JJ画伯
美形会議XI
「やぁ! 餓狼伝説の美形キャラ、アンディだよ!」




「もうわざわざ説明すんのも何やの!?っちゅー感じやねんけど、
 わいがNBCの美形キャラ、誇り高き最強の虎こと
 ロバート・ガルシア様っちゅーこっちゃで、ホンマに」



「…………」




「右京さんや」




「サムライスピリッツの美形キャラ、橘右京さんだね」




「ほな、美形会議を始めまひょか。
 今日のテーマは何や? 前回はまぁ…… ああいう形になってしもたさかい、
 今回はきちんとテーマを持ってそれをこう、煮詰めていかへんとな」



「それがですね、最近また少し悩んでいることがあって……」




「何や? またかいな。お前さんも色々と大変やな。
 そない悩んでばかりおったらご近所からのあだ名が“眉間にシワの人”になってまうで?
 親友のわいが聞いたるさかい何ぞ話してみ」



「……うむ」




「あ、ありがとう、二人共……
 美形会議を私物化するようで気が引けるけど、
 僕もみんなに聞いて貰わないともう自分を見失ってしまいそうで……」



「そない水臭いこと言うなや。
 お前の悩みはわいの悩みも同然や。
 お前の物はわいの物。わいの物もわいの物やで」



「……うむ」




「ええ、実は……」







「OH! アンディさん! イェア! アンディさんじゃないデスか!」




「き、君は…… ボブ君! ボブ・ウィルソン君だね!?」




「ハーイ! お久しぶりデース。
 最近、KOFでも見かけないので心配してマシタ」




「い、いや、それは大人の駆け引きというヤツでね。
 あまり安売りしても僕の価値が軽くなってしまうだろ?
 だから少しばかりファンを……
 あれ? この夢、前にも見たような……」


「HAHAHAHA!!」




「いや、何を笑ってるんだい!?
 それにどうして僕の夢にキミが頻繁に現れるんだい?
 冷たいようだけど、僕らは取り立てて親しい間柄でもないと思うんだ」



「確かにそうデスネ。
  しかし、その分だけワタシ達には可能性があるのではないでしょうカ?」




「可能性!?」




「…………」




「!? なぜ僕の横に座るんだい!?」




「…………」




「そしてなぜ僕の手を握るんだい!?
 もっと離れていても会話は出来るし、そもそも手を握る意味はないだろう!?」




「……アンディさん」




うわあああ! 来るなああああああああぁぁ……!!







「と、こんな夢を見たんですよ……」




「(笑)」




「……ふっ(笑)」




「な、何を笑ってるんですか!?
 僕の話のどこに笑うところがあったと言うんですか!?
 お前の物はわいの物じゃなかったんですか!?」



「いや、笑ってへんよ(笑)」




「笑ってましたよ!!
 というか、今も笑ってるじゃないですか!!」




「いやいや、で何や?
 その悩みっちゅうんは栃木の郷土料理の“しもつかれ”でイメージ検索したら
 グロ画像どころかホンマもんのゲ……」



「い、一体何を言いかけているんですか!?
 栃木の方々に失礼じゃないですか! 全然違いますよ!
 それに僕の悩みとも全然関連ないじゃないですか!」



「ハハハ(笑) まぁまぁ、アンディ。そう肩肘張らんと。
 そない怒鳴ってばっかおったら声優はんがノド痛めてまうで?
 ピンキーやるさかいにコレで元気出したったれ」







「おほほ、ピンキーはホンマかわええのぉう」




「……ほぅ」




「な、何ですか、一体」




「何や、知らんのかいな?
 今若者の間で一番ナウなアイテムっちゅうと、
 龍虎の拳外伝限定版のロバートコインかこのピンキーやな。
 日経はんのKOF完全読本のときにギャラで貰うて来たんや。
市販版やないねんで? 10周年キャンペーン特別版やで?」


「そういうことを言っているのではなくてですね」




「おっと、お前さんにやるんは舞ちゃんの方だけやからな。
 アテナちゃんはわいの取り分や。
 まぁホンマは当然ユリちゃんが良かったんやけども、
 アテナちゃんもこう、何ちゅうか、その…… かわええのぉう。
いやかわええっちゅうかもう、萌えるな


「い、要らないですよ!
 萌えフィギュア族でもあるまいし!」








「……あぁ!?」




「お、おまっ! ちょ……  お前は何をやっとんねや!?
 わいのピンキーちゃんの首がもげ…… 殺人事件やないかい!」




「あ、いや、壊すつもりはなかったんですが、手が当たってしまって…… すみません。
 あ、でも、これはこう、最初から首が取れるようになってるんですよ。
 色々とパーツを組み合わせて自分だけのピンキーを楽しむのが
 ピンキーストリートの特徴であり、売りでもありますからね。
こうやったら…… こう、ほら、首なんてすぐにはまるんですよ」


「あ、ホンマや。
 お前さん何やお人形遊びに詳しいねんな」




「そういうわけじゃ…… それより、僕の悩みの話で」




……!?




……!?




「ど、どうしたんですか!?」




「お前、それ…… ちゅうことはやな……
 舞ちゃんのバディーにアテナちゃんの首を付けれるっちゅーことちゃうんかいな!?」




「……おお!」




「ま、まぁ、そういうことも……」




「ちょっ、ちょうアンディ、やっぱ舞ちゃん返したってくれ」




「だ、駄目ですよ、何をする気なんですか」




「いや、何もせぇへんて。
 何もせぇへんからちょっと舞ちゃん返したってくれ、それホンマに」




「駄目ですって。その鼻息で何もしないわけがないでしょう」




「いや、そないお前が思うとるみたいに
 舞ちゃんとアテナちゃんの首差し替えて
 露出の多い舞ちゃんコスのアテナちゃんとか作ったりせぇへんて」



「だからそれをやる気なんでしょう? 白状してるじゃないですか」




「いやいや」




「だから駄目ですってば。アテナさんは真面目な方なんだから」




「うっさい、ボケ! ええからさっさとよこしゃええんじゃい!!
 お前の物はわいの物じゃ! よこせ、早よ! ホンマに! ボケ!」




「……カッ!」





……!?




……!?




駄目だって言ってるでしょう!!




「……い、いや、そない冗談やがな。
 そない餓狼1時代みたいなかすれたエコーボイス出してまで怒らんでもええやんか」




「いや本気でしたよ、ロバートさんは」




「ま、まぁ、ええやないかい。
 ピンキーはもうしまおう。今日は会議やねんからな。
 ピンキー遊びはいつでも出来るさかいに、 
 今は今しかでけへん事に全力を傾けるんや。
それが今を生きるわいら美形キャラの美学みたいなもんやからな」


「……はぁ」




「で、何や? ボブやらいう輩とのヤヲイ本で悩んどったんやったかいな?
 ヤヲイ本言うたらヤヲイ本の帝王であるところの八神やな。
 ほな八神、アンディに何ぞためになるヤヲイ本のアドバイスでも送ったってくれ」



「…………」




「…………」




「……あぁ? 八神がおらへんやないかい!
 せ、せや! よう考えたら今回、最初から来てへんがな、あいつ!
 何やあいつ、おらなんだらおらなんだで意外と存在感なかったんやな……
 マジで全然気付かへんかったわ……」


「…………」




「ちょう電話するさかいにちょい待ったってくれ。
 八神の番号…… “や行”はどこかいなっと。お、あったあった。
 もしもーし! 八神はんのお宅でっかぁ?」



「ハァ〜イ♪」




……!?




……!?




……!?




「おまっ、お前はあの…… 梅酒…… アッシュ・クリムゾンやないかい!」




「ウフフ…… 残念だけど、今日は八神クンはここには来れないヨ」




「ま、まさか、お前が八神君を!?」




「いや、ボクが遊びに行ったら今日はお腹が痛いって言ってた。
 ボクは正露丸置いて帰ったんだけど」




「あ、そう」




「そないなことはお前、どうでもええんや!
 お前、この会議のタイトル知っとってツラ出しとるんか!?
 美形会議やで! ブサ顔会議やあれへんねんで!!」



「……ブサ顔?」




「それでなくてもお前、わいはお前には一言言うたらんと
 気ぃ済まへん思いをずっと持っとったんや!!」




「…………」




「……(チラッ)」




「聞いとんのか!? わいの技をぎょうさんパクリよってからに!
 こちとら法廷沙汰も辞さん覚悟やねんで!!」




「……ああ♪」




「ちょ、お前ホント聞いとるんか!?」




「……今、何で僕の方見て“ああ♪”って言ったんだい?」




「ねぇそれよりサ♪ これ美形会議なんでしょ?
 それで、気になるんだけど、ここで誰が一番美形ってことになってるのかナ?」




……!?




……!?




……!?




「……そりゃあ、お前、なぁ? 暗黙の了解っちゅうかなぁ?」




「……ええ、ですよね」




「……うむ」




「♪」





「わいやろ」
「僕でしょうね」
「ほろよいの しらねの美酒に……」


……!?




……!?




……!?




「……うふふ、ちょっとロバートさん、よく聞き取れなかったなぁ。
 前から言おう言おうと思っていたんですけど、
 ロバートさんは英語のナマりが少々キツすぎるんじゃないですか?」



「……いや、すまんな、アンディ。
 耳掃除もせんと会議に出てもうたさかいに、
 今日のわいはヒヤリングの調子が悪いねんな。
 お前さんの美しいENGLISHも何やよう聞き取れへんかったわ」


「いやぁ、僕の方こそ、これは申し訳ない。うふふふ……」




「ほっほっほっほっ」




「……ぬぅ」




「ねぇ、そこでボク良いモノ持ってるんだけどサ♪」




ボブ!?




「??? ボク良いモノ持ってるんだけど、見る?」




「……何や?」




「ウフフ♪ はいコレ」








「……んおっ!?」




「……これは!?」




「……!?」




「KOF NEOWAVEのオンライン使用キャラランキングなんだけどサ♪
 これで上位の人が一番美形ってことで良いんじゃない?」




「……た、確かに!
 このランキングはまさにプレイヤーの意思による人気投票に等しいじゃないか!」




「せ、せや! これで上位のキャラがすなわち美形キャラの頂点と言っても
 過言やあらへんで、ホンマに!
 こらアッシュ・クリムゾン、お前、こらえらい画像を持って来たもんやで!!
 ブサ顔やのに」


「ウフフ♪ メルシー♪」




「……じゃ、じゃあ早速、僕の順位を確認させて貰おうかな。
 えっと、1、2、3…… と」




「ほほほ、アンディはお前さん、下から数えた方が効率ええんちゃうの?
 ほなわいはやっぱり本命っちゅうことで、一番上に名前出とるんかいなぁ?」




「……むぅ」




「ん? 右京さん、どないしたんでっか?」




「命脈が ありて我が剣 かがやけり」




「ああ、そうですね。それより僕の順位は……」




「……むぅ」








「……あ、あった! 9位だ! ベスト10に僕が入っている!!
 僕がベスト10ですよ、ロバートさん! 右京さん! アッシュ君! ィエー!」




「おめでとー♪」




「何やと!? ほんならお前、わいは流れ的にベスト3以内やないとオカシイやないかい!
 わいは…… わいは…… わいの名前は…… と。ああ……」




「…………」




「…………」




「♪」




「な、ない!? わいの名前がないやて!?
 これはお前、どういうこっちゃ! どないなっとんねや!
 SNKプレイモアはまたこんなとこでバグ出してもうたんかいな!?」



「ランク外ってことじゃないですかね」




「みたいだね♪」




「お前、それ…… ランク外やと!?
 この龍虎の拳及びNBCの美形キャラであるところのこのわいがランク外やと!?
 どういうこっちゃねん、コラ! そんなわけあるかい!!」



「いやぁ、やっぱりファンは正直ということじゃないですかね? ハッハッハッ!
 見てくれてる人は見てくれているんですよ。
 普段のこの、誠実さや…… そうだな、飾らない性格とかをね。
 あ、でもロバートさんも結構、良い線行ってるとは思いますよ。
 僕ほどではないにしても、まぁ僕の次辺りには来るんじゃないでしょうか?」






「ん? これよう見たら使用率やなくて勝率のランキングやないかい」




「……え?」




「あ、ホントだ♪」




「何や、お前そんなことも気付かんと持って来てもうたんかいな。
 罪作りなやっちゃで、まったく」




「ウフフ♪」




「アンディはお前さん、良かったなぁ、強キャラで。
 わいはほら、相手の力を120%引き出してから闘うスタイルやろ?
 風車の理論って言うの?
 せやからお客はんのウケはええけども、勝率はあんま伸びひんねんな。
せやかてさっぶいファイトで勝率稼ぐっちゅうんも、美形キャラのスタイルとは言えへんしなぁ。
難しいとこやで」


「…………」




「ほな、一息ついたとこで休憩入りまひょか?
 わいちょっと用足し行きとうなって来てもうてからに」




「ボクもご一緒させて貰おうかな♪」




「……あ、じゃあ僕も」




「…………」







「すまん、一身上の都合で遅れてしまった、八神だ。
 まだ美形会議はや……」





「…………」


「ってはいないようだな、さすがに。まぁ仕方が無い」








「ぬぉ!? 何だ、これは! 何か転がっていたぞ」





「…………」


「しまった。誰の持ち物かは判らんが首が外れてしまっている。
 ボンドなしでくっつけば良いのだが……」





「…………」


「む? 穴を合わせるだけでくっつくのか。ほぅ、なかなかよく出来た人形だ。
 だがどっちがどっちだ? ワケが解らん」





「…………」


「……こんなものか」





「せやからそこでわいのガン待ちが冴えてやな?
 お前なんぞに龍斬翔はもったいないわぃ!
  しゃがみアッパーで充分や!言うてMr.BIGのハゲ頭に……」



「ウフ♪ やっぱり今のトレンドはガン待ちだよね♪」




「……はぁ」




「何だ、貴様等、まだ居たのか。これは貴様等の人形か?」








……!?




……!?




「……おお! おおおおぉ……!! ちょ、超・萌ゑ……ガハァ! 死ぬ!!




死ぬ!?




「右京さん!?」




「大丈夫ですか、右京さん!?」




「右京さん?」






右京さん!?