1999 706M 
伝説には続きがある。
リアルバウト、リアルバウト、リアルバウト……
何かに取り憑かれたようにRBを焼き回して来た餓狼シリーズについに新作が!
舞台はなんと10年後! あのギースの息子を新主人公にナイスミドルになったテリー!
アンディの弟子! キムの息子達! さらに極限流の後継者!
龍虎〜餓狼ファン狂喜乱舞のラインナップでウヒョー! たまんねぇー!!
まさに新世代のSNK格闘の登場にネオジオファンは激しく沸き返り……!
ませんでした

キャラクター、グラフィック、システム、
どれを取ってもこんなの餓狼じゃねぇ――――ッ!!

これがゲーマー派NEOGEOファンの総意だったと言えるでしょう。
月華調の軽い画風に、やはり同人狙いの媚びたキャラ、設定。
そして餓狼の餓狼たる所以、ラインバトルの撤去。
新餓狼のこの変わり様に、もはやかつてのSNKは帰って来ないと
ファンは改めて現実を知ったのでした。

しかし…… 実はこのゲームはここで見限るにはあまりに惜しい名作なのです。
格ゲーをやっていての一番の快感は“連続技”を決めている瞬間。
そんな認識が常識化する中で、このジャンルは次第に
ただひたすら連続技を狙うだけの作業めいたゲームが台頭しました。
その手のゲームは正直、トレーニングモードだけで満足です。

しかし自分が思うにSNK格闘で一番楽しい瞬間は相手を固めている時。
相手の動きを牽制しながら、先を読み、先を見据え、
思い思いの技を自分で繋げて隙なし突進技でゴリゴリラッシュをかける。
そんな中で隙を見つけることが出来ればそこで最大限の連続技を叩き込む。
これがSNK格闘の、餓狼の真髄ではなかったでしょうか。

コンビネーション導入で固めがある程度パターン化してしまった
REALBOUTシリーズにはなく、あの餓狼SPが持っていた物。
それをこの餓狼MOWは再び取り戻しているのです。

重い小技で牽制しながら、小足>しゃがみ強P≫飛び道具>突進技。
相手が小足連打で暴れて来るなら小足から下段避け攻撃を挟んだりなんたり、
気分でしゃがみ強Pを別の技にしたり、わざわざ普段使わない技を間に挟んだり。
こんな自作ラッシュはコンビネーション主体のゲームでは味わえません。

さらにREALBOUTから受け継がれたフェイントキャンセルを使えば
近立ち強P≫フェイントキャンセル>しゃがみ強P≫必殺技……
なんて流れで面白マニアックな攻めを展開出来たりもするし、
一応、僅かばかり存在しているコンビネーションアタックの存在も
このラッシュに交えていくとまた変わった動きを可能とし、選択肢を広げてくれます。

まさに無限のコンビネーション。忘れていた連携の魅力。
極端な話、ヒットさせるよりガードさせている方が楽しいのです。
こんな感覚の人は自分だけではないでしょう。

また、防御側に導入されたのはローリスクローリターンなブロッキングとも言うべき
ジャストディフェンス”で、これはギリギリまで引き付けてガードすれば体力が回復し、
ガード硬直も短く、さらにガードキャンセルも可能といった代物でした。
レバーを前に入れる必要のあるスト3のブロッキングとは違い、
ガード方向で良いためジャストディフェンスはとっつき易さを持っています。

これは“チェーンコンボ⇒コンビネーションアタック”の再現を狙ったのでしょうか。
ギリギリガードを遡れば真サムや飛び道具跳ね返しのワーヒー2などがありましたが、
空中ジャストディフェンス(空中ガードはない)、
ノーキャンセル連続技、キャンセル不能の強足払い……
等々スト3の影響を色濃く感じさせるために、
やはりスト3を模範したと見て間違いないでしょう。
実際はもうスト3の亜流と言っても過言ではなかったりもするのですが、
その中に光る餓狼らしさ、SNKらしさがこのゲームの価値を高めています。

こんなのは餓狼ではない。確かにその通りです。
受け付けない人には決して認めることはできない作品でしょう。
しかし今だからこそ。
SNKが散った今だからこその寛容な気持ちで今一度この作品に触れてみれば
また違った感想を持てる…… はず。餓狼が好きなればこそね。

それにしても月華と言い、MOWと言い、まさに極まった2D技術を体感させてくれます。
紙芝居風が当たり前だったNEOGEOゲーOPが滑らかにアニメーションする様に驚き、
そして当然、異常なまでに滑らかに、
カッコ良く動くゲーム中のキャラクターにウットリ……

作ろうと思えばこのクオリティーの2D格闘を量産出来る力を持っていたにも関わらず、
それを作るのがあまりにも遅かったSNK…… 勿体ない。実に勿体ない。
喝。むしろ喝だSNK。何をやっていたんだSNK!  喝ッ!

答 ポリゴンやってました


ワッセロ〜イ……

餓狼 MARK OF THE WOLVES STORY

餓狼MOWのストーリーは先にも書いた通り10年後。
前回のキング・オブ・ファイターズから10年後となっているので、
初代REALBOUTから数えての10年後となる。

10年ぶりのキング・オブ・ファイターズ。
前回の優勝者、テリー・ボガードの元へもその招待状は届いた。
そしてギース・ハワードの遺児、ロック・ハワードへも……

ロックは父ギースを恨んでいた。
幼少時に病で命を失った母を、ギースは助けなかった。
憎しみに支配されるロックをテリーは優しく導く。
憎しみから始まった自分の闘いの歴史、だが今は違う自分の拳。
最高の人生の見本を得たロックは強く、真っ直ぐに成長した。
しかし招待状に添えられた不可解な一文がロックを揺さぶる。
大会優勝者には前回以上の多額な賞金と、そして……

『ロック様のお母様について… とだけ今は申しておきます。 』

テリーの技にギースの血。ロック・ハワードはすでに超一流のファイターだった。
力を引き出す度に暗黒に引きずり込まれながらもロックは勝ち進む。
ロックを待っていたのは母、メアリーの弟、
彼の叔父にあたる男、カイン・R・ハインラインだった。



カインは義兄ギースの覇業を継ぎ、
セカンドサウスの街を弱肉強食の世界と化そうとしていた。

人は飢えていなければならない。
飢えないために闘い、そして求め続けることでまた飢える。
平和という惰性を貪り、死んだ瞳のシステム化された街の人間達。
彼らに本当の自由を与えるため、カインは野望に邁進する。

ギースの遺産。
それが彼がロックを呼び寄せた目的だった。

ギースの死後、発見された遺書。
それは誰にも理解できない内容の物だった。
だが血を分けた実の息子ならば……

血が疼く。

ギースの忘れ形見ならば、彼の意思である自分に協力するべきではないか?

ロックとカイン、初めて対峙する血縁同士の空間は闘いの血で染まった。
だがその闘いはカインの一言で終わりを迎える。

母、メアリーの生存。

思いもしない事実を知らされたロックは、テリーの元を離れる。

「…今は何も言わないでくれ 全てを清算したら必ず帰るよ…」

「………………俺はお前を信じてる それだけだ…」


母を見殺しにされ、父を憎んだかつての少年ギースは
果たして我が子ロックに同じ運命を課したのだろうか?

解読不能のギースの遺産。
生きていたギースの妻、そしてロックの母メアリー。

狼達の真実が、10年の歳月を経て今明かされる。



全てはここから始まるのだ……


そして……

打ち切り!!!!

と、このように新しい餓狼は中途半端に伏線を張りながら
SNKの命と共にキックボクサーマモルもかくやという最終回を迎える。
果たして続編は出るのかッ!?
というかギースの遺産よりも、SNKの遺産を探してください

PICKUP狼
ロック・ハワード  
決め台詞 限界まで…… 飛ばすぜ!

餓狼じゃねぇ! と言わしめたうちの一人、主人公ロック・ハワード。
髪をかきあげながら闘い、動く度にシャツがめくれてチラチラ見えるおヘソ。
勝ちポーズで現れる天使の羽に、プロフィールの……
特技
料理(ファーストフード好きのテリーのために作ってあげていたらプロ級になった)
苦手なもの
女性(男ばかりの中で暮らしてきたため、少しシャイな性格になっている)
等々、わざわざ注釈の付いた「いかにも」な同人設定。

もう勘弁してください……と、もはや完全に同人派と分離したゲーマー派は苦しみ、
嘆き、そして哀しみ抜いた。

しかしいざ使ってみるとこれが弱いッ! 絶妙の弱さッ!
ギースとテリーの奥義を継ぎ、絶妙に揃いながらも絶妙に貧弱な技の数々!

な、な、な、なんか良いなぁ( ̄∇ ̄)

大らかな漢達はなぜかほのぼのとし、いつしか彼を新主人公と認めていた。
狙いすぎとはいえ、カッコ良いことには違いないのだ。
さらに狙った可愛らしさが弱さゆえの可愛らしさと重なった効果もあるだろう。
使ってみて初めて惚れる。まさにSNKキャラの真髄だ。
同人コスプレ路線に進むSNKに心を病み、穿った瞳になっていたのかもしれない。

テリーが健在なのにも関わらず、しっかり主人公として見られるのは実は凄いことだ。
現在のKOFの主人公がアッシュ・クリムゾンと言われてもピンと来ないし、
スト3の主人公がアレックスなどと言われても
誰に聞いても「ザラゾフじゃん、あいつ」との感想しか出ない。

やるじゃん、ロック。凄いぞ、ロック。

お前も楓だけどな

しかしこのロック、本編では一作しか登場していないためか
まだいまいちキャラが固まっていない様子で、ギースの血を感じさせる
ちょっと悪っぽい表情を見せ、語尾の荒いやんちゃなセリフを吐きながらも
EDでシュンとして終わるからだろうか、それと同時にどことなく大人しい印象も受ける。

まぁそこがまた魅力なのかも知れないが、
これからカインに付いて行くことでギース的な一面を開花させ、
さらにテリーの魅力をも兼ね備えた最強の主人公へと成長して行くのかも知れない。
でもそれはまた続編でね。出れば

父の仇と闘い続けたテリーと、
また彼にとっての父の仇であるテリーに育てられたロック。
餓狼のドラマは終わらない。 ……きっと。

またこのロックは突然出て来たキャラではなく、
実は餓狼3のEDでテリーが拾った子供の成長した姿である。
以後のシリーズでもテリーEDにちゃっかり登場し、芸の細かさを見ることが出来る。

餓狼伝説3 〜遥かなる闘い〜


何か違う人に見えるが

じ、人種が違う……

PICKUP狼
マルコ・
ロドリゲス
決め台詞 極限ッファイトォォ!!

濃ゆッ! 新世代極限流濃ゆッ!

とうとう正史でも極限流はお笑い空手になってしまった。
リョウの子供やロバートとユリの子供…… などは容易に作れる存在ではないため
新たに生まれた新キャラクターなのだろうが、こんな40歳を出すならもう別に
親父リョウで良かったんちゃうんか?
というか全然新世代じゃないし、40歳……
実はこの時代のリョウも
たいして歳は変わらないのだ(40後半)
今作でのリョウはすでに一線を退いているという
設定を付けられているが、龍虎でのタクマを見るに
まだまだ充分闘えるはず。まだまだ充分脱げるはずだ。

KOFのサワヤカリョウならば違和感モッコリだが、
正史の濃ゆいリョウは熟成してこそその味を発揮できる漢。
武力やPS版ポリ餓狼にもおっさんリョウは出ているので
極限流を出すのならばまた今作に出しても良かったと思う。
それでは新主人公の影が薄くなってしまうかもしれないが、
やっぱり出て欲しかったというのが正直な気持ちだ。
どこの馬の骨とも判らぬ輩が覇王翔吼拳や龍虎乱舞を極めているというのも
ファンとしてはちょっと軽く感じてしまう。ムググ……

などと身悶えてみたがマルコの、
『趣味:絵本を読むこと(ディズニーのお話はいつも泣ける)』
『好きな音楽:サンバ(血が騒ぐ)』
こんなプロフィールや、
『子供は帰る時間なり! 大人はムフフの時間なり!』
『ロンゲが悪いとはいわぬ! だが染めるのはどうかッ!』
こんな勝利メッセージを見てしまうと……

(笑)

すんません…… 正直、面白いです。染めるのはどうかッ!

ただ惜しむらくはこれも“狙ったイロモノ”という部分だろう。
ナインハルト・ズィーガーや不破刃、獅子王クラスの天然キャラは
もう生まれるべくもないのか。
これがSNKが失ってしまった一番痛い才能と言えるだろう。染めるのはどうかッ!

PICKUP狼
双葉ほたる  
決め台詞 お兄ちゃぁぁ―――ん!!

このキャラは“ときめき餓狼学園”というギャルゲィムの中のキャラで
今回、新作が作られるにあたって格闘キャラとして登録された


などと嘘八百を並べても人を騙せそうなこのみんなの妹ほたるちゃん。

ていうか、出たァ――――ッ!!
決定的なの出たァ――――ッ!!
「餓狼は最後の最後まで硬派であったぞぉぉ――――っ!!」
って締めたのにいきなり出たァ――――ッ!! 硬派違ったァ―――ッ!!

餓狼ファンを一斉に引かせた魔性の小娘。
行方不明の兄を捜して「お兄ちゃん」「お兄ちゃん」
一部の人向け萌えワードを連呼する双葉のほたりゅん。
餓狼じゃねぇ! というかもう格ゲーじゃねぇ!!

ヤサカニ画伯 どこからどう見ても
ギャルゲーのキャラです

多くは語りませんが、
こんな技使います

萌ゑるのはどうかッ!

もし旧シリーズに出ていたらこんな娘がどうやって
ギースやクラウザーと闘ったのだろうか……
そういう意味でも餓狼シリーズは本当に硬派だったと言えるだろう。

しかしここまで来るともはや清々しささえ感じるのだがこれは脳の病気だろうか。

なんか似てるとか… 名前も「ほたる」だとか… SNKが健在ならばそのうち本当に
『ルームメイトほたる』『団地妻ほたる』などが
出ていたかもしれない。
そのうち『火多留』などに進化したかもしれない。
もはや語る言葉はない。
萌ゑたくば萌ゑるが良い、もう止めはせぬ……

ら・もーる画伯

空耳 MARK OF THE SORAMIMI

▼フ●ッキュー!

テリーがパワーウェイブ時に発するボイス。
本当は「ロックユー!」と言っているのだが、
テリーも年取ってガラが悪くなったものだと思われた。

▼お歳暮うめぇー!

よほど良い物を貰ったのだろう。ミスター味っ子並に絶叫するグリフォンマスク。
「ポセイドンウェイブ」

JOE伝説 MOW

影も形も……

さばら画伯