SCENE 22 レイに呼び出される
第参話 「それぞれの思い」
夜、眠るアスカの傍にぼんやりと座っていたシンジが呼び出しに気付き、携帯を手に取る。
相手は綾波レイだった。明るく話しながらもどこか不安定な様子のレイ。
シンジがアスカの看病をしていることは知っている。
だがそれでもシンジに会いたいと、レイは声を押し殺して告げた。
様子のおかしいレイを心配し、シンジは眠るアスカへすぐに戻ると声を掛け、走り出した。
第五章 ふたりで迎える夜
色々と含みを持たせていたわりにシンジそっちのけで
寝転がってテレビを見ながら菓子を食っているまさに駄主婦状態のアスカ。
「テレビばっかり見て、楽しい?」とこれにはシンジも呆れ顔だ。
そこでシンジの携帯が鳴った。相手は綾波レイ。今にも泣き出しそうな寂しい声。
着飾ったドレスを見せたいと言うレイは駅の改札口で待つと告げ、電話を切った。
レイに会いに行くのか、このままアスカと過ごすのか、
揺れるシンジが取った選択はコミック版に倣って綾波レイとした。
ちなみに四章をすっ飛ばして五章になっているのは間違いではなく、
演奏会ルートが四章となっているからである。
SCENE 23 レイと逃避行
第参話 「それぞれの思い」
レイの待つ駅へ到着し、軽く話をするシンジ。
とりあえず何もないようで安心するが、そのやさしさでレイが動いてしまった。
シンジの腕を取り、強引に電車に乗り込むレイ。
海へ出て歩く。楽しそうなレイにシンジの気も緩む。
だが、それでもアスカが心配なことには変わりはない。
それに感付いたレイは沈黙し、静かに自分の生い立ちを語り始めた。
エヴァの適格者を排出するための人為的な生命。
父もなく、母もなく、実験の為に養成される自分。
寂しいと思ったことはなかったが、それでも今の暖かさとは比べられない。
ついに打ち明けた「好き」という言葉に、シンジは驚きを隠せなかった。
一方の目が覚めたアスカはシンジがいないことに気付き、
病気を押して外へ捜しに出ていた。フラつく足元。
それに気付いた、たまたま外に居たケンスケはアスカをおぶって彼女の家まで運び、
さらに好きだと告白するという奇行を働いていた。
第五章 ふたりで迎える夜
駅へ着き、
「綾波、かわいい!」とドレス姿にはしゃぐシンジ。
さらに
「電話がうれしかった、僕には夢みたいだったから」と巧みな口説きが始まり、
ならアスカに構わずに演奏会へ行ってろよ…… という思いばかりが頭を走り抜ける。
その言葉に喜ぶ綾波レイは明らかに
騙されていた。
アスカがまだ家で待っている。
話の途中でシンジがそう切り出すと、レイは終わりを悟って涙を浮かべた。
ここで選択肢。アスカの元へ戻るか、レイと逃避行に出るのか。
コミックがレイを選んでいるのでここでもレイを選択することにする。
「綾波の行きたいところへ、行こう」
途端、笑顔で電車に乗り込む綾波レイ。どうも騙されていたのは
シンジだったようだ。
中学生とは思えぬハイレベルな駆け引きである。
港町へ出る二人。
見つめる海には街が沈んでいるらしい。この世界でもセカンドインパクトはあったようだ。
「下着も全部、新しくしてきた。夏の思い出が欲しいの」
女傑、アスカにも負けぬ挑発的なセリフで誘惑するレイ。
鋼鉄のガールフレンドと銘打っている今作だが、
ガールフレンド達のガードはコンニャクのように
緩い。
しかし、誘われたシンジが手を握ろうとすると、「こういうの苦手」と
唐突な心理変化複雑な乙女心を発露させるレイ。心まで鋼鉄に武装する乙女。
好きな男の子と手も握れない自分。まだ時間が欲しい。
別れ際のレイはどこか寂しそうだった。
家へ戻るとすでにアスカの姿はなかった。
残されていたのは
「電話はしないで!」というメッセージだけ。
残された時間が、すれ違いながら削られて行く――