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THE KING OF FIGHTERS 2001

THE KING OF FIGHTERS 2001

SNKが倒産し、本来ならば出るはずのなかった作品。それがKOF2001である。
KOFファン達は初めてKOFのない夏を過ごし、そしてどこか空虚なまま訪れた冬。
タイトル発表後、詳しい事情を知らないユーザー達は当然、
旧SNK水準のままにKOFが今年も開催されるのだろうと無邪気に思っていたのだが……
何じゃこりゃあああ! という悲鳴が舞い踊ることとなった。

目立たないポジションながら数々の職人芸を見せてくれた背景は見る影もなくチープに、
あんなにバトルを盛り上げてくれたBGMはまるでお経のような単調さ。
一見して解る部分でこれなのだから、対戦バランスなど期待出来るはずもなく、
バグも絡んで大崩壊という最悪のシナリオが待っていた。

今作は韓国のEOLITH(イオリス)という会社の金銭的支援を受けて開発されている。
“PLAYMOREは韓国企業”という間違いが広がる原因にもなったのだが、
開発はあくまでブレッツァソフトであり、旧SNKのスタッフなのだ。
逆に言えば当時のPLAYMOREはスポンサーに出資して貰わなければ
ゲームも開発出来ないような状況だったのである。
加えてこの、そもそも旧SNK社員がPLAYMORE、ブレッツァ、サンアミューズメントと
別たれてしまっている中でさらに海外のスポンサーが付くという状況。
会社間の意思疎通が上手く行われていたのか……?
という疑問は、出来上がったゲームがすでに答えてくれたのではなかろうか。

とはいえ、基本的にいつものKOFの丸コピペなので挙動に違和感はなく、
そして新システムの“タクティカルオーダーセレクト”――
4人のメンバーを戦闘要員とストライカーに振り分けるシステムは、
この手の“対戦相手と人数(体力ゲージの本数)が違う”という
理不尽を生み易いシステムを敷いている作品にしては、上手い具合のバランスになっていた。
強引な締め括りになってはしまったが、ネスツ編完結という意味でも価値はある。

そう、思えばこの頃はまだ“KOF”として遊べるには遊べるゲームが出ていたのである……

MoMo画伯



PICKUP
EOLITH
K9999
 
決め台詞 力が……勝手に……ぅわあああ!!
((((;゜Д°)))
言わずと知れた“鉄雄”である。
鉄雄と言えば原哲夫だった人間でさえ、ここで鉄雄と言われれば鉄雄を想像する。
後にAKIRAを拝見させて頂いたが、実に見事な鉄雄で御座いました

旧SNKも少々露骨なパロディを行うことはあったが、ここまでの物はさすがにない。
見た目は元より技やセリフ、さらには声優まで鉄雄で揃えて来ている。
AKIRAの原作者に訴えられたという噂ですらうっかり信じてしまいそうになる。
あまりの再現度の高さにむしろAKIRAファンから人気があるほどだ。
ここでは逆に、何故このようなキャラが生まれてしまったのかを考察してみよう。

KOF2001〜KOF2002にイオリスの経済援助が行われているのは先の通りだが、
その際、やはりスポンサーの権限は大きく、新キャラクターにも意向が反映されたとある。
メイ・リー等は“韓国版アテナ”を〜とのことだったそうだ。
“鉄雄”と同じく“ピョン吉”と呼ばれる彼女のど根性ガエルなシャツと仮面ライダーな技、
一見何の関連性もないこの二つはちょうど韓国で流行っていた日本の作品だったと聞く。
うん、まぁそうだろう。だって思いつかないもん。日本人にど根性ガエル+仮面ライダーなんて。
どういう発想なのか全然解りません

そこへ行くとこのK9999にも何らかのスポンサーの意向があったと考えてもおかしくない。
例えば、逆の立場として考えてみよう。
貴方(日本人)が韓国のヒットゲームのスポンサーを引き受けた。
当然、日本でも売れるゲームにしたい。日本で人気のある韓国のキャラクターは何だろう。
そうだ、ヨン様だ。あー、チミチミ、このゲームにはヨン様みたいのを出しなさい

うっかりこんな提案をしてしまわないだろうか?
ヨン様はあくまで実在の人物であって創作物ではないわけだが、
他に適切な例を僕は知らないのでここでは創作物として扱わせて貰おう。
韓国人が韓国のキャラを韓国のゲームに使って何が悪いの?
なんて、少々麻痺した考えがほんの少しでも浮かばなかっただろうか?

浮かばなかったならそれで良い。それが正しい判断だろう。
でもちょっとだけでも浮かんでしまった人は、ここでKOFに関する日韓の立場を元に戻してみよう。
日本人が日本のキャラを日本のゲームに使って何が悪いの?
という感覚が先方に生まれていても不思議はないのだ。
何しろ、言葉が違う。文化が違う。意思疎通も100%は不可能だ。しかしスポンサーは神も同然。

思うに、こんなすれ違いから生まれたキャラなのではなかろうか。
普通の日本人ならこれが“盗作”であることなんてすぐに解るはずである。
しかし、スポンサーに逆らうことはこの時点のPLAYMOREにとっては“発売中止”などではない。
倒産”なのである。止むを得ない事情からの忌むべき存在に違いない。
事実、現在はほぼ公式でなかったことにされているようだ。

Kザン・サブナック画伯

この別に版権を持っているわけでもないにも関わらずの再現度を見るに、
PLAYMOREにキャラゲーを作らせれば神ゲーが生まれるのはまず間違いないだろう。
あ、でも旧SNK時代だけどあしたのジョー伝説は面白くなかったな……



なかったことにしてください

調整不足だとか音がしょぼいだとかではなくて、何か間違っている部分をなかったことにするコーナー。

■勝利メッセージ画面の怪奇
気合を入れ直したり心の中でガッツポーズを決めたりと、
何気に気分を盛り上げてくれる勝利メッセージ画面。
旧来のSNKゲーでは概ねノリの良いBGMと共に人気キャラ達の美麗なバストアップが映し出され、
ちょっと小粋なセリフを発してくれたりしていたのだが……(※例外
今作ではまず誰もがユリで天を衝く怒りに身を震わせただろう。



そしてジョーで人の世の限りなき哀しみに涙しただろう。



へ、変態……! というか、もう変質者である
運営委員が総出で彼を取り押さえ檻の内に放り込まなくてはならない。
さすがにこれはマズいと思ったのか、
あるいはすでに全裸にしか見えないジョーがソニーチェックに引っ掛かったのか、
後のPlayStation2版ではデモ絵が全てノナ氏の描く公式イラストに差し替えられている。
なかったことにしてくださいというか、実際になかったことになったようだ。