1993 150M 
狼は眠らない。
スーパーストリートファイター2と真っ向勝負の餓狼伝説スペシャル版。
横隣りや縦隣り、あるいは斜めに眼光を弾かせながら
餓狼SPとスパ2の台が並びました。

サムスピの大ヒットから間を置かずに放たれたこのガロスペは、
焼き回しに焼き回しを重ねるスト2シリーズに飽きた格ゲー野郎を完全に掌握。
ゲーセンは当然、ゲームショップ、ビデオショップ、デパート、スーパー、駄菓子屋等、
町中の至る所にMVS(アーケードNEOGEO筐体)が並び、
新作が出ては行列を作り出す狂乱のNEOGEOブームを作り出します。
餓狼がスト2人気を取り込み、格ゲー界の覇者となった瞬間でした。

焼き回しと言えばこの餓狼スペシャルも餓狼2の焼き回しなのですが、
キャラ数の倍化、そして何より、
前作にはなかった連続技の解放が新鮮な印象を与え、
事実、全く別のゲーム性を生んでいました。
間合い、状況によって技を使い分けながらスピーディにラッシュをかけ、
最後にキャンセルで削り、またラッシュを狙う。
この快感はもう、すでに待ち主体のスト2とはまるで別物でした。

倍化したキャラも要望が高かった棒術使いビリー・カーン、
前作のボス、クラウザー、そしてMr.当て身投げギース・ハワードの登場等で、
一目見て使ってみたいと思わせる布陣は
まさにスペシャルの名に相応しい豪華さでした。
さらにノーミスクリアで龍虎の拳2発売を控えたリョウ・サカザキまでもが登場し、
夢のバトルを実現させてくれました。
このバトル時には背景にも龍虎のキャラが多数登場し宣伝効果も抜群。
一定条件下で出てくる隠しキャラというスタンダードを生みました。

歩きながらペチペチ小技が入りすぎてバランスを崩していたり、
ひたすらライン移動で逃げ回られると追い掛けるのが厳しかったりで
“完璧”な作品とは言えませんが、
それでも餓狼シリーズ最高傑作との呼び声高いこの名作の地位は揺るぎません。
荒さをも凌駕する圧倒的な迫力が、SNKのゲームにはありました。

ゾッとするほどお金をつぎ込んだのでお気に入り度は文句なしMAXで。

PICKUP狼
ギース・ハワード 
決め台詞 フンッ

何もかもがカッコ良すぎたギース様。
相手の技を受け止めて投げる新機軸の必殺技、当て身投げの快感は卒倒必至だった。

世には当て身ストのギース使いが溢れ、NEOGEOの台では常に
「れっぷーけん! れっぷーけん!」とギースボイスが響き渡っていた。
ボクは家でもことあるごとに「れっぷーけん! れっぷーけん!」と言っていたので
うるさいと親に怒られてしまった。
しかし眠れない夜に「れっぷーけん! れっぷーけん!」と言っていたら
自然と眠れたものだ。
観覧者の方には「何を言ってるんだ、こいつは?」と思わないで貰いたい。

這炎画伯

当て身以外にも真空投げや不動殺活裏拳(ライン飛ばし)昇天明星打ち(屈アッパー)等、
通常技もバシッとポーズが決まっており、餓狼3で絵が劣化したのが残念だった。

後に様々な作品に登場するギースだが、
そのどれよりもこのSPギースが圧倒的にカッコ良い。
現在のギース人気もこのSPギースがあってこそのものと言って良いだろう。
ここまで全てが理屈抜きで魅力的なキャラは格ゲーの歴史上でもそうはいない。

ギースに限らず本当にこの餓狼2〜SP間のバランスの整ったドット絵、
迫力のSE、迫真のボイスは素晴らしいの一言に尽きる。
これ以上、語る言葉さえないのだ。

PICKUP狼
キム・カッファン
 
決め台詞 フン!

善玉美男キャラは主人公のみという定石を、
密かに覆したのかも知れない至って普通の正統派美形キャラ、キム。

そんなキムだが初登場の2では、
やはり主人公達の華々しさにはいまひとつ及ばず地味な印象だった。
性能的にも、簡単に潰される飛燕斬、硬直の長い半月斬。
ジャンプの頂点からしか出せず、ガードされたら跳ね返ったところを
突進技で追撃される、リスクの大きい飛翔脚。
完全密着でガード不能になるもののチャンスは少なくガードさせても削れない鳳凰脚。
目を見張るような強さはなく、玄人好みの渋いキャラだったのだ。

しかしこのSPでそれが一変。飛燕斬は完全無敵となり、
弱半月斬はスキなしのうえに2回削りでシャレにならん減り
飛翔脚は低空からも出せるようになり、飛び道具を見てから踏めるように。
さらになんと跳ね返り中に蹴りを出せるようになり、突進技での追撃を返り討ち可能。
鳳凰脚に至ってはガード不能こそなくなったものの
小技からも繋がるうえに完全隙なし。完璧に連発すれば永久ガードすら可能で、
なんとかキムの体力を減らしてもそれがになる始末。
通常技も全体的にスピードアップし解放された連続技も繋がり放題と、
何か露骨に強くなった。どこか、意図的な物すら感じる。

3で消えた際にはアジアから猛抗議があったらしいキム・カッファンだが、
SPの時点でもすでに何か圧力がかかっていたのだろうか?

この悪魔的強さが白日の下に晒されるにつれゲーセンは完全にキム一色となり、
稼動当初圧倒的な人気を誇ったあのギースさえも力技で淘汰。
右を向いてもアタタタタ! 左を向いてもアタタタタ! という異常事態が起こった。
他のキャラを使いたい漢は
ゲリラとなって戦うより他に道はなく、
その極悪にして残虐な強さで虐殺の限りを尽くすキムが
「悪は許さん!」「今日から私が教育してやる」
などとのたまう姿に彼らはマジギレ
どこからともなく奴は偽善者だ!という運動が起こり、
いつの間にかそれが
オフィシャル設定に反映されるまでに至った。
強キャラ使いが本格的に問題化したのもこのSPキム・カッファンからだろう。
色々な意味で彼は革命的な漢だった。

テコンドーファイティング

PICKUP狼
ヴォルフガング・
クラウザー

決め台詞 you were good. you fought well.

ギースの異母兄弟にしてその身に消えぬ恐怖を刻み込んだ餓狼世界最強の男。
それが暗黒の帝王、クラウザーである。
餓狼2のラスボスであり、今作でもリョウを計算に入れなければトリを勤めている。
ギースの後に出て来るのである。

もっとも、最強の男の下へ集う秦の秘伝書は最終的にはギースの手に渡ったため、
最後でギースに超えられていた、ということなのかも知れないが、
荘厳なクラシックをバックに威風堂々と現れるこのクラウザーの風格は
プレイヤーにすら感動の震えを与えたものだ。

だがこのクラウザー、餓狼SPでは実はライン移動攻撃が
とんでもないことになっている。衝撃の事実。



セクハラである

いや、そういうことではない。
セクハラではあるがここで述べねばならないのはもっと別の、
彼の尊厳に関わる大問題なのだ。

通常、ライン移動攻撃はしゃがみガードが不可となっているのだが、
一部の技はそもそもしゃがみに当たらない。
その場合、相手は大足や、あまつさえしゃがみ弱Pからの連続技等で
これらライン移動を撃墜することが出来てしまう。

とはいえ、ライン移動攻撃にはパンチ系とキックの二種類が存在するので、
パンチがしゃがみに当たらなければキックを使えば良いだけの話。
実際、特に問題視するようなことではない。

のだが!

このクラウザー、暗黒の帝王のみはパンチで出してもキックで出しても、
上記のセクハラ攻撃しか存在せず、それがしゃがみに当たらないのである!
つまり帝王は相手にライン移動をされると追いかけては連続技を入れられ、
また追いかけては連続技を入れられるという卑劣なるリンチに遭ってしまうのだ!
非道いよ、SNK!

そんなラウンド開始前から詰んでいる帝王は
1ラインステージでカイザーウェイブを連発してウサを晴らすしかなかった。

このような様々な人権問題もあって、ギース人気の沸騰、
代名詞のカイザーウェイブをルガールの技と認知される事件、
KOF'96でのレスラー化等も重なりすっかり貫禄の薄れたクラウザーだが、
一番の問題はこのガロスペの挑発ボイスにあったんじゃないかと思うよ。

名無し改画伯

尚、このクラウザーは餓狼2の最後でテリーに敗れ、
正式に自ら命を絶ったことになっている。
SP系はお祭りにしてもRB2やストーリー展開のある
PS版DOMINATED MINDにまで普通に出演してるのは知らん

空耳伝説SPECIAL

▼ヘグルォアァ!

ビリーのやられボイスだが、空耳というよりも何を言っているのか解らない

▼エッサッサ!

アクセル・ホークの笑い声のはずなのだが、何か祭り的な掛け声を想起させる。

▼お便所ベイビィ

ダックのブレイクスパイラル時のボイスで、
「ユー アン エンジェルベイビィ」と言っているのだが、便所へ急いでいるようだ。

JOE伝説スペシャル

パンティかぶって喜んでるみたいだと言われる