前作(
>プロ野球スピリッツ2)で野球ゲームの完成系を提示したプロスピ。
それがあまりに完璧だったために逆に次回作が心配でもあったのだが、
今作では無難に進化していた。さらに完璧へ。野球イズム、全開。
尚、ここで触れている解説の難易度設定は、CPU投球、リアルスピードの“強い”
他は“スピリッツ”にしています。そしてPS2版ね。
前作からの進化
■モードが増えた
増えたモードについてはめんどいので
公式サイトを見てください。
■難易度選択の幅が増えた
非常に大きい追加要素として、ボールスピード変化の段階が増えたのと、
投打守備走塁でパワプロのようにそれぞれ個別で難易度を設定出来るようになったことがある。
これによってまず間違いなく自分の腕に合ったバランスを自分で設定可能である。
■盗塁が目押し命になった
前作での盗塁は出来る選手は出来る! 出来ない選手は出来ない!
といった割とデジタルなバランスになっていたのだが、今作では目押しが大事になった。
ピッチャーが足を上げた瞬間に完璧な目押しをすれば、少々の足の遅さはカバー出来る反面、
これをミスると足の速いランナーでも刺されてしまう。
しかし、ピッチャーの足が動いた瞬間に集中していると今度は牽制で刺される。
これが本当に騙される。そして牽制を気にしてスタートが遅れると結局また刺される。
そう、プロスピ3はおそらく
牽制が普通に強い初めての野球ゲームなのである。
歴代通じてほとんど無意味特殊能力だった“牽制○”が今作ではきちんと武器になっているのだ。
ただ単に盗塁に目押しが必要になっただけなのだが、これはリアルならではの進化と言えよう。
反面、CPUがウエストして来ないのがちょっと気になる。
■ブロックサインシステム
従来の野球ゲームではエンドランをかけようとすると自分でランナーのスタートを切りつつ、
そのままバッティングも行わねばならなかったため、操作が非常に忙しかったのだが、
今作では事前にサインを出しておくことでランナーが勝手に走ってくれるようになった。
また、バント時もバントのサインを出しておけばゴロゴーで最速スタートを切ってくれるため、
やはり打者と走者を一辺に操作せねばならなかった過去の野球ゲーより遥かに機能的だ。
それでもたまにバント失敗でゲッツーになっちゃう絶妙なバランスが素敵。
■苦手な球種がさらに使えなくなった
前作では例え性能の低い球種でもベストピッチさえ完璧なら
ボールの当たり判定を最小に出来たのだが、今作ではそうはいかない。
ベストピッチ時のボールの当たり判定も“球威”に依存するようになったのだ。
よってショボイ球種はどんなに完璧なリリースを行おうと決め球に使うのは難しい。
まさに駄目な奴は何をやっても駄目システムに進化したと言えるだろう。
当然、打者は絞り易くなったことになる。
■守備が簡単になった
前作では打たれた瞬間に目測を付けるのが難しく、
外野で突っ込み過ぎたり下がり過ぎたりといったミスが頻繁に起こったのだが、
今作では滞空時間が長くなった(?)のか、落下地点に入り易くなった。
■ポテンヒット連発がなくなった
前作ではピンチになればなるほどCPUにポテンヒットを打たれるため、
せめてもの対策として内野を下げたり外野を前に出す必要があったのだが、
さすがに不自然なまでのポテンぶりだったので今作では修正されている。
■ファールが多くなった
ファールになることも、CPUがファールを打つことも多くなった。
前作ではケースが少なかったように思うので、
より現実的にファールでカウントを稼いだり出来るようになったことになる。
とはいえまだ足りない。もっとファールになっても良いと思う。CPUに10球くらい粘られたいのさ。
■ボールの軌道がリアルになった
“リアル打撃ポイント”というオプションが追加され、
これを選択するとピッチャーがボールを離した辺りから打撃ポイントが動く。
一番解り易い例で行くと、千葉のサブマリン、
アンダースローの渡辺俊介投手の投げるストレートは
リリースポイントである低めから打撃ポイントが動いてストライクゾーンに入って来る。
つまり従来、打撃ポイントの移動がなかったストレートでさえ、
ピッチャーの投球フォーム、リリースポイントの差異によって変化球のようにポイントが動くのだ。
そう、
渡辺俊介のストレートは実質ナナメ上に曲がる変化球となったのである。
これがサブマリンの強さか! と現実さながらに苦労すること間違いなし。
また、サイドスローのストレートも独特の軌道を描くし、
サイドからのスライダーは曲がり幅が物凄く大きく見える。
パラメータ上では冴えないスライダーでも充分、一流クラスの脅威となるのだ。
さらにオーバースローのストレートは若干沈むようになっている。
ついに
投球フォームによって打ち易さが変わるシステムが提示されたのだ。
が、ストレートでそんなにポイントが動いたら打てないんじゃないのか? と思われるかも知れない。
確かに“ノーマル”から“リアルサポート”にするだけでも難易度は上がるのだが、
実際、別に打てないことはない。リアルスピードでも慣れれば普通に打てる。
ストレートのタイミングでバットを振って、後は着弾までの微修正でなんとでもなるのだ。
断言するが、
“リアル”の方が絶対に面白いので妥協せずにチャレンジするべきだろう。
リアルスピードでも慣れれば〜と書いたが、
実際はリアスピの場合、渡辺俊介レベルの変化以外は
沈んだと視覚で認識出来ない。
速すぎて沈む過程が見えないので結局、普通に近い感覚で打てることになるのだ。
むしろリアスピ推奨?
また、このボールの軌道は投げる場合にも影響し、
アウトローギリギリにストレートを投げても沈んで普通にボール判定になる。
サイドスローのスライダーなどは“リアル”にした途端に物凄い曲がりを考慮しなければならないので、
それこそ(右vs右の場合)打者のインコース寄りに投球ポイントを置いて投げる必要があるのだ。
このボールを操っている感覚が何とも新しく、確実に前作から進化したポイントだろう。
ちょっと感動してしまうような美しい軌道の数々。これはまた素晴らしい発明だ。
少なくとも投球は絶対に“リアル”で。スライダーもちゃんと沈んでるよ。
■球種によってフォームが変わる投手が!
小宮山がシェイクを投げる際のフォームが違う!
バグ、全開
完璧とさえ思えた前作をさらに煮詰め、もはやプロスピには一分の隙もないかと思いきや、
なんと痛い痛いバグやデータミスがちょこちょこ顔を覗かせている。
中でも試合前の設定でボールを変えても主要モードでは必ず低反発球に固定されてしまうバグと、
選手データの入力ミスがされているのがとにかく痛い。
低反発球固定バグの弊害は一番判り易いところでホームランが出難いことだが、
これは実際、腕と選手性能でなんとでもなるので致命的とまでは言えない。
問題は
ゲッツーまみれになってしまうことだ。
これは低反発のため強い打球が打てず、
芯付近で打ったゴロでも余裕を持って正面で追いつかれてしまうことに起因していると見える。
ゴロで抜けるケースが少なく、また高いバウンドやライナー性の当たりも出難くなっているので、
ランナー一塁での無策なミートバッティングは
まさにゲッツーを打つためのバッティングと言い換えても過言ではない。
例え俊足の左打者が引っ張ってもゴロを打つと余裕を持ってゲッツー成立だ。
プロスピ3の主要モードに左の俊足という優位性はない。
そもそも少々無理な体勢になったくらいではほぼ肩が落ちず、
矢のような送球が出てしまうバランスも主要モードでのゲッツー量産に拍車をかけている。
そろそろランナーの妨害スライディングで一塁転送出来なかったり、
転送時に体勢を崩して悪送球になったりといったモーションの追加が必要だろう。
踏ん張って一塁転送のシーンでは選手の能力次第で肩の補正を大きく取って欲しいところである。
実際、能力の低い二遊間ではゲッツーを取るのもシビアで当然のはずだ。
また、データミスだが、これが
カブレラ(西武)が“ミート多用”になっている等、
どう考えても間違ったとしか思えないものが度々目についてしまう。
どうやら一部チームは“強振多用”と“ミート多用”が逆に設定されてしまっているらしい。
ミート多用のカブレラはすでにカブレラであってカブレラではない。
これもまたフォローの出来ない致命的なミスだ。
伊原イズム、全開
愚痴っていても始まらないので、ここではゲッツーにならないバッティングを心掛けてみる。
実際、新システムの“ブロックサイン”を使えばカウント次第ではかなりゲッツーを防ぐことが可能だ。
基本的に、ピッチャーがストライクを取って来るカウントでエンドランを掛けるのが正しい。
理想は実際の野球と同じく1ストライク2ボールからのエンドラン。
このカウントではピッチャーはストライクを投げないといけないので、
最低限バットに当てて転がせばランナーを進めることが出来る。
最高はツースリーのカウントで、この状況ではブロックサインで“オートスタート”が可能になる。
投手がモーションに入った瞬間に自動で走ってくれるため、
三振さえしなければエンドラン同様の効果が期待出来るし、
ボール球が来ても見逃せば四球なのでリスクがない。実際の野球でも多様される有効な戦術だ。
つまり、ランナー一塁の場面では俊足の左打者といえども安易に打ったりはせず、
カウントをじっくり整えてツースリーを狙うのがプロスピでのゲッツー対策と言えるだろう。
一応、待球の意味が増してはいるのでその点ではリアル。
二番打者は打率を残し難いというのがよく解るバランスである。
尚、もちろんバントしても良い。
主軸の強打者がカウントを見てランナーを進めるバッティングなんて嫌だ!
という場合は、もう何も考えずに強振で思い切り振れば良い。振り切れば良いさ!
実際の野球でも強打者とゲッツーは紙一重。恐れることはない。
この場合のゲッツーはリアルなのでむしろ自然なのである。
まだもう少しだけ進化の余地はある
もはや不満と言っても“バグを除けば”些細なレベルではあるのだが、
完璧まではまだもう少し進化の余地がある。
前述のゲッツーもそうだし、CPUがストライクからボールになる変化球を
相変わらず振り難いのもリアル志向から逸れている。
実際の野球でよくあるワンバウンドのフォークを振ってしまうといったシーンはまず拝めない。
明らかなボール球についつい手が出て空振り、というシーンもほとんどない。
よって打ち気のバッターに初球ボールになるフォークで空振りを取る!という配球がほぼ実現不能。
確かに高難易度でそんな球を度々振っていては簡単すぎるゲームになってしまうだろうが、
そこは打者の調子で大幅にアルゴリズムを変えるなどして対応してはくれまいか。
難易度“スピリッツ”でも絶不調で“普通”にまで落ちるとか。
チャンスに弱い打者もチャンス時のアルゴリズムを弱体化させれば本物っぽく見えるはず。
ついでにパワプロのメンタルシステムではないが、
打席結果で試合中に調子が変動すれば面白いのではなかろうか。
クソボールを振っていた不調の打者がヒットを打って試合中に復活、以後、神の見切りを連発!
だとか、調子表示を隠してプレイしたら面白い…… と思いません?
あ、それから秋山二軍監督を選手登録させろやぁ! 島田守備走塁コーチはいいんだ、うん。