KOFの完成形とも言える'98。それをさらに超える物を創るには……?
ゲーム性はもはやこれ以上イジりようがない。
しかしそれでは'97から全く変化のないゲームになってしまいます。
ならば答えはひとつ!
新システムを上乗せするのだぁ――――ッッ!!
そして
見事にコケた 、'99。
時のゲーセン離れは深刻で、ゲーセン、KOF、
ひいてはNEOGEOを見限る格好の機会を自ら創り出してしまいました。
このゲーム、結局プレイ感覚は'97〜と大差はありません。しかしダメでした。
では何がいけなかったのか?
プレイヤーがもう飽きていた。それもあるでしょう。
しかし決定的だったのはやはり上乗せされた新システム、
“
ストライカーシステム ”でしょう。
これは今までの援護攻撃(気絶時、掴み技を受けているときのみ特殊条件下で発動)
というマイナーシステムを表舞台に上げたようなシステムで、
試合中にBCを同時押しすることで
画面外から仲間が飛び出して攻撃してくれるという……
うん、カプコンのvsシリーズで見たような、
そんな感じのアレ でした。
格ゲーにおける、自分以外の何かで相手の動きを止め、
そして自キャラと同時に攻撃をするという行為は非常に楽しく、
自分はそういう技を持ったキャラ(設置系)をよく使っていました。
そのため今作のストライカーシステムには大きな期待を寄せていたのですが……
いざ使ってみるとわけわからん!
なんかゴチャゴチャしてわけわからん!
使ってもわけわからんが
使われるともっとわけわからん!
あの画風で最大4キャラが入り乱れる様は
予想以上にバトルロイヤル でした。
さらにこれにより3on3だったKOFの伝統は崩れ、
従来通りの3人+ストライカー専用キャラとなったのですが、
結局いつもの3人+使い易いストライカーキャラという形に収まり、
みんな同じストライカーしか使わないという結果になりました。
意味ねー スタンバってる次キャラが自動的にストライカーやればいいじゃんー
他にもゲージ関連がイジられて、
パワーMAXが“
カウンターモード ”と“
アーマーモード ”に分かれました。
カウンターモード
☆ ゲージMAX時にABC同時で発動
☆ 攻撃力が上がる
☆ ヒットバックが大きくなる
☆ ガードキャンセル不能になる
☆ かわし移動攻撃がキャンセル可能に
☆ 超必殺技連発可能
☆ スーパーキャンセル(必殺≫超必殺)が可能
アーマーモード
☆ ゲージMAX時にBCD同時で発動
☆ 攻撃力が上がる
☆ ヒットバックが大きくなる
☆ ガードキャンセル不能になる
☆ かわし移動攻撃で削れる
☆ かわし移動攻撃で吹っ飛ばせる
☆ スーパーアーマー装備(打撃に仰け反らない)
☆ 必殺技で削られなくなる
☆ 超必殺技は出せない
う〜ん、わけわからん 。
見た目の画面効果で能力が伝わって来ないのが一番の問題でしょうか。
この全効果、他の特殊動作も含めた同時押しの全てを覚えるのは
結構な熱意が必要とされ、結局自分も覚える前に冷めちゃいました。テヘッ
前転も“
かわし移動 ”とかいう中身はほとんど変わらないのに
絵と名前だけ変わっちゃって無駄に新しさを追求した結果の
感触の悪さを演出しちゃいました。
下がった後、戻って来る後ろかわしは本当に無駄ね!
真サムの退き込みダッシュかよ!
結論としては、ただでさえプレイヤーのやる気が減退している時期に
ややこしいシステムで発売してしまったのが、
スベッてしまった一番の原因と言えるのではないでしょうか。
でも京
(オリジナル) の性能はこの'99が一番好きだったりするのでお気に入り度上乗せ。
お手玉より小足からのコンボ派。
PICKUP
FIGHTER
K'
'94年から脈々と主役を張り続けた草薙京が……なんと今作からは主役ではない。
このK'(ケイダッシュ)が新しい主人公なのだ。
この主役交代劇も'99が求めた新しいKOFの形だろう。
しかし見た目は色黒のオロチ 。
ただ黒くなっただけ。
それでもカッコイイのは間違いないので、
京、庵には及ばないまでもある程度の人気は出た。
キャラ性能は今作の新キャラ全てに言えることだが、
また新しさを追求した追加入力、追加入力のマニアックキャラ。
この辺に2D格闘というジャンルの行き詰まりを感じる。
そしてそれも、「覚えるのめんどくせー」というプレイヤー離れの一因となった。
しかしこれは今作が悪いのではなく、
格ゲー自体に最初の敷居をくぐらせるだけの魅力が失われていたためだろう。
みんな飽きていたのだ。
ちなみに旧主人公の京、そして庵は'97のEDから行方不明という設定で不出場――
と、思いきやみえみえの隠しキャラとして登場した。
その際、京はいつもの学ランを着ておらず、ついに卒業したのか!?
などと大騒動になるが失踪してるのに卒業なんか出来るわけないわけで
結局ただの衣替えだったりした。
脱出時にネスツの研究所から拝借した服らしいのだが、
なぜそんなにオシャレなのか。なぜ何年も着こなしているのか。
KOF'99 STORY
京のクローンがいっぱい出て来る 。
という掴みですでにゲンナリのストーリー。
'97のラストで行方不明になった京はネスツというマニアックな組織に捕獲されており、
そこで草薙の炎の解析を受け、クローンを作られた。
その際、京の炎を移植されたのが新主人公K'。
という設定だがオールドファンのほとんどは
コレ
なかったことにしたい のではなかろうか。
今までの日本神話をベースにした神秘的なストーリーとは対極に位置する
SFチックな世界観。あまりにも唐突と言わざるを得ない。
どうにも暖かみが失われてしまった。
しかも旧SNK倒産の煽りで未完のまま投げっ放しにされ、
版権を引き継ぎ、非SNKレーベルで製作された2001も
2002があるかどうか解らないという状況だったために
ひたすら強引にこのネスツ編を締め括っている。
よって結局投げっ放しなのはそのままで謎が謎のまま残ってしまい、
一応、設定的に決着がつけられている部分でさえゲーム内のストーリー進行では
全く意味が解らないというどうしようもない状況になってしまった。
それによりこのネスツ編の詳細を理解するのは極めて困難であり、
未だに誰が誰のクローンで誰々はクローンではない等、
情報錯綜状態のままなのである。
したがってここで確実に公式と言える設定、ストーリーを
書き綴るのは不可能なのだが、半公式状態の嬉野秋彦氏の小説の設定を交えて、
キャラ設定から可能な限りネスツ編に迫ってみることにしよう。
K'
彼に何か才能があったのかそれとも手当たり次第だったのか、
幼少時に姉のセーラもろともネスツに拉致される。
その後、肉体強化を受けながら成長し、草薙の炎移植の被験者に選ばれた。
移植は奇跡的に成功するが、特殊なグローブを用いねば暴走してしまう上に
右手からしか発動出来ないという、ある意味、クローン京以下の能力でしかない。
とはいえ、例え右手からのみでも草薙の炎を完全に引き出し、
強化された肉体と卓越した戦闘技術で使いこなせるのは
劣化クローンにはない大きな武器であり、
やはりネスツにとって彼が特別な存在には違いない。
そもそも後天的に異能を受け入れた者達の過去は、
ルガールの消滅、八神庵の暴走とそれぞれ悲惨な結果をもたらしており、
KOF世界でのこのK'の移植成功という結果は神秘的な現象なのである。
無意識に戦い続ける冷徹な戦士にすべく記憶をブロックされており、
自分の年齢、名前さえ思い出せない。
K'という名はK(草薙)計画におけるコードネームである。
その記憶はネスツ編完結のKOF2001、ラストバトル直前にネスツのボス、
イグニスの手によって他の記憶のない少年少女共々戻されている。
この'99ではまだネスツの一員としてKOFに出場し、戦闘データをネスツに送る傍ら
二階堂紅丸、矢吹真吾とチームを組むことで脱走したオリジナルのK、
草薙京を誘き出す任務を負っていたのだが、
最後のデータ、人をどう殺すかというデータを採取するためにネスツの幹部、
クリザリッドを通して命を投げ出すことを要求された。
元々忠誠心があったわけではないが結果裏切られた形になるK'は
ついにネスツと敵対し、逆に組織から裏切り者とされる。
またK9999ほどではないが情緒不安定という精神的な疾患があり、
それは強化による副作用らしい。
マキシマ
K計画の前の改造人間計画である、M計画の被験者。
親友をネスツに殺されたことで敢えてネスツに入り、力を求めた。
全身の80%に機械的な改造を施されておりもはや人間よりもサイボーグに近い。
結果、その戦闘力は兵器そのもので、KOFに参加すること自体が反則である。
M計画は結局マキシマ以外に成功例がなく頓挫。
よってマキシマが唯一のM型戦闘員ということになる。
尚、“マキシマ”という名は本名ではなく、
MAXIMUMと彼の改造に当たった巻島博士の名前をかけて借用したらしい。
駄洒落のようだが公式設定。
K'同様の任務でKOFに出場するが、裏切られたことで
逆に本来の目的である対ネスツへの活動を開始するキッカケを得る。
しかし親友とのエピソードは全く公開されないまま終わった。
ウィップ
操作は受けているもののK'の姉の記憶を持ち、
自分は(K'の記憶の一部を持っている)クリザリッドの姉と
思い込んで生きて来たが、実際は実験事故で死んだセーラのクローンであり、
それ故、K'の姉として年齢が合わない。
ネスツにおける最初のクローンの成功がこのウィップということになるが、
記憶の移植をされたのはクリザリッドの方が先である。
強化の有無は不明なものの、戦闘時の異常ハイを見るに
精神に疾患が来ていると見た方が妥当で、やはり強化を受けているのだろう。
弟だと思っていたクリザリッドがK'のクローンであるという事実を知った彼女は
自分の存在にも疑問を持ち、ネスツからの離脱を決意。
2000のラストで同じくクローンだったゼロから真実の入ったディスクを受け取り、
自分の正体を知った後はK'達と共にゲリラとなってネスツと戦う道を選ぶ。
クローン京
K計画による草薙京のクローンだが所詮は劣化コピーに過ぎず、
オリジナルの京に逃げられた後はさらに劣化を繰り返し、9999体目で頓挫。
KOF2001の新キャラであるK9999に至ってはもはやオリジナルの面影すらもなく、
炎も微弱で使い物にならない。
だが、本来処分されるはずだったK9999は強化による突然変異で
異形の腕が発現し、その力によって戦闘員として生きることを許された。
また彼も記憶を操作されており、本人は自分がクローンだとは知らず、
K'同様に草薙の炎を移植された人間だと思っている。
その為、K'が完成品であり、自分が出来損ないの欠陥品であるという事実に
強いコンプレックスを持っており、彼を激しく憎むことになった。
だがそれにしても常軌を逸したK'への執着はやはりネスツによる記憶操作と、
そして改造の副作用による精神の疾患という要素が大きいだろう。
忠誠心や協調性は皆無で、命令による抑制を嫌い、
相手が同じネスツの仲間であろうと激しい敵意を露わにする。
ダイアナ、フォクシー、クーラの派閥とは致命的に仲が悪い。
尚、オリジナルの草薙京はこのK計画によって無式のデータを吸い出された際、
何かのエラーで全力で炎を操ることが出来なくなってしまい、
無式っぽい三神技之壱を出せるKOF2003まで力の完全復活には至っていない。
よってネスツ編のキーワードである“地上最強の人間”はこの時点で京ではなく、
やはりK'が第一候補なのである。
クリザリッド
K'の記憶の一部を持ち、K'は自分のクローンであると思っていたのだが、
実際は彼こそがK'のクローンでしかなかった。
しかし、彼は恐らく“草薙の炎を移植された後のK'”のクローンではなく、
K'のクローンとして移植以前に造られ、そしてK'への炎の移植が成功した後に
第二被験者として移植手術を行われている。
故に前回のデータによって移植手術の完成度が上がっているのは
クリザリッドの繰り出す火力や
グローブなしで両腕から炎を操れる点を見るに間違いない――
のだが、
THE KING OF FIGHTERS OFFICIAL WEB SITE の
クリザリッド の項を見るにエフェクト(火力)を派手にし過ぎたそうなので
設定的にはやはりK'の劣化クローンに過ぎないのかも知れない。
でなければ、大幅に劣化した草薙京のクローンではなく、
完成度の高いクリザリッドを量産すれば良かったということになってしまうだろう。
バトルスーツに頼った戦闘能力から見て炎以前に肉体的に弱いのかも知れない。
だが有能には違いなく、今回('99)の作戦失敗の証拠隠滅で
クローンゼロによって始末されるところをオリジナルゼロの救出を受けている。
K'と違って落ち着きのある物腰だが、
ウィップの前では母親の前の幼児のように幼い姿を見せ、
シスコンというよりマザコン的な脆さがある。
これも強化、あるいは肉体年齢29までの短時間培養による副作用だろう。
>KOF2000の項へつづく
空耳'99
▼トルネイィド!
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クリザリッドの「テュホン・レイジ」だが、
「飛んでいる!」「心臓抉り!」 等、多彩な空耳を持っているようだ。