簡易レビュー付きグッズリスト 〔NEOWAVE〕

▼小説
全部読んだが、さして極端な話でもなく、面白い小説が読みたいなら嬉野小説だけを読んでおけば良い。
後、読めるのはせいぜいがアスラ斬魔伝くらいで、他はどうあってもファングッズの域を出ない。

 - 嬉野小説
THE KING OF FIGHTERS'96 〜Rumbling on the City〜 嬉野秋彦
THE KING OF FIGHTERS'96 〜Rumbling on the City〜 嬉野秋彦
KOF'96の前日談として、トーナメントでは描けない入り組んだ構成と、
原作に縛られない展開、かつ自然に原作と繋がる上質のサイドストーリーが完結している。
原作ストーリーをなぞっていないので先が読めずに面白い。
一冊完結として気軽に読めるので、嬉野小説入門用としてオススメ。
庵をメインに彼の鬱屈が見事に表現されている。個人的にもお気に入りの一冊。

サムライスピリッツ 天草降臨 〜夏の風花〜 嬉野秋彦
サムライスピリッツ 天草降臨 〜夏の風花〜 嬉野秋彦
サムスピ小説数在れど、相対的な評価をした場合「夏の風花」は別次元に立っていると言っても良い。
歴史小説として含蓄たっぷり、かつ当然、サムスピとしても面白い。
ラノベとしては冗長とも言える風土描写を交えながらも、
ノンストップで読める文章の流れには作家の格を感じる。
人気キャラのナコリム幻十郎、閑丸辺りに出番がないが、その分、ストーリーが絞られていて描写が深い。
話の密度よりも上記キャラ目当ての場合、ガッカリするというもの否定はしないが。

THE KING OF FIGHTERS'97 〜終わりなき夏の最期に〜 嬉野秋彦
THE KING OF FIGHTERS'97 〜660年目のふたり〜 嬉野秋彦
THE KING OF FIGHTERS'97 〜終わりなき夏の最期に〜
THE KING OF FIGHTERS'97 〜660年目のふたり〜    嬉野秋彦
今度はサイドストーリーではなく、'97のメインストーリーが小説化されてあるが、
KOF正史(三神器チームED)ではないので「これが'97だ!」と声高に叫ぶことは出来ない。
その辺は割り切って読もう。
仕方のない部分はあるが'97キャラである'97チーム、真吾、社達にドラマが集中し、
主人公である京に大きなイベントがないので本筋の印象がどうにも薄い。
オロチがアッサリと昇天するのもその辺に拍車をかけている。
動きの少ない上巻から読むと最後で尺不足というか、ペース配分に違和感を感じた。
庵描写は'96小説があるが、京については脳内補完が必要だった。
個人的には“嬉野小説の中では”あまりオススメはしない。
'95から任されてればまた違ったんだろうけどね……

THE KING OF FIGHTERS'98 〜遺された者たち〜 嬉野秋彦
THE KING OF FIGHTERS'98 〜遺された者たち〜 嬉野秋彦
一応、小説版'97の後日談として繋がっているが、
京庵が行方不明になるというラストは原作と変わりないので小説版未読でも読める名作。
京がいなくなった一年を真吾、紅丸、ちづるを中心に、悩み、哀しみ、苛立ち、
それでも真っ直ぐ信じと胸に熱いドラマが展開される。
京庵に出番がないという異端の一冊だが、質は非常に高い。グッと来るものがある。

THE KING OF FIGHTERS'98 〜最大多数の最大幸福〜 嬉野秋彦
THE KING OF FIGHTERS'98 最大多数の最大幸福 嬉野秋彦
こちらは前後に何の繋がりもない一冊丸々ギャグ小説。
しかし正直、200ページ以上もハイテンションギャグを活字で読むのはしんどい!
さりとてギャグとはしおりを挟んで休み休みに読むものでもなし、
楽しむには一気読みの覚悟が必要。
その辺あって面白いとは言い難いが、マニアックなネタにはニヤニヤ。

〜幕末浪漫〜 月華の剣士 青龍變生 嬉野秋彦
〜幕末浪漫〜 月華の剣士 朱雀堕天 嬉野秋彦
〜幕末浪漫〜 月華の剣士 青龍變生
〜幕末浪漫〜 月華の剣士 朱雀堕天 嬉野秋彦









THE KING OF FIGHTERS'99 〜BEYOND THE “K”〜 嬉野秋彦
THE KING OF FIGHTERS'99 〜BEYOND THE “K”〜 嬉野秋彦
基本、原作KOF'99のストーリーを肉付けしつつ、忠実に小説化している一冊。
主人公チームをメインに他チーム展開も絡めつつ、非常に自然な展開を見せる。
実際、ゲームをプレイするだけではよく解らないストーリーなので、先を知っていても楽しめる。
反面、原作の謎、伏線部分には触れられていない。
お陰で謎の多いK'は主人公と呼ぶには描写が薄いが、その辺はあくまでネスツ編の序章ということで。
しかし原作通りとはいえ、死に逝くクリザリッドにわざわざ真実を告げて看取るウィップは鬼か!

THE KING OF FIGHTERS 2000 〜ICICLE DOLL〜 嬉野秋彦
THE KING OF FIGHTERS 2000 ICICLE DOLL 嬉野秋彦
'99同様、2000のストーリーを肉付けしつつ、クーラ戦をピークに忠実に描いている。
格ゲー自体が元々肉付けの足りないジャンル(ネスツ編は特に)なので粗筋を知っていても充分面白い。
しかし、やはり忠実が故にK'の謎は謎のまま、クーラの正体やK'との関係にも触れられずと、
原作同様、消化不良の感は否めない。謎を匂わせつつ放置。
また、クーラ戦メインということで原作ボスのゼロ戦の詳細も省かれているので、
読了後には原作クーラEDを観ておくと良い。

THE KING OF FIGHTERS 2000 〜STRIKERS STRIKE BACK〜 嬉野秋彦
THE KING OF FIGHTERS 2000 STRIKERS STRIKE BACK 嬉野秋彦
はっちゃけた内容のギャグノベル。
'98ギャグの反省からか今回は短編中編織り交ぜた内容となっており、
挿絵の多さと砕けた文章も相まってサラサラと読める。半ばタブーに触れまくる展開が熱い。
こういうのはどうしても漫画媒体の方が向いているとは思うが、
ギャグのみで構成される活字の海を楽しめる人なら。

THE KING OF FIGHTERS 2001 MORE THAN HUMAN 嬉野秋彦
THE KING OF FIGHTERS 2001 MORE THAN HUMAN 嬉野秋彦





THE KING OF FIGHTERS 2001 THE GODS THEMSELVES 嬉野秋彦
THE KING OF FIGHTERS 2001 THE GODS THEMSELVES 嬉野秋彦





 - その他
バトルファイターズ餓狼伝説
バトルファイターズ餓狼伝説 山田隆司
アニメ、バトルファイターズ餓狼伝説の裏設定集と言っても良い小説。
餓狼正史へいくつも設定が反映されているため、資料としての価値は高い。
いち小説としては淡々とし過ぎている感が。


サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣 いさき玲衣
サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣 いさき玲衣
肘打ちで簡単に刀を落とす幻十郎。
丸腰になった幻十郎に「覚悟ッ!」と斬りかかる覇王丸。そんなバトルが長々続く一作。
同作者のKOF'95に続き、幻十郎に鞘を持たせる等、基本設定の変更も目に余る。
当然、キャライメージもことごとく違う。
それで話が面白くなったかと言われればそうでもなく、いち小説としても内容がない。
「何もない」としか言いようがない作品。何だろう、これは……

真説サムライスピリッツ 武士道烈伝 天草編 いさき玲衣
真説サムライスピリッツ 武士道烈伝 ミズキ編 いさき玲衣
真説サムライスピリッツ 武士道烈伝 天草編 ミヅキ編 いさき玲衣
RPGのノベライズだからなのか、昔のRPGのように唐突なイベントが不自然に連続する。
どうでもいいようなシーンが説明口調で長く、読みながら退屈を感じる。
キャライメージも例によって違い、全体的に頭が悪くなっている。
同作者の斬サムよりはまだ読めるが、他と比べると正直、厳しい。
例え原作と切り離しても達者な小説と言えるのかどうかは某には判断し兼ねる……
ゲームのノベライズということで子供向けを意識したのかも知れないが。




魔城降臨天草忍び変 千寿貴子
魔城降臨天草忍び変 千寿貴子
天サムをベースに閑丸きゅんを皆で愛でる小説。
戦闘よりもキャラ描写に重きを置いており、一行の旅模様や心理描写等、読み易く、
また適度に文学雑学も交えた構成で書いてくれている。
ライトでありながら読書した感も味わえる、ゲームノベルに適した筆運びではなかろうか。
原作との兼ね合いかオチてないので話的な評価はし難いが、
閑丸大好きお姉さんにとっては堪らないのでは。女性作家らしい一冊。

サムライスピリッツ 〜アスラ斬魔伝〜 梅村崇
サムライスピリッツ 〜アスラ斬魔伝〜 梅村崇
絵はOVAアスラ斬魔伝だが中身は別。
駆け足でキャラと設定の説明をする序章をしのげば、それ以降は文句なしに面白い。
複数キャラを主人公扱いにザッピング形式で進む物語は格ゲーストーリーの魅力を表現し尽くしている。
一撃必殺が故の緊張の駆け引きが戦闘を彩り、確かな筆力が刃の重さや香り起つ恍惚を訴えかけて来る。
口調や設定等、やや気になる点もあるにはあるが、ここまで面白ければ些細なことだ。
見事と言う他はない名作。

サムライスピリッツ 破天降魔の章 岸間信明
サムライスピリッツ 破天降魔の章 岸間信明
本格的な歴史小説を読んでいるかのような筆力に圧倒される。
サムスピ好きの活字好きはグイグイと読めるだろう。
ストーリーは基本、原作アニメ準拠だが、原作のツッコミどころがことごとく修正されていてビックリした。
著者の岸間氏は原作の脚本も手掛けられているのだが、自分でも失敗したと思ったのだろう……
>参考 破天降魔の章完全版

ザ・キング・オブ・ファイターズ'95 いさき玲衣
ザ・キング・オブ・ファイターズ'95 いさき玲衣
あとがきを読むに「今回は珍しくゲームの基本設定に忠実に書いた」そうなのだが、
これでかよっ! とツッコミだしたら切りのない設定変更の嵐である。
「クリッとした眼の童顔青年」として描かれる京と人気モデルのユキのバカップルに耐えられるのなら。
オリキャラのヤの人、東郷サンにも注目。
各キャラ微妙に違和感のある性格は設定初期だけに仕方がないか。

京と庵 炎を統べるもの 新井諒
京と庵 炎を統べるもの 新井諒






風雲黙示録 格闘創世 工藤治
風雲黙示録 格闘創世 工藤治
全編通してオーバーアクションの古めかしいノリだが、
真面目なシーンの方が笑えるというのが風雲っぽい。
「腕には、サッカーボールほどもありそうなボクシングのグローブをはめている」……ってどんなだよ!
でも事実そうなんだよな、獅子王は……
ゲームノベルとしては及第点だが、(原作同様)面白いとは言い難い。

アテナ 選ばれし少女 じょうもん弥生
アテナ 選ばれし少女 じょうもん弥生
アテナ 選ばれし少女  じょうもん弥生
ポリアテナの小説だが、アテナの両親がストーリーに関わったり、
超能力の解説役が欲しかったのだろう、拳崇が超常現象研究会部長だったりと
ストーリーも設定も大筋以外は変更点が数多い再構成モノである。
鉄の女だった原作とは違ってアテナは自身の超能力に悩み、苦しみ、翻弄される運命を憎む。
柏崎理香と疎遠になることもなく、アストライオスは中身の人(美形)が活躍し、
ぬるい三角四角関係も創作。原作と比べて全体的に大人は小物化し、子供がしっかりしている。
アクションシーンやSFは原作、動機付けや心理描写は小説が上と言えよう。
そしてどちらが面白いかと言われれば、どちらも面白くない(えー!?)
しろー大野氏のイラストは魅力大なのでファンアイテムか。