な誤字(断相殺拳)があったりしつつも、
新鮮な気持ちで闘うことが出来る。
ストーリーモードでもそうだが、相手が奥義を使った際に後出しで奥義を使い、
相手の奥義を無効化するなど、戦略性もある。
しかもこのモード、ラオウとトキ、シュウとサウザー等、
因縁の対決にはそれぞれストーリーモードのようなデモが入るのだ。
このタイピングゲーとは思えぬ凝り具合に肌が粟立つことだろう。

しかしこの激打覇者決闘伝、死合が三本先取の勝ち抜け固定なので、
必ずいずれかが三勝しないことには勝利にならない。一戦一戦が非常に長い。
あまりのテンポの悪さにその場で発狂して死んでしまいそうになる。
なぜこんな程度のことがオプションで設定出来ないのか、人の世の限りなき哀しみに涙した。

激打覇乱外列伝!!

ジードを蹴散らすジード軍の章、ハート様を倒すハート様の章
ジャギの銅像を壊すジャギの章、新秘孔を究明するアミバの章、レイでユダの部下と闘うユダの章と、
ろくでもない連中にそれぞれ専用のオマケモードが用意されている。
ハート様などはストーリーモードにもやられ役として出演しているので、ここでダブっている

なぜ何度も何度もハートを倒さねばならぬのか、なぜユダでなくユダの部下と闘うモードなのか、
そもそもなぜこんな連中をメインに5つものモードが用意されているのかはなはだ疑問だが、
用意されているのだから全霊を以ってことに当たらねばなるまい。

尚、激打伝統の内臓の件だが、今作ではハートとジード軍のみ内臓がはみ出す。
原作は表現の割にあまりグロくは感じない北斗の拳だが、やはりフルカラーの内臓はそれなりにグロい。

本当に、本当によくできた激打なんです!!

以上、非常に良く出来た北斗激打シリーズの決定版なので、
ある程度、タイピングの出来る漢はこのソフトに触れ、大いなる激打の生涯を伝承すると良いだろう。