REALBOUT美形会議SPECIAL
「やぁ! 餓狼伝説の美形キャラ、アンディだよ」




「ヘ〜イ! KOFの美形キャラ、紅丸様のご登場だぜ、子猫ちゃん達!」




「…………」




「右京さんだ」




「サムライスピリッツの美形キャラ、橘右京さんだね」




「…………」




「……遅いな、ロバートさん。
 せっかく今回はまたスペシャルだから、
 傷心の癒えた紅丸君にも来て貰ったというのに」



「何だ何だ?
 ロバート・ガルシアはこの会議からもお役御免ってわけか?」




「…………」




「……仕方がない。僕達だけで始めておきましょう。
 では、議題はこれからの美形キャラとしてのあり方、
 立ち振る舞いについてで良いですか?」



「……うむ」




「俺も構わねぇぜ」




「分かりました。
 早速ですが、やはり美形キャラは優雅でなくてはならないと僕は思うんですよ。
 どんなに女性にモテてもそれを嫌味に感じさせない。
 それが出来るか否かで美形キャラとしての格が決まる。そうは思いませんか?」


「なるほどこの俺様のことを言ってるのか。
 嫉妬すら抱かせない完全なる優美。
 確かにちょっとやそっとで達せられる領域じゃあないからな。
 すなわち格と言っても良いだろう」


「……うむ」




「そうなんですよ! 世にはびこる外れ美形キャラ達はそこがなってないんだ!
 美形は美形であって決してチャラ男ではない!
 カッコ良いのとカッコ付けは根本的に違うものだということを……」



「ハハハハハ!
 何や八神、お前もたまにはおもろいジョーク言うやないかい!
 わいから笑いで一本取るとはたいしたもんや」



「それ程でもない」




「へっ、あんまり煽てるとロクなことねぇぞ、ロバートさんよ」




「ハハハ、まぁええやないか。
 草薙、お前も好きなモン頼んだったらええ。今日はわいの奢りや。
 お前、誘拐や失踪が絶えんさかい、普段ロクなモン食うてへんやろ。
 格闘家は食うてなんぼや! 何でも頼んだったらええ」


「へへ、いや悪ぃな、ホント。
 行方不明でもゲームにはきちんと出場するのが
 その他の凡キャラと俺の違うところだがな。
 そういえば俺、前からツバメの巣ってのを食ってみたかったんだよなぁ」


「ツバメの巣なんぞでええんかいな。ええで、好きなだけ食うたったらええ。
 もしもし? カーマンか?ツバメの巣ぅ用意したってくれ。もちろん最上級のコックもや。
 八神は肉でええか?」



「ああ、肉ならいい。質にはこだわらん」




「ほな、お前の国の松阪牛やな。
 カーマン、一番高いヤツを頼むで。コックも日本人がええやろ。
 日本で一番腕が立つ料理人を呼んだれ。
 ほら、アレや。海、海原とか言うたかな?雄山?」


「あ、俺も俺も!」




「すまんな、かえって気を遣わせたようだ」




「何や、水臭いこと言うなや。わいとお前の仲やないか」




「……あの、ロバートさん?」




「おい、この椅子はここで良いんだろ?さっさと降ろしちまおうぜ」




「おお、ええでええで。
 ハハハ、いつまでもヘリに積んどっても意味ないわな。
 それに立ち話しっちゅーのも景気悪い話や。
 こらわいとしたことが、美形キャラも木から落ちるっちゅーヤツやな!」




「こらしょ、っと。
 おおぉ! さすがにオムロンは効くぜ!」




「ワンランク上の上質感を感じるな」




「せやろせやろ、このマッサージ味おうてしもたらもう他の椅子には座れへんやろ。
 持って帰って家で使ったってもええで」




「いやぁすまねぇな、何から何まで」




「近頃、暴走庵になりすぎだったからな。
 背筋のばし機能は実にありがたい」




「……おい、お前ら」




「お、八神! リモコンまで付いてるぜ!」




「ぬおお、や、やめろ!
 勝手に人のマッサージを強にするんじゃない!
 俺は中で丁度良いんだ! それ以上は徐々に慣れてか、ぅぬおおお!」



「ひぃひぃ! ひははははははは!」




「殺すぞ!」




「ハハハハ、もうそのくらいで許したったれ、草薙。
 ん、おおぉ…… やっぱこのマッサージはええな。まさに至福の時や」




「……ロバートさん!!





「ぅおっ!? 何やアンディ、おったんかいな。
 せやかてそないデカい声出さんでもええやないか。
 何や? まだわいに用でもあるんかいな」



「あ、あるに決まってるじゃないですか!」




「ああ、そか。すまんな、アンディ。
 マッサージチェアはわいらの分しかないんや」




「おっと、俺は譲る気はないぜ」




「俺も背筋のばし機能を手放すつもりはない」




「せやな。そこの…… ああ、それや。
 そこに卒業式で在校生が自分で用意して自分で座るパイプのヤツがあるやろ。
 アレ出して適当に座ったってくれ。広げるとき指挟まんよう気ぃつけてな」



椅子の話じゃない!




「……椅子は要らんのか?」




「どないしてん、アンディ。
 そない眉間にシワ寄せたかて、
 シルバーシートっちゅうわけにはいかんで」



「椅子が何だって言うんだ!
 ここは大事な会議の場なんですよ! 宴会気分ですか!
 おちゃらけるにも程がある! 冒涜ですか!?」



「せやかて…… なぁ? わいはもうポジション違いやしな。
 会議に参加するのも嫌味になってまうやろ。
 そらかなわんわ。わいのキャラやないで」



「ポジション違い……?」




「ど、どういうことですか、一体!」




「ああ、弱った。弱ったで、こらホンマ。
 わいの口から言うのも嫌味やしなぁ。嫌味な成金キャラやないねんで、わいは。
 こらごっつ弱ってしもたわ。メシもノド通らんようなってまうかもしれん。
 ツバメの巣とかあんま食いとうなくなって来た感じや」


……!?




……!?




……!?




「あーあ、晒してしもた。まいったで、これはホンマ。
 黙っとくつもりやったさかいについに知られてしもた」




「こ、これは……!」




「こいつは……」




「ハハハ、あかんな草薙は。デリカシーっちゅうもんに欠けとるで」




「……何のコラだい?」




「手の込んだコラだな」




「コラやないわ!」




「……ま、まさか!?
 本当にロバートさんにNEOGEO BATTLE COLISEUMの招待状が!?」




「一体何をしに出るってんだ!?」




「バトルしに決まっとるやろ! 誰がコラやねん!
 ちゅーか、よぅ見たら紅丸やないか。久し振りやな」




「おお、紅丸じゃねぇか。よく見たら」




「よく見ねぇでも俺様だろ! 植物プランクトンじゃねぇんだ!」




「まぁそういうわけやから、今までわいがやっとったポジションはお前に譲るわ。
 その、まぁREALBOUT設定上は美形キャラやけどその実、
 イロモノにも劣る存在感会議? やったかいな、
 細々と続けたったらええ。ギャルは誰も見てへんけどな」


「ガハァ!」




「血を吐いた!」




「右京さんが血ぃ吐いちまった! そ、そうだ! 駄目だったんだ!
 設定上は美形準主役キャラなのにも関わらず、
 イロモノへ逃げたジョー・東にすらいつの間にか人気で上回られ、
 あげくグリフォンマスク程度のキャラにも枠を奪われて
今や舞ちゃんのオプションとしてしか存在価値のないことを指摘されちゃあいけなかったんだ!」


「それは僕じゃないか!」




「右京さんに謝れ!」




「謝れ!」




「謝れ!」




「落ち着け」




「ハァ…… ハァ……
 なんだか、せっかくのスペシャルだってのにそういう空気じゃねぇな、もう……」




「まぁせやな、草薙、アレ出したったれ」





Electrolux 空気清浄機 Z7040


「俺が言ってんのは
 ヨーロッパが認めた集塵&脱臭性能でも清浄できねぇ空気だ!」




「要らねぇならコレも俺が使っちまおうかな」




「待て。
 それは入った瞬間、廃棄ガスの臭いのする俺のアパートにこそ必要な物だ」




「何だと? 俺なんかまたいつ拉致監禁されるか判ったもんじゃねぇんだ。
 監禁先の空気が淀んでたらどうすんだ、てめぇ?」




「換気扇で我慢しろ。もしくはそのまま死ね」




「ハハハ、もう一個くらい買ってやるさかいに取り合いなんぞすなや。
 紅丸にも買うたるさかいな。まぁそう僻まんと、ハハハ」




「要らねぇっつってんだろ!
 それに俺様の家も富豪で俺は御曹司なんだよ!」




「ハハハ、誰も知らんがな、そないマイナーな設定」




「おい、ヘリが来たぜ!ヘリ!
 ツバメの巣が乗ってんじゃねぇのか!?」




「おお、アレやアレや。お前らもうかなり腹減っとるやろ。
 キッチン付きの自家用ヘリやさかい、中でもう出来とるはずやで」




「着陸次第、晩餐の始まりというわけか」




「ぅおおおお! 喰らい尽くすぜぇぇぇ!!」




「喰え! すすれ! 余ったら銀紙に包めぇ!!」




「まるでお菓子の家を見せられたお嬢さんやな、ハハハ。
 京庵と並ぶ人気キャラのわいとしては恥ずかしいで、ホンマ」




「……ロバートさん」




「ん? 何やアンディ。わいらに構わんと会議進めてええねんで?
 何やったらお前も食うてもええで。
 お祭りにも出れへんキャラはこないなメシ食う機会も少ないやろうからな」



「……おめでとう!」




……!?




「おめでとう、ロバートさん!僕は嬉しいよ」




「……アンディ」




「おめでとう  ロバート・ガルシア  おめでとう」




「う、右京さんも…… そないアホな……
 こんなわいを、こんなわいを祝ってくれるんか……?」




「当たり前じゃないですか!
 僕達の中から参加者が出て、こんなに嬉しいことはないですよ!
 こんなに胸躍ることはない……!」



「……うむ」




う、うぶぅ! 右京さん、アンディ……! アンタらええ奴やな……!
 いや、知っとった…… お前らがええ奴なんは誰よりもこのわいが知っとった……
 わいが逆の立場やったら招待状に唾吐いて背中から幻影脚や……
 やのにわいは、わいは舞い上がってこないなええ仲間達を捨てるとこやった!
わいはアホや! 嫌味な成金キャラになるところやった! アホの王様や!」


「……ロバートさん」




「すまん、アンディ! こんなわいを許したってくれ!
 わいはもうお前なんぞでは手の届かへん遠いところへ行ってまうけど、
 会議やるときはいつでも呼んだってくれ! イの一番にフェラーリ飛ばすよってに!」



「良いんだよ、ロバートさん。
 今風にリファインされたNBCのロバートさん…… 素敵だよ。美形キャラだよ」




おーいおいおい! おーいおいおい!
 
ぅぅうう、お、おーいおいおい!




「僕のリファインも実に楽しみだ」




「そうか! ロバート・ガルシア程度が出場出来るってことは、
 俺達も充分これからエントリー可能ってことじゃねぇか!」




「……うむ」




「ふふふ、こんなに胸躍ることはないよ。
 次回の会議は宴会だね!」




おーいおいおい! おーいおいおい!