公式Web
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結論から書くと、'98と並び、シリーズ最高傑作の最右翼とされている名作である。
だが、一見するだけでは背景は継ぎ接ぎだらけで相変わらずのチープさだし、
BGMに至ってはPCエンジンかとさえ思わせる低音質。
中身は相変わらずのコピペKOFで何がそこまでの評価を生んでいるのか解らない。 |
しかし、対戦格闘にはそれら全ての短所にすら目を瞑らせるに至る、
最重要ポイントが存在するのである。そう
'98以来の良バランスなのだ。
システムバランスもキャラバランスも、ようやく帰って来たのがこのKOF2002である。
今作は“対戦格闘”としては不評を貪り尽くしたストライカーシステムをついに廃し、
社、クリスらオロチ編のキャラも復活のドリームマッチ。
3on3に戻してKOF'98のリメイクとして作られている。
'98との最大の違いは、まずスピードが速いことだろう。
一見していつものKOFであるのに微妙に手に馴染まないと思ったらそれはスピードのせいだ。
そして、小技のヒットストップも減少されている。
これによって小技からヒット確認で連続技を叩き込む難易度が増し、
ローリスクハイリターンだった小技から超必のコンボが調整されたことになる。
対戦プレイヤーの腕が上がり続けた結果、KOFは器用さと反射神経を求める方向へ進んだのだ。
その最たる部分が“
どこでもキャンセル”だろう。
これはパワーMAXを発動することで、どこキャン対応技ならば
どんな技でもキャンセルして出せるようになるというシステムで、当然、長い連続技が可能となった他、
中段にキャンセルをかけたり等、崩しや連携の幅も広がった。
が、反面、このシステムは器用さへの傾倒が激しく、対戦格闘としての“駆け引き”の軽視へも繋がり、
またこのシステムがあることでMAX発動を行った際に
攻撃力が“
減る”という謎の仕様が実現されることになる。
パワーMAXを発動したにも関わらず攻撃力が“
減る”のである。
MAX発動をしなければMAX超必を出せないので、
MAX超必を狙おうと思ったら一度わざわざ攻撃力を下げる必要が生まれてしまう。
はっきり言ってこの“減る”という仕様が正しいとは思えないのだが、
実際は別にMAX発動にこだわらなくても、ゲージは普通に超必やあるいはスーパーキャンセル、
ガードキャンセル等に使っていれば何のことはなく闘えたりする。
つまり、必ずしもどこキャンが絶対というわけではない。
ゲージの使い道に自由度が高く、これ一択というものがあるわけではないのだ。
結局何だかんでやっぱりシステムバランスも一理あるのである。
とはいえ、どこキャンやクイックMAX発動を用いたコンボはやはり長く、
かつゲームスピードの関係で高速操作を要求されるため、敷居が高くなったのは間違いない。
今作に対して「どこキャンさえなければ」という声があるのも事実であり、
個人的にもちょっとついていけない部分である。寂しい……
また、体力減少時にMAX発動中にのみ、
さらに1ゲージ消費してMAX2という最期の大技が出せるようになったのだが……
これがあからさまに取って付けたようなスカスカな技がほとんどのうえに
信じられないような珍奇なコマンドが設定されているという、
かえって安っぽさを演出する存在になってしまった。
かつてのSNKはこういった隠しの大技のようなものは必ずサプライズを見せてくれていただけに、
センスの部分で何か旧SNK作品とは違うモノを見せられた気持ちになってしまう。
出来が良いにも関わらず、どこか感じる違和感はきっとその辺なのだろう。
コマンドが複雑なのは別に良いのだが、何しろ入力して楽しいものになっていないのが痛い。
条件をクリアし、複雑なコマンドを経てでさえ出す喜びに繋がっていない。
何というか、変な位置にボタンがあるキーボードのような感覚でむしろイラッと来るのだ。
個人的に楽しかった新コマンドは庵の↓/←/↓\→←→だけでした。
ボタン順押し系のコマンドが好きな人はいるのだろうか……?
PlayStation2版
KOF2002のPS2版にはとんでもないバグが標準搭載されている。
ボタンバグと呼ばれるそれは、スローのかかるヒットストップ時にボタン配置が変わるというもので、
主に飛び道具系を当てての追撃で致命的な不具合を起こした。
もはや一部キャラでガチ対戦は不可能と言ってしまっても良いほどのバグである。
他にもギース、ゲーニッツらSVCからのコピペ追加キャラ組は
吹っ飛ばし攻撃にダメージが設定されていなかったり等、システム上の不具合を多数搭載していた。
バグというものはどんなゲームにも付き物で、
もちろん旧SNK時代のゲームにもバグは無数に存在するのだが、これは酷い。
誰でも気付きそうなバグが放置されているのである。しかもモノが対戦格闘として致命的だ。
さらに手抜きや悪意で放置されたならまだしも、恐らく本気でやってこうなっているのだから性質が悪い。
当時のPLAYMOREはそこまで酷い環境だったということだろう。
事実、これら不具合は全て廉価版発売時に修正されている。これは結構、異例ではなかろうか。
今後は少なくともここまで酷いバグは出さないという決意の表れと思っておこう。
公式絵パニック!!
旧SNK時代にメインビジュアルを担当していた森気楼氏がCAPCOMへ移籍されたこともあり、
2001からはノナ氏が公式イラストの担当となった。
その特徴は森気楼氏の写実的な絵から赴きを違え、妖気を漂わせる作風である。
KOF2001のアルカディアムックで明らかとなった面妖なボツイラストと、
ロバートについて「マフィアの息子で女たらしらしいんですけど」といった発言から見られる
情報の食い違いが物議を呼んだわけだが、それらは結局ボツになっているので
実際の2001の公式イラストは目を見張るほどの妖気は感じない。やや個性的な普通のイラストだ。
が、これが2002に入るとボツ絵の妖気そのままを持つ奇怪なイラストが公式を飾ることになる。
庵などはKOF読本内で
「これまで見られなかった、独自の解釈の髪形に注目だ」という
一文で解説が締め括られるまでに至る、圧倒的な妖気を放った。
この世のものとは思えないリーゼントで微笑む庵の姿は
傍目には大爆笑だが、
人気キャラだけに笑い事ではないレベルにまで論争を引き起こし、
“PLAYMOREは旧SNKのキャラクターを大事にしない”というアンチ感情を生むに至った。
ゲームの出来(2001)でゲーマーにソッポを向かれ、
公式イラストでキャラファンにまでソッポを向かれたのである。
しかしどう考えても、
こんな庵や
こんな山崎、
こんなオロチ勢が
公式イラストとして採用されるのはオカシイ。事実、2001ではボツになっているではないか。
何故このような妖怪達が生まれてしまったのだろうか。
これはやはり、2001のムックにも見られた情報の食い違いが最たる理由だと思われる。
今作はまだイオリスの出資で作られており、情報が行き違う要素が充分にある。
事実、後のインタビューでノナ氏も何か聞いてたのと違うぞ? というのを認識されているのだ。
そして今回はそれをチェック出来る人がいなかったのか、時間がなかったのか、
いずれにしても縮小されたうえに複雑化した開発体制が根本にあるのは間違いないだろう。
巨人のストッパーは日本で一番プレッシャーのかかる職業とは誰の弁だったか忘れたが、
以来、PLAYMORE作品の公式イラストは誰が描いても盛大なバッシング――
と言えば聞こえの良い、中傷までもを浴びるという、ネット界有数の過酷な仕事となった。
旧SNKから引き続きのメイン以外で叩かれなかったのは
NBCのおぐら氏くらいなものだろう。
ちなみに僕は個人的には“ノナ絵”は好きだったりする。
画力は歴代随一の高さだし、老若男女万遍なく安定感がある。
単純な立ち絵にしてもポーズや構図に遊び心が感じられて見ていて飽きない。
きちんと正しい情報を先方に提供して、遊び過ぎたものにはしっかりとボツ!
と言える上司を担当に置いた上で描いて貰えれば最高のSNK絵師にもなれると思うのだが…… どう?
言うまでもなく、SNK作品のキャラクターイラストは森気楼氏の貢献が大きい。
単純な画力の話とは別に、その写実的な画風がドット絵との相乗効果を生むのである。
プレイヤーは基本的にドット絵からキャラのイメージを膨らませ、
時には自分でノートに描いてみたりといった楽しみ方をする。
その際に、森気楼氏の絵はあまりに存在感がありすぎて二次元のイメージに深く介入はしないのだ。
もし現実に彼らが存在したら…… といったイメージを膨らませる役のみを担っている。
そのため、“ドット絵から想像した自分の画風のキャラこそが自分の中での本物”となり得るのである。
例えば、北斗の拳のキャラクターは原哲夫氏の画風でしか北斗の拳のキャラクターには見えない。
なので北斗の拳のキャラを描きたい場合は“似せる必要性”が生まれる。
しかし、SNKキャラにはその必要性がなく、自分の画風こそが本物となる。
森気楼氏の画風は“似せる必要性”を与えないうえで、圧倒的な画力によって世界を表現するという、
キャラクターの魅力を2倍、3倍にも高める役目を果たしていたのだ。
SNKキャラの同人が流行った背景には決して同人向けの画風ではない森気楼氏の絵が、
実は多大な貢献をしていたものと僕は思うのである。
仮に公式イラストがコテコテのアニメ絵だったりしたら、アニメファンには受けの良い物が出来るだろう。
近年のアクが強すぎて叩かれ続きの公式イラストと比較すれば摩擦は減るはずだ。
だが、ファンに対して“似せる必要性”を押し付けてしまう結果となる。それでは駄目なのだ。
だから、SNK作品の公式イラストは難しい。
これからどうなるのか不安でもあるし、また当然、楽しみな部分でもある。
なかったことにしてください
■「黒だよ…… 真っ黒ォ!」
K'のクリムゾンスターロード時のボイスである。
何かのパロディなのかと思ったら別にそんなことはないらしい。
何を言っているのだろう、この人は……
本気で意味が解らない。喰らった相手が真っ黒コゲということだろうか……?
他にもこの2002は京の殴りながら
「響けぇ〜!」や、
アテナの
「ガラガラゲッチュ!」(MAX発動)「胸キュン? ですもの!」(MAX2)、
庵の
「ギャーハッハッハァ!」(←耳コピではなく、'02ムックの資料より引用)など、
全体的に前後関係もキャライメージも関係なく、唐突に変なセリフが挿入されまくりである。
お陰で当サイトにも
「2002の○○は何と言っているんですか?」という質問が来まくりである。
とりあえず、
なかったことにしてください。後、ボイスは
ムック買ってください。
と、切り捨てたい所だが、その唐突さがむしろ他にはない個性となったのか、
アテナ以外は後にも使用されていたりして、結局、違和感がなくなって来てるのが超自然現象。
さぁ、みんなもK'と一緒に
「真っ黒!」と叫ぼう。
「響けぇ〜!」
今作はあくまで'98に新要素を追加した言わば“リニューアル的リメイク”という形だった'98UMとは違い、
もはや完全に別物と化した“完全リメイク作品”といっても過言ではない。
まず、見た目からしてイラスト関連がイラストレーター、ヒロアキ氏のビジュアルに全面改装されているし、
オープニングなどはヒロアキ絵のままヌルッと動いたりする。
2002で見苦しいレベルだった背景は全部破棄されてその全てが新背景。
同じく聴くに耐えなかったチープなBGMもアレンジから完全新曲まで全てが書き下ろしである。
しかもその楽曲のクオリティはKOF史上歴代屈指の完成度。必聴の出来栄えである。
キャラは全員合わせて66人も存在し、数もボリュームも過去最高。
ネスツ編からかき集められた復活キャラから、裏ロバート、裏ケンスウ、裏タクマといった裏キャラ、
ボスキャラに、完全隠しの追加キャラ等、多彩な面々を操ってのプレイが可能となっている。
一部キャラはグラフィック描き直し、ボイスまで新録という気合の入りようだ。
ただ、裏ケンスウと言っても彩●堂のケンスウではないのでそこだけは注意が必要だ。
そういった意味で裏なのではない。
各キャラ、新技や復活技が追加され、当然バランス調整も入った他、
珍妙不可思議なコマンドだったMAX2も根底から見直され、
実戦的かつ使って楽しい技へと進化している。
これだけでもパッと見の印象はすでにほぼ新作の別ゲー。まったく新しい'02である。
今作は最初に発売されたPS2版からアーケードへ逆移植される際に
大幅なバランス調整、バグ修正が入っており、
さらに細かく見ればアーケードの海外版ともバージョンが違う。
'02ベースだった
NEOWAVEまで含めれば、無印から数えてもう何度も何度も手を入れたことになり、
その為、当然、過去最高峰のゲームバランスを実現している。
バージョン違いが多くてややこしいが、
家庭用で購入する際にはバグまみれかつ調整前の無印'02UMは避け、
アーケード(国内)版の移植かつ、ベスト版的位置付けで安い
闘劇ver.(PS2)、
またはオンライン対戦が可能なXbox LIVE アーケード版をDOWNLOADすると良いだろう。
ただ、Xbox360版はNEOGEO版無印'02とカラーエディットがカットされているのでそこは注意。
システム的に一番変化し、バランスに影響を与えたのは“どこでもキャンセル”の仕様変更だろう。
全ての超必殺技が“スーパーキャンセル”ではなく“どこでもキャンセル”として出せるので、
スーパーキャンセル用に+1ゲージ使うことなく、スーパーキャンセル対応技に制限されることなく、
様々な場面から安定して大きなダメージを奪えるようになった。
溜めキャラはどこキャン時のみ溜めなしで必殺技が出せたり等、
なるべく全キャラ均等に使えるように図られており、どこキャンの重要性が上がっている。
その威力は凄まじく、ゲージさえあれば7割、8割――いやさ10割も辞さない! といった激しさである。
一応、今作は3ゲージ使用でMAX超必殺技、MAX2を即出しすることが可能なので、
それらを連続技に組み込めば威力だけならどこキャンコンボにも対抗出来るが、
やはり決めるチャンスとゲージ効率でどうしても差が出て来る。
5ゲージまで溜まる大将キャラは特に、どこキャンの練習が必要だろう。
結果、やや敷居の高いKOFマスター向けの作品と言えるが、
決して無理ゲーではないので、頑張って習得するべし!
修行じゃ! 修行あるのみじゃー! って師父リュウケンも言ってるしね。
PICKUP
UNLIMITED |
ネームレス
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公式サイトで
画像を削除されたり等、現在も着々と鉄雄ことK9999の隠蔽工作は進んでいるのだが、
今作、'02UMでは
K9999だけが削除され、
改変ドットの新キャラが追加されている。
それがこの名無しのイケメン、'02UMの顔的存在として扱われているネームレスである。
基本的に性能はK9999を受け継いでおり、K9999使いもこのイケメンへと移行し易くなってはいるが、
イケメンのイメージに合わない乱暴な技は削除され、スマートなモーションに変更されている。
残念に思うAKIRAファンもいるだろうが、彼はもう帰って来ないので、
おとなしくネームレス使いになるしかないだろう。
そう…… もう……彼は帰って来れないんだよ……
今作は一応、消化不良だったネスツ編の補完もコンセプトに入っているようで、
このネームレスには
やたらと濃い裏設定が用意され、公開されてある。
しかし元々お祭りゲーだった'02のリメイクである今作にもストーリー要素は
一切なく、
実は
設定だけ公開されてゲーム中には
何の進展もない。謎も解けない。
名前も無ければストーリーも無い。
優遇されているのかされていないのかよく解らないが、
キャラ性能の方は'02UMの象徴とも言うべき即死どこキャンコンボを搭載し、
まさに火力の違いを教えてくれるのだった。
後、ボイス担当が人気声優である小野大輔氏ということが公式サイトで大プッシュされていたが、
特に大きな話題となることはなかった。