今でもまだ夢で見る。 俺の手を振り切って死を選んだアイツ。 アイツが何故、最期に笑顔を浮かべていたのか本当の意味は俺には解らない。 きっとそうだったのだろうなどと考えても、それで鎮まるわけでもないからだ。 結局、似た者同士だったのだろうとは思う。 なのに、近づけば近づくほど遠くへ霞んで行く。 その先で“理解”してしまうからだろう。“宿命”はもう終わったのだと。 見たこともないはずなのに、アイツの技を次々と身に付けて行く少年。 アイツの息子の成長は嬉しかった。 血の成せる業だとか、そんなロマンティックな奇跡じゃないことは俺にだって解る。 何かの力に、祝福されているのか、あるいは呪われているのか、そのどちらかでしかない。 それでも強くなるアイツの息子は俺には誇りに思えた。 いつ超えられても良い。ただ、その日が待ち遠しかった。 |