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剣サムで「サムライ剣劇、ついに完結!」と謳ってはみたものの、
あれは“2Dのサムスピが”完結という意味ですよ、
という終わる終わる詐欺の果てに四度3D化したサムスピシリーズ最新作。
2D格闘の名残りを完全に捨て去り、バーチャファイタータイプの3D格ゲーとなった。 |
覇王丸が風神拳、雷神拳、奈落払いで択を迫り、
新主人公猛千代が鉄山靠を打ち込むような、そんなゲームになったのだ。
しかしこの閃サム、一見して現代レベルのHD3D格ゲーグラフィックか? と言われれば、
単純な見た目に加え、モーションの滑らかさやダイナミックさ、説得力で明らかに一線級に劣っている。
しかも画面が暗すぎて見難い。首が相手の顔へ動かないので絵的に不気味。
今回の閃サムは天誅シリーズも手掛けたK2の制作なのだが、どうしても一世代前の印象を受けてしまう。
第一印象で3D格ゲープレイヤーを惹き付けることは不可能だろう。
バーチャや鉄拳、ソウルキャリバーがあるのにわざわざ一世代前のゲームをプレイする意味はあるまい。
ならば自慢のキャラクターでサムスピプレイヤーを惹き込むしかないのだが、
モデリング(というか顔)に難があるし、何と今回、ゲーム性の完全3D格ゲー化に伴って、
3D格ゲーにそぐわない必殺技はキレイサッパリ消去されているのである。
それがそのキャラの代名詞的な技であってもだ。
とりあえず、2Dでのあの技が最新3D映像でどれだけ派手になったのかなっ!
といった期待はあまり持たない方が良い。
というか、受け継がれた技も、概ね
2Dより地味になっている。
各キャラ“怒爆発中専用技”という大技を持っているはずなのだが、
これがあまりにも地味過ぎて、もはや
技が出たことに気付かないレベルである。
え? 今のが“怒爆発中専用技”だったの!? と逆に驚かされるキャラが大多数。
レバーによるコマンドの先行入力が一切効かない操作感にも違和感が残る。
旧キャラが駄目ならば新キャラクターで釣るしかないのだが、
これがまたヒロインの鈴姫以外、とことん地味にデザインされている。
まったくオーラがない。
町ですれ違っても気付かないレベルである。
3D格ゲーお約束の2Pアレンジコスチュームもない。
旧作にあったような鎖鎌や石柱、傘、筆、何かよく解らんデカい拳みたいな手甲? 等、
一度は使ってみたくなるような特殊な武器を持っているわけでもない。
何がそのキャラを象徴する技なのかもほぼ全ての新キャラがよく判らない。
そもそも、
こんな
ふんどし男が主人公という時点で
どうかしている。
大斬りHIT時に毎回見せられる↑の絵はもはや嫌がらせのレベル、
いや
明らかに嫌がらせである。売る気がまったくない。
設定的にも何故か別世界のはずのキム・カッファンの祖先がいたり、
左利きのキャラが右手で刀を振っていたり、
アスラ斬魔伝の後っぽいのに右京が未だに生きていたりとよく解らない。
誰か教えて欲しい。
しかもこのゲーム、2008年4月17日に稼働したにも関わらず、全技表が公開されたのが、
何と
2008年8月8日発売の闘劇魂で初出というのだから驚きだ。
技も判らずに3D格ゲーがプレイ出来るはずがない。まったく流行らせる気がない。
アングル演出を用いた3D格ゲーの見せ場とも言うべき投げ技が、
全キャラ共通でただの膝蹴りというのも酷い。
何気にこれが一番酷い。
しかもその膝蹴りで何故か体力ゲージが
1/4弱も減ってしまうのだから不条理さに拍車をかける。
通常斬り一発の
6倍ほど減っている。とても正気とは思えないバランス感覚だ。
ダメージバランスの不自然さは空中コンボ補正にも表れていて、
これは空中コンボが(キャラによっては)繋がり過ぎるために導入された下方修正の補正なのだが、
実際は空中コンボというか、もうとにかく
浮いてさえいればダメージが1/3程度にまで落ち込む。
いわゆるジャンプステータス技が無駄に攻防一体。
ヤバくなったら何となくジャンプすればカスダメージで安心だ。
また、ショボいしゃがみ蹴りで
通常斬りの3倍減ったり等、とにかくダメージ設定がオカシイ。
システムは、上段だが軸移動に強い横斬り、中段(一部例外有り)だが軸移動に弱い縦斬り、
それ+蹴りというソウルエッジ(キャリバー)等、3D武器格ゲーでお馴染みの構成になっているので、
やはりわざわざ同じシステムで内容の劣るこの閃サムをプレイする人間は稀だろう。
なまじ中身は3D格ゲーの基本に忠実に出来ているせいで、尚更わざわざ今作を選ぶような特徴がない。
よって、今作が大コケしたのはもはや言うまでもないのだが、
食わず嫌いせず、いざ対戦してみると、これが、あれ? 面白い……?
そう、不思議と面白い。
その肝は今作唯一の特徴にしてサムスピの象徴、大斬りシステムで、
横斬り、縦斬りのパワーアップ版である横大斬り、縦大斬りが実に爽快だからなのだ。
そのダメージは距離や怒爆発等で変動するが、だいたい1/3から5割弱くらいの体力を奪い去る。
大振りながら、うっかり喰らってしまうと試合展開が一変するので誰と立ち会っても気が抜けない。
しかしぶっ放しで喜んでいるようではまだまだ閃サムの真髄を知ったことにはなるまい。
この大斬りの一番気持ちの良い当て方は、相手のコンビネーションを軸移動で避けて縦大斬り!
相手の下段技を下段弾きで弾いて横大斬り!
という、完全にしてやったりの一発をぶち込んだときにこそあるのだ。
当然、これらを決めるには軸移動で割り込める相手のコンビネーションのポイント、
途中で下段の混ざるコンビネーションを覚えなくてはならず、
それ故に大変、しかしそれ故に圧倒的な爽快感、そしてダメージを得ることが出来るのである。
大斬りの魔力に憑り付かれしサムスピファンがこの閃サムをスルーするなどと、
実に勿体のないことなのである。
ここはひとつ騙されたと思ってやってみませんか……? 閃サム。
バランス B 空気 B |
キャラ差はあるが、読みと共通システム、
キャラ対策でカバー出来るのでバランスは悪くない。
弱キャラを使っても闘い抜くことは可能だろう。
というか、全キャラキャラ対策してる人がいるのかも怪しいゲームなので、
弱キャラでもレアキャラならネタ殺し、ワカラン殺しが充分通用するとか
そういうことを言ってしまっては身も蓋もない。
絵的に地味なので気分的な盛り上がりは薄いが、大斬りの緊張感で、
当人同士はギャラリーにはまるで伝わらない地味な盛り上がりを味わうことが出来る。 |
PICKUP
Type X2 |
鈴姫
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あまりにも地味過ぎて名前を覚えるのも困難な新キャラが名を連ねる中、
唯一輝いているのが今作堂々のヒロインたるこの鈴姫だろう。
特注の
ミニスカ着物に身を包み、身の丈に迫るような巨大なバスタードソードを
ふらふらしながらも豪快に振り回す14才の金髪ツンデレお姫様。
性能もお手軽空中コンボにお手軽三択、お手軽起き攻めも装備して、
実にお手軽に強い露骨な入門用――いやさ、
釣りキャラだ。釣られたロリコン野郎も多かろう。
ゲーマガで小説(鈴姫閃翔絵巻)が連載されたり、ヌードフィギュア(抱き枕カバー等セット)が出たり、
ケータイで脱……着衣ゲームに出演したりと、
(主人公がクソの役にも立たないので)あらゆる分野で閃サムを牽引している今作最大の功労者だ。
しかし、
ゲーム中の顔は
必ずしも可愛くはない。
今作は強面の男顔を基準に作っているのか、無理やり目を切開された少女キャラは、
どう見ても整形失敗顔である。北千里画伯のイラストとあまりにも違い過ぎる。
この辺もいくら鈴姫で釣ろうと今作に人が付かなかった原因の一つだろう。
さらに唯一派手でけれん味のある新キャラクターと思われたこの鈴姫が、
SNKギャルズアイランド 花かるた おしえてくださいで見せた水着姿は、
「鈴姫はミニスカ着物を脱ぐと誰だかまったく判らない」という致命的な欠点を浮き彫りにし、
実は鈴姫のデザインも地味だったのか? との疑惑を募らせた。
しかし、文字通りの意味で身体を張り、身を削って閃サムを売り込んだこの鈴姫を、
一体誰が責めることが出来ようか?
否、出来るはずがない。
誰にも彼女の努力を否定することなど出来はしないのだ。
よく頑張った、鈴姫! ありがとう、鈴姫!