サムスピ幻想というのは確かにありました。
餓狼3で餓狼幻想が儚く崩れ去ってもサムスピだけは外しはすまい。
サムスピが壊れることなど有り得ない。
荒さを勢いで凌駕するエンターテイメント的な他シリーズとは違い、
ゲーム本編は当然、凝った勝利メッセージや、
きちんと用意されている素手攻撃、素手専用技、さらに素手専用勝ちポーズ等、
とことん細部まで、それこそ気が狂いそうなほど細かい装飾が施された
このサムスピシリーズは、職人気質のゲームという印象を持たせていました。
サムライスピリッツというゲームは、NEOGEOゲーの中で、
実に異質な存在だったのです。
神聖な存在だったと言っても良いかもしれません。
でもやっちゃった!
この荒くれっぷりはフォロー出来ねぇ!
つーか
完成してないだろコレ! 最終調整せずに売っただろコレ絶対!
ざっと終わってる部分を書き出してみると……
★大抵のキャラがお手軽永久・即死コンボ標準装備
★ガード硬直中だろうとお構いなしに投げられる
★キャンセルからコマ投げが出るので、蹴り≫コマ投げが完全なハメ
★サムライなのに投げハメゲー
★斬るより小足連打のほうが強い |
わ、すごい。
餓狼3同様、調整不足での見切り発車。
かくしてサムスピ幻想も微に砕かれ、SNKの信用もまた塵と砕けたのでした。
まさに暗転入滅。散りて後、野晒す者の、悲しさよ……
他にも新導入された空中ガードがやたら高性能かつ万能な上、
カプコンのヴァンパイアのようにガード後に空中で反撃まで出来てしまいます。
その為、いつもの様に対空ジャンプ斬りで落とそうとすると、
それが成立しないばかりか逆にガード後に手痛く殺られてしまうのです。
空中投げを持っているキャラも一部のみで、
もはや常時、空にいたほうが安全なのは間違いないという状態。
そしてその手痛い攻撃力も2D格闘最狂クラスの破壊力で、
怒り付きカウンターでも喰らおうものなら大斬り一発で半分イッちゃいます。
それは別に条件付きなので否定はしないのですが、
システム上、
体力ゲージが半分程度減ると永久怒り状態になるのが問題で、
その際の攻撃力増加率が半端ではなく、何だかダメージが云々というよりも
突然死ぬという表現がシックリきます。
お互い半分程度の体力で空中戦で揉み合うと
必ずどちらかが死にます。
CPUはさらに凶悪でこちらがボタンを押すと超反応で
カウンター大斬りを合わせてくる為、つまり
ボタンを押すと死にます。
斬サムの死は、あまりにも唐突に、理不尽に襲い掛かって来る。
ある意味武士道ですが、
★背後から斬ると仰け反りが異常に大きく(永久)連続技入れ放題
★後ろ向きに投げる防御崩し標準搭載
★背後に回る“回り込み”システム |
これらから見るに
背後から斬ってくださいと開発者が言っているのは明白で、
「いざ尋常に!」の掛け声と同時に背後から
でぇやー!が常套手段でした。
武士道とはなんぞや?
とはいえ硬派に戻った雰囲気。最高画質最高演出な背景。
そして多彩なモード選択は誉めてしかるべき部分でしょう。
ビジュアルや演出は次作の天草降臨を押し退けて、
シリーズ最高と断言して間違いないです。
EDがシリーズ中最も簡素ながら、最も雰囲気が出ているというのも見逃せません。
モード選択の一つとして画期的なのが、
各キャラが“修羅”“羅刹”といった二つの顔を持っているという
裏キャラ全員搭載のようなシステムで、
技の複雑化から持ちキャラ複数というのか苦しくなってきた時期だけに
同じキャラを違う性能で楽しめるのは嬉しい限りでした。
単純にキャラ数が倍になったという考え方も有りです。
が、これもまた発想は面白いのですが練り込まれておらず、
モードを変えたのに変わってないという連中がわんさと居ました。
変えたはずなのに変わってない。モード変えても
やるのは小足。
またもう一つのモード選択として、
プレイヤーの腕に合わせて選ばせようという、システム選択も搭載されていました。
ビギナー向けの初心者設定、オートガード搭載の“剣客”
ノーマルなシステムで中級者向きの“剣豪”
そして
怒りゲージが常時MAXな代わりにガード不能の上級モード“剣聖”……
それは上級者向けとかそういう問題ではないだろ!
システムに完全無敵(投げにも!)になれるKOFの攻撃避けがあるので
全てそれで避けきれということなのでしょうが、
狂気の攻撃力を誇る斬紅郎界でそんなモードを選択しようものなら……
余裕で死ねます。
KOFと言えばパワー溜めのように、
ボタン3つ押しで怒りゲージを溜めるといった行動も追加されていて、
自分で怒りを溜めるとはどういうことだ。イヤな思い出でも思い出しているのか。
こんな感じなのか。
と、想像力を刺激されました。
何だかヒットしたKOFのシステムが
やけくそにブチ込まれた感じです。
いずれにせよ、
悪い意味でバーリトュードゥなゲームだったということですね。
三途の川が待ってるぜ!
ちなみにNEOGEOCD版以降の移植作品は小足連打が弱くなっていたりなど、
ほんのりとバランス調整をされてたりします。
しかしあくまで
ほんのりとの域を出ないわけですが……
身内対戦なら逆にこの荒唐無稽ぶりが面白い、という人も多いようです。
PICKUP侍 |
緋雨閑丸
リムルル |
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決め台詞 |
まだイケないのにぃ
大自然のおしおきだよ! |
|
見ての通りである。
年端も行かぬ美少年&美少女コンビ。
これがSNK格闘が犯した、いわゆる最初の決定的な“狙いすぎ”ではないだろうか。
KOF'95の京、庵セットが強烈に同人層を刺激し、そして矢継ぎ早にコレである。
しかもゲーム自体はク●ときた。
この辺から
ゲームはやらないがキャラに萌ゑ〜というファンが確立した印象だ。
NEOGEO、シロ! 指が折れるまで! 指が折れるまで!!
SNKオフィシャル誌のネオジオフリークでも次第にイラストコーナーが拡大し始め、
コスプレコーナーまでが連載され出した。どうも一見
ゲーム誌に見えない。
あげくキャラに手紙を書く“キャラレター”なる恐ろしいコーナーまで始まり……
拝啓、親愛なる●●●(←キャラの名前)様へ
うっ もう駄目だ、限界。
常に君のことを求めていないと情緒不安定になってしまう。倒錯した愛情。
君が君であるために俺も俺でありたい。
だからその豊満な胸に顔をうずめたい……(死)
(ネオフリより一部改変抜粋) |
こんな感じの文書が相次いで投稿された。
ヒィィィィギャァァァ――――――ッッ!!
もうNEOGEOファンなんてうっかり口にできねぇよぉ!
ヒィィィィギャァァァ――――――ッッ!!
閑丸は儚げなルックスの美少年キャラで濃いお姉さま方に大ヒット。
閑丸自体もやけに
「イク」「イク」連呼するキャラで、
明らかに狙っているのだろう。
「本気でイクよ!」「イッたよ……」「イクぞ!」「イケー!」「まだイケないのにぃ」
ここまでクルと邪推ではないだろう。
尚、
「まだイケないのにぃ〜」は続編の天草降臨でのボイスで、
斬サムでは
「まだ死ねないのに〜」だった。
なぜ変更した?
もうひとつの連呼台詞、「ごめん」「ごめん」「ごめんなさい」とよく謝るのは、
まず間違いなくエヴァンゲリオンの主人公、碇シンジの影響だろう。
天サムのEDもTVエヴァの最終回と必要以上にソックリである。
また、この閑丸は今作で覇王丸を差し置いて主人公の座をゲット。
むしろこちらが覇王丸地獄変だった。
リムルルの方は名前からも予想出来るようにナコルルの妹である。
ナコでも充分ロ●なのにさらに●リを投入してくるSNK恐るべし!
リムルルの初登場は実は前作の真サムで、背景とナコルルEDに姿が見える。
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当時、リムルルがプレイヤーキャラになるという説が誠しやかに流れ、
その際、ナコの鷹の代わりにこの熊がオプションになると言われていた。
熊は反則だろ、熊は。
というかその腰つきが反則だろ。
初代の背景からずっとこの調子だよ、この熊…… |
ちなみにそのエンディングでナコルルは死んでしまい多くの漢達が涙したのだが、
今作では当たり前のように生きている。
それはサムスピ世界の時間の流れが……
(零サム)⇒初代⇒斬サム⇒天サム⇒真サム(⇒ポリサム⇒ポリサム2⇒甦サム)
となっているかららしい。
さらに後にポリゴンでホントに生き返ったり(実は死んでなかった)、
妖精(聖霊)になったりしているようだ。
色々忙しい娘である。
汚れOVAも出たし。
←脱ぎます。
リムルルに戻って、
彼女は真サムではナコルルに似て淑やかな少女だったのだが、
今作の斬サムでは突然無駄にはしゃぎ回る元気娘に変貌していた。
ユリ現象再びである。
しかし姉の壁は厚く、人気では到底かなわないばかりか
お姉さんナコという称号でナコを大人っぽく印象付ける引き立て役と化してしまった。
もっとも、それでも今は充分な固定ファンが付いているようだ。
最高の栄誉は次回作の天草降臨で、引退し、今や伝説のアイドルと呼ばれる
松本恵さんに声を当ててもらったことだろうか。筆舌に尽くし難い演技力だったが……
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にしてもSNKに絡んだアイドルには
なぜ引退の二文字が付きまとうのか。
(※現在は松本莉緒と改名して復帰。応援スルルル) |
PICKUP
武器 |
傘 |
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傘である。見慣れた今となってはさしたる違和感もないが、
傘である。
刃物煌かすサムライ共に挑むる少年の武器は
傘である。
骸羅の
数珠もどうかと思うが、あれは鉄球のような威力があるのだろう。
しかしながら少年、緋雨閑丸の武器は
傘であった。
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一応、彼は背中に刃物を背負っており、
その名も大祓禍神閑丸という
天外魔境のようなアレなのだが、使わない。
この斬サムで刀を抜くのは実に
梅雨円殺陣と雨流狂落斬のみなのである。
武器飛ばしで傘が飛んでも抜かない。潔く素手だ。 |
だがその傘の威力は刃物に劣るところなく、
広げた際の巨大な攻撃判定は
明らかに刃物より強力であった。
昇り強斬りでアッサリと中段でゴッソリ |
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異常な角度からのめくりでゲッソリ |
閉じて叩き付けるのは確かに痛そうではあるが、
広げた部分になぜ
血ィ吹いて半分減るような威力が……
後に中強斬りであっさりと刀を抜くようになった閑丸だが、
彼は刃物を扱うことにより
明らかに弱くなったと言えよう。
ちなみに修羅閑丸はしゃがみ中斬り≫武器飛ばしで
半分以上減って気絶なので、
むしろ剣聖で挑んでこの一撃に賭けるスタイルの方が強いかも知れない。
恐ろしい傘である。良い子は真似しないように!
空耳スピリッツ 空耳無双剣
▼汝に死嘩護……(天麟の書)
天草のやられボイス。「汝に死(慈悲?)あらんことを……」か?
▼貴様の京は、は数倍凄ぉぉ〜
キミはサムスピよりKOFの方が向いているよ、という斬紅郎のやられボイス。
「貴様の顔は忘れまいぞぉ〜」と言っているらしい。
▼大矢夫人!
だ、誰……?