'96でやや評判を落としたものの続編ではキッチリと完成度を高めて来るのがSNK。
今度も前作を継承しながらほぼシステムを完成させて来ました。
最大の変更点はゲージ関連です。
今までのボタン同時押しでゲージを溜める方式を捨て去り、
技を出すことでゲージが溜まるシステムへと変更。
溜めている間、展開が止まる前作までからさらに攻撃的になったのです。
このゲージは3つまでストックが可能で、
“
パワーMAX発動”と超必殺、ガードキャンセルに使用されます。
ただし体力ゲージが減って点滅状態になっても
今までのように超必殺技は使えません。
つまり超必殺技は最大三連発までとなったのです。
しかし、体力ゲージに関係なく超必殺技が使えるということは
いつでも超必殺技が狙えるということになります。
超必はここで完全に劣勢を覆す一発逆転の大技という意味合いを失います。
その分、威力は抑えられており、
小技から連続技に組み込めるような出の速い技が多数追加されました。
かくして超必殺技というシステムは“連続技のお供”になったのです。
とはいえ一発逆転の大威力必殺技もまだ残されており、
MAX発動中に超必殺技を出すとMAX超必殺技が使えるようになっています。
前作では瀕死時にゲージMAXという厳しい条件だったMAX超必殺が、
今回はゲージストックが二つ以上あればいつでも狙えるようになったというわけです。
三つあればMAX超を二連発出来ることになります。
このストックは基本的に先鋒が負けても次鋒に受け継がれるのですが……
キャラの相性が悪いとなんとゼロに戻ってしまいます。
つまり一番手の京が溜めたゲージを庵は破棄してしまうのです。なんてヤツだ!
まぁその逆も然りなのですが。
そういうわけでチーム決めや順番決めも大事になって来ました。
と、ここまでは“
アドヴァンストモード”でのお話。
実は今作では'96からのシステムに馴染めない人のために、
'94のシステムでプレイ出来る“
エキストラモード”が用意されていました。
狭めた間口を再び広げようということなのですが、
しかし高速で攻め回れるアドヴァンストに比べてエキストラは明らかに弱く、
結局使っている人は少なかったです。完全に初心者用と割り切られたモードでした。
間口を、と言えば'96でシビアになって不評だったコマンド入力が、
初心者を配慮してか、もーチョーてきとーな入力で出るくらいに変更されています。
実に
↓→↓← が
↓← こんな入力で出てしまうのです。
よって迂闊にカクカク動くと超必が暴発。
結局、
別の意味でシビアとなり、これも
大不評でした。
何でそう、やることがいつも極端なんだ!
そして細かく、しかしとても重要な変更点があります。
一部キャラを除き基本的に、
小足にキャンセルがかからなくなっています。
これにより、もつれたら小足連打、当たったらキャンセルから必殺技でゴッポリ!
というお手軽な戦法が取れなくなり、小足から繋ぐには
小足>しゃがみ弱P と中継して必殺技に持って行かなくてはならず、
テクニカルで納得のいくゲーム性になったのです。
小足連打から始まったKOFはここで小足時代に終止符を打ちました。
また
レバー入れで出る特殊技がキャンセルから出るようになり、
通常技≫特殊技≫必殺技と繋ぐ連続技がメインになりました。
これもテクニカルかつ新鮮で、面白い要素でした。
(でも元祖は確か
ブレイカーズ)
前作からの最大の改善は場面場面で
色々な技を使っていく必要性があるところですね。
ストーリー的にもオロチ編完結ですが、
システム的にもここで完成形へと辿り着いたというわけです。
が、ストーリー完結という重要な作品なのに、
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デモ絵がすげぇ下手に
なってるのだが何故か。 |
しかもなんとこのゲーム
BGMがない。
一部キャラにのみ音楽がつくという形で他の試合はほぼ無音……
これがまた
全然盛り上がりません! BGM重要です!
何が悲しゅうてお通夜のような空気で対戦せねばならぬのか!!
一番手テリーと闘ってテリーのテーマで盛り上がったところで二番手ジョー登場!
すると……!
シーン……
イジメか!?
非常に侘しいのでお気に入り度も削らせて頂きました。
いじめ、カッコ悪い。
KOF裏話
別に裏話というほどでもないのだが、このKOF'97では1チーム、ファン投票枠があった。
現実にファン投票を行い、その結果を反映して出場キャラを決めるというのだ。
ドリームマッチ路線も捨ててはおらぬよ! というSNKの意思表示だろうか。
しかしこのシステムには大きな落とし穴があった!
そう! 現実に出場キャラ投票を行ってしまえば!
えいやー!
藤堂竜白が当選するは火を見るより明らか!
ファンは固唾を飲み震える手を必死に抑えながら雑誌を手に取る……
藤堂の名が…… トップの座に刻まれていることを確信しながら……!
(゜ロ゜;!?
なーんか、下のほうに地味ぃーに名前があった。
情報操作しやがったな! SNKィィッ!(してない)
どうやら竜白は実際のところ、
好きだけど「彼女に」っていうには、ちょっと…… っていう女友達
くらいの存在だったようだ。
結局、当時稼動中だったリアルバウト餓狼SPからビリー、マリー、山崎が当選。
山崎はオロチ八傑集の一人という設定まで貰っていた。
そのあまりに小綺麗にハマった結果から、未だに出来レース説が根強かったり……
ちなみに投票受け付けキャラは'96に出ていないキャラ限定だったので
ギースに票は入らなかった。まさか'97で消えてるとは夢にも思わなんだ……
THE EVANGELION OF FIGHTERS
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はい! エヴァネタのー! コーナー!
なぜエヴァネタにこだわるのかと言うと筆者がエヴァ好きだからである。 |
では一発目ぇ!
庵完全に暴走初号機になっとる!
二発目ぇ!
以上でした。
KOF'97 STORY
オロチ復活を目前に控えながらも未だ反目し合う草薙と八神。
神楽は今年もKOFを開き、二人を同じ場所に集める。
しかしチームを組んで参加して来たのは草薙のみだった。
シード選手として個人登録されながらも、八神は姿を現さない。
血の暴走。
庵は己が身に流れるオロチの血と戦い続けていた。
妖しく暗闇へ誘う、殺したはずのオロチの女。
現実か、幻覚か。
それさえ判断出来ないほどに暗黒の血は庵の身体を蝕む。
吐血。拭うのも面倒だ。
もはや庵の眼には京しか映らなかった。
大会に優勝した京の前に八神庵は現れた。
宿縁に終止符を。運命に支配された闘い。
八神に流れるオロチの血は完全に暴走していた。
こんな闘いは望んでいない。こんな決着は望んでいない。
二人の気持ちが初めてひとつになった瞬間、庵は倒れる。
面白い出し物だった。
そこへ現れたのは今大会の参加者であったニューフェイスチーム。
七枷社、シェルミー、クリス。
彼らはオロチ八傑集の精鋭、
乾いた大地の社 荒れ狂う稲光のシェルミー 炎のさだめのクリス
オロチ四天王の残り三人だったのだ。
――オロチ八傑集
魂によって輪廻する人ならざるモノ達。
ゲーニッツ 社 シェルミー クリス マチュア バイス 山崎
そしてレオナの実父ガイデル
ゲーニッツは天に還り、マチュア、バイスは死亡。
山崎は覚醒しておらず、
ガイデルは完全には覚醒し切れなかったため人を愛し、子をもうけた。
|
その際、主の導きに反したガイデルは
ゲーニッツによって血の覚醒が行われた実の娘、
レオナにによりその命を奪われる。 |
人とオロチの混血であるレオナもまた八神と同じく血の暴走に苦しんでいたが、
やはりオロチの側につくことはなく、人として生きる道を選択する。
もはや残された首は社、シェルミー、クリスの三つのみ。
しかし彼らの目的はゲーニッツが解放したもののまだ未覚醒であるオロチ復活、
そのための“精神力”を集めることだった。
ターゲットは並々ならぬ精神力を持った格闘家達。
神楽ちづるが三種の神器を集めるために開いたKOFが、
皮肉にもオロチ復活の手助けをしてしまったのだ。
三人のオロチの首と闘う京、庵、ちづる。
そこでぶつかり合う精神力もまたオロチ復活への礎となってしまう。
社達を倒す三人。しかしその後に訪れる絶望を回避することは出来なかった。
オロチはクリスの中に居たのだ。
クリスを触媒に完全復活したオロチの目的は無への帰還。
地球の自由意志であるオロチは自然の一部から逸脱した人類にとっては“悪”。
そしてオロチも堕落して行く人類に地球の未来を憂い、全人類を抹殺しようとした。
1800年前、神話の時代の真実である。
人類を滅ぼす為のエネルギーは莫大なものだったが、
それは神の血を引くと言われる神聖な娘、
櫛稲田を生贄とすることで充分に可能なことだった。
が、結果は失敗。
三神器は櫛稲田を守り通し、オロチを封印することに成功する。
しかし、やがて訪れる八尺瓊の謀反。
オロチの力に魅せられた八尺瓊はオロチの封印を解き放った。
だがそこに誤算があった。
解放されたのはオロチ八傑集の魂のみだったのだ。
オロチの長の封印は事態を察知した八咫により、
別の場所へ移されていたのである。
以後、八咫は神楽と名を偽り、この封印を護り続ける。
オロチと契約した八尺瓊が身に付けたのは禍々しい蒼い炎と、
もはやヒトを超えた境地の技、いや技とも呼べない純粋な暴力、
禁千弐百拾壱式・八稚女だった。
八尺瓊家はこの最強最悪の技を以って本家である草薙家と戦うが決着はつかず、
八傑集の魂は何処かへ消えた。
そして現代、なぜ今になって八傑集が動き出したのか?
その答えは櫛稲田にあった。
それを奇跡とオロチは言う。
櫛稲田の転生。櫛稲田は遥か時を超え京の恋人、ユキに転生していたのだ。
三神器を葬り、櫛稲田を手にする。その後に残るのは、無。
オロチの目論みを崩すには草薙と八神の共闘が絶対条件だった。
裏百八式・八酒杯。
かつて八尺瓊がオロチを封じ、草薙へ繋いだ奥義。
しかしオロチが持つ蒼い炎しか放てぬ庵にこの技でオロチを止めることは出来ない。
紅い炎。かつてゲーニッツを倒した時に放った紅い炎が必要だった。
血の支配者であるオロチの長を前に、庵はそれを……放つ!
オロチとの決別。八神がではない。庵個人の闘い。
血の暴走と戦い続けた、憎しみと苦しみの世界との決着だった。
そして……払う!
この時の為に生み出され、受け継がれてきた草薙家最大の奥義、無式。
ゲーニッツへも使うことのなかったこの危険な技をオロチにぶつける。
決着。
終わったはずだった。
しかしオロチは実体を持たぬ思念体。人に滅ぼすことなど出来ないのだ。
ならばかつてのように封じるだけだ。
戦う力を失った、もはや八叉の首も持たぬオロチをただ封じれば良い。
だが、それでも不敵な態度を崩さないオロチ。
オロチには最後の首があった。この時のために誘惑し、手に入れた最強の首。
八神。
それは咆哮だった。
打ち勝ったかに思えたオロチの支配。
だが主であるオロチの呼び掛けは庵に脈打つオロチの血を極限まで活性化させた。
心も、体も。自我、もはや自分の存在さえも失い猛り狂う庵。
ソレの脳裏にはオロチによって八神家に宿命づけられた長年の悲願、
草薙抹殺だけが鮮明に輝いていた。
音をあげ京の命を狙う庵。だが庵が掴んだモノは京の背後……!
有り得ないことだった。
オロチの長の支配を逃れ、咆哮と共にその首を締め上げる庵。
救ってやらなければならない。
八神という罪を背負いながらあくまで一個の庵としてもがき、苦しみ、
孤独に闘い続けたこの強敵を。
八神と、オロチの力が交錯する強大な力場。
そこへ最後の、全霊の炎を拳に纏いぶつける。
そんなことをすれば、そこへ残る物はない。
草薙も、八神も、そして傷ついたオロチもそれに耐えるのは不可能。
しかしためらいはなかった。
あの八神がそんなことで死ぬはずがない。あの京が死ぬはずがない。
信頼にも似た確信が京に引き金をひかせる。庵はそれを受け入れる。
まだ終わりじゃない。草薙も八神も関係ない。二人の決着はまだついていない。
そして、白い大地だけが残った。
PICKUP
FIGHTER |
矢吹真吾
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某カプ社の意図的に弱いダンと見よう見まねでリュウの技を使う春日野さくらとを
掛け合わせてさらに京のコピペで作られた劣化キャラ。
という説明が成り立ってしまうほど非常に幸薄い生い立ちを持つ彼、矢吹真吾。
意図的に強いキャラを入れてしまうとバランス崩壊が起こるが、
弱いキャラを入れるならば何も問題はない。
そこに刻まれた確かなアンチテーゼと共に姿を現した真吾は
京から無敵やガードポイント、追加入力、そして炎を削られながらも
実際、絶望的に弱いわけでもなかったが、ランダム(?)で発生のクリティカルヒット等、
遊び心がふんだんに盛り込まれた面白いキャラだった。
そして使うプレイヤーもまた遊び心で彼に接し、
KOFのお笑い担当として妙な人気を定着させた。
ちなみに今作、KOF'97の野良対戦は意図的に入れられた強いキャラ、
暴走庵で
崩壊している。
そんな熱血脱力系の彼だが、'97発表当時はなぜか特別扱いを受けており、
正式公開を前にただ一人だけ伝統の
シルエット公開がなされていた。
>参考
元祖シルエットの怪
とりあえず
ジョーではないと思われるが、その思わせぶりな展開、活動的なポーズ、
チームを組まず、シングルで出場するという超越した力を予感させる断片情報。
漆黒のヴェールに包まれた、頭から墨汁を被ったような真っ黒な姿の彼に
人々はこの男がKOF'97の鍵を握る、
ゲーニッツに続く新たなるオロチ四天王の一員だと確信した。
が、
真吾だった。
SNKが一体何をしたかったのかは今以って不明。闇に覆われたままである。
PICKUP
FIGHTER |
七枷社
シェルミー
クリス
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決め台詞 |
ケンカが強いうえに男前!
わたしからのプレゼント!
やだなぁ…… 強そう…… |
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ふと決め台詞というか
単に好きなセリフを抜いてるだけなことに気が付いたが、
今作の完全新キャラ、ニューフェイスチームの面々だ。
目が肥えたせいか一見地味でパッとしなかったこの3人。
しかし実際、使ってみると実に個性的な技、動き、ボイス、
“動かしてみて初めて解る”
SNKキャラの魅力を思い出した格好だ。
力任せで雄叫びが心地良い社。声が可愛すぎるクリス。わけわからんシェルミー。
三人の絡みも魅力的で、久々の3人とも完全新キャラのチームでありながら
すでに完成したキャラメイク力を感じた。
しかも実はオロチ四天王の残り3人だと言うからたまらない。
毎年一人ずつ四天王が出て来るのだろうと誰もが思っていた中での
この大盤振る舞いには当時、本当に驚いたものだ。
必殺技や演出が違う裏ニューフェイスチーム、
オロチチームとしても使用可能で、その魅力を倍化させていた。
と言っても実際使うといまいちやる事が少なく底の浅いキャラだったりする。
コマンド重複が激しく暴発が友達。
しゃがみガード不能のローキックという謎の
バグ技が武器の社。
下強Pとコマンド投げしか
やる事がないシェルミー。
使える必殺技が
ない全然
ないクリス。
3人とも新キャラゆえにモーションを凝ったせいか、
技のスピードが遅すぎて使える技がごく一部に絞られてしまうのが問題。グムー
まぁオロチ版もあるから良しとしますか。次の'98では改善されてることだしね。
空耳'97
▼チ●コキィーック!
何度録り直しをしても必ずこう誤聴されるのは何故だろうか。
▼超サービッスゥ!
これはエヴァのパクリではなく、
「ひとつ! ふたつ! みっつ!」と言っている舞のボイス。
▼アフロの舞!
白鷺の舞。
▼草薙を破り、ジョーは舞う……
舞わない。「〜を破り、どう思う?」説もある。どう思う?って言われても……
2002でMAX2にもなった「サナギヲ破リ蝶ハ舞ウ」