〓〓〓〓〓〓〓〓〓STORY
タンフー・ルーの下で修行した、兄テリー
ボガード、弟アンディボガードは、父を殺した男
ギース・ハワードを倒すべく立ち上がった。
二人の兄弟の前に立ちはだかる数々の強敵、
そして打倒ギースと心を同じくする元ムエタイチャンピオン、丈東と共に
今熱きサウスタウンストーリーが始まろうとしている。 |
いきなり物凄い形相のアンディ(多分)
駆け足で餓狼1の結末が語られ、自身の権力の象徴たるギースタワーから落下するギース。
テリーは勝利の帽子を投げた。見ての通り
アメコミそのものである。
と、その場、ギースタワーにおけるギースの私室とされる重要エリアに
なぜか座っている場違いな少女。何を気にするでもなく少女はただ座っていた。
その少女の前に転がる帽子。
テリーの知り合いだろうか? と思ったが、次のセリフは、
「今日の記念だ あんたもらってくれ」
どうやら深い関係ではないようだ。なぜ普通の少女がこんな場所に。
何より、目の前で人がビルから落ちた記念に物を貰っても少女は迷惑だろう。何が記念なものか。
そう思ったが、少女は笑顔でテリーを祝福した。
「コングラチュレーション グレート・チャンプ!!」
最初から繊細な日本人には理解し難いシーンである。
サウスタウンの薄汚れた路地を歩くテリー。
そして当然のようにガラの悪い連中に絡まれることになった。
しかし相手が悪すぎた。
チンピラは怯えた。まるでホラー映画で殺人鬼に出会ったように怯えた。
イヤリングがオシャレなアメリカンヤンキー風味のテリーは難なく彼らを撃退し、
と、そこに飛んで来る見覚えのある帽子。
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「やっぱりテリー・ボガードが闘って勝ったときは帽子を飛ばさなくっちゃ……ね」 |
いつかの少女がそこに居た。
後にメディア・クメールと名を語る彼女、今、
意外にもかわいい、と思わなかっただろうか?
果たしてリアルタイム読者の記憶の彼女はこんなにも可憐であっただろうか?
いや、恐らくはアメリカン特有の、角張ったアゴと分厚い唇、
無骨な一重目蓋にタワシを植えたような髪、
つまりは
こんな感じなものに記憶変換されてはいなかっただろうか?
少なくとも私はそうであった。それだけ他の面々の面容が濃ゆかったためだろう。
今、私は彼女に謝罪したい気持ちでいっぱいだ。
世が世なら「LEO ADVERのメディアたんはアメコミカワイイ」のようなスレッドが乱立していたことだろう。
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ちなみに彼女、餓狼伝説2のテリーEDに特別出演を果たしている。
メディア・クメール、メディア・クメールを覚えてください! |
テリーはまたサウスタウンに不穏な気配があると手紙を受け、戻って来たのだった。
メディアの車に乗り、目的地まで運転して貰うことになったテリー。
ちなみにここで初めてテリーは少女の名をメディアと聞き、本当に面識がなかったことが判明した。
反面、メディアの方はテリーにお熱で、どうやら熱心なファンらしい。
先のシーンでは熱心が過ぎてギースタワーの警備を掻い潜り、
テリーを応援するためにビルを駆け上がり、ぼんやりと座って応援していたということだろう。
しかし、メディアの車は盗難車だった。
「ストリト・チャンプはドロボウはしない」(原文ママ)とどこかカタコトで彼女を咎めたテリーは、
元の場所へ戻り車を返すよう進言した。
ブーイングを起こしながらも、テリーの言葉にメディアが逆らうはずもなく、引き返す一行。
と、そこに不吉な影が……
戻ってしまったことで、先ほどの連中にまた囲まれるテリー。
その中にはかつてギースの配下だった、リッパー、ホッパーの姿があった。
うんざりとしていたテリーの表情が引き締まる。
C'MOON!
あまりにも多勢、しかし、
「お〜お〜っ 始まっちまったぜ♪」
「こんなオモシロそ〜なコトをほっとく手はね〜よな!!」
「イエ〜ス! それでは俺らも」
「参加しよーぜ!!」
騎兵隊参上!!
何と! チンピラ同然のルックスのため、普通にチンピラ一味だと思われたダック・キング、
マイケル・マックスの二人は仲間だったのである!
奇声を上げながらジャック・ターナーに襲い掛かるダック!
よく見ればキャプテンコマンドーの包帯の人も居るが、大丈夫なのだろうか!?
ターナー氏はともかく、キャプコマの人は他社なのだが大丈夫なのだろうか!?
大暴れするテリー、ダック、マイケル・マックスの三名。
しかし、彼らは忘れていた。
暴れるのは良いが、この場にはメディアという娘の存在があったことを。
ふと気付くと、メディアはリッパーからナイフを突き付けられ、人質とされていた。
そしてテリーは
一気に老けた。
ダックがカットに入り、その怒りが爆発する。
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「ヒキョー物めが!!」 |
絶叫したテリーは見開きで
POWER WAVE! を放ち、リッパーを撃退する。
気の強いメディアは次いでリッパーの股間を蹴り上げ、テリー達は再びチンピラ集団との格闘に興じた。
殴る、蹴る、加えて投げるの大乱闘。
というわけで、
再び放置されたメディアだが、当然、やはりまた敵に襲われることになった。
彼らは何をやっているのか? これでは先ほど助けた意味がない。
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「キャーッ! EEEEEE……!」 |
日本人にはよく解らない悲鳴を上げるメディア。
冒頭にしてすでにもはや襲われ、人質にされ、さらわれそうになるだけの少女である。
今度助けに入ったのはダックでもテリーでもなく、突然現れたタン・フー・ルーだった。
テリーに手紙を出したのはタンだったのだ。
気付けばもう、チンピラ達は一掃されている。
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「OKEY!」 |
テリーの帽子が再び舞った。
「おお 腕白坊主」とタン。
「おいおい タンフールー そりゃないだろ」とテリー。
冒頭、一応、師弟関係が語られていた二人だが、
あれは恐らく、単行本化に当たってアニメ版の設定を知り、その場で取って付けたのだろう。
作中で二人が師弟であるような雰囲気は読み取り難い。
テリーはその後も
「このジジイはぁ〜」と暴言の嵐である。ある意味、
餓狼1設定には忠実だった。
尚、この大乱闘の後、ダックとマイケル・マックスは、
「また何かあったら呼んでくれ…… すぐに駆けつけるからよ」
と粋なセリフを残して退場するのだが、以後の展開で彼らが呼ばれることはついになかった。
タンの家へ移動し、話は再びサウスタウンにはびこり始めた悪の話題へと移った。
サウスタウンのマップを持ち出し、タン達正義側は、
ダック、マイケル・マックス、そして謎の小汚い親父と手を組み、治安を守っているらしいことを語る。
しかし、彼らの目の届く一部エリア以外はもはや無法地帯であった。
話の途中、タン家のドアが
TOC TOC TOC! とノックされた。
「はい どなたかのォ」とのん気に応対するタンだが、その瞬間……
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SKRRAK!
タンが飛んだぁ―――っ!!!! |
ドアを踏み壊し、現れたのはライデンだった。
HAAAAA…… SKKATTCH! SPLURP! CHUFF! Auuu…… GAAAAA
早速、大暴れを始めるテリーとライデン。
そして当然、また
メディアは忘れられている。
タンはチンピラに刺され、
BURN KNUCKLE!! でライデンを倒したテリーだったが、
三度目にしてとうとうメディアはさらわれてしまった。
当のテリーは
何が起こったのか全く理解していない。
どうもLEO ADVERテリーは
闘い出すと周りの状況を忘れるらしい。
何かもう、
散々な状況である。
戻って来たのはタンだけだった。
しかしタンは刺されたうえに麻薬漬けにされ、廃人となってしまっていた。
非常にリアルで生々しい描写である。
タンがここまでされたのだ。メディアは一体どうなってしまったのか!?
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「ゆるせねー!」 |
その辺のチンピラを殴り、情報を吐かせるテリー。
そこに、見覚えのある顔が現れた。
ケ、ケン! ケンじゃないか!
どうしたんだ、こんな所で。イライザとは上手くやってるのか?
そうか…… 俺は相変わらず修行漬けの毎日だよ。
どうやら俺には、やっぱり
拳が性に合ってるらしい。
って、いやいや違う。明らかに
ケンと混同されているが、
この軽薄そうな男は間違いなく今作でのアンディ・ボガードその人なのである。
先のシーンでキャプテンコマンドーの人が混ざっていたことも鑑みるに、
作者のいずれかは
本当はCAPCOMのファンなのだろう。
ともあれ同じくタンに手紙で呼び出されていたアンディと合流し、
二人はギースの残党と思われる連中の
屯するバーへと乗り込むことになった。
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「NOOOOO!」 |
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Geronimo!!
KROOOM! |
英語圏のスラングに詳しくない私にはまるで意味が解らない叫びを伴い、
(何か飛び込むときに「ジェロニモ!」と叫ぶらしい)
メディアの悲鳴に呼応するかのようにしてテリー、アンディが現れた。
必殺の斬影拳でザコを蹴散らし、メディアの元へと走るアンディ。
だが、そこに立ちはだかったのはギースの右腕、ビリー・カーンだった。
尚、満を持して登場した感のあるビリーだが、
実際は序盤のチンピラ集団の中に混ざっている。
この時は何のドラマもなく、人知れず誰かに倒されたのだろう。
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「兄貴! そいつはまかせたぜ」 |
いかにも女好きそうなアンディはビリーへの対応をテリーに任せ、一目散にメディアの元へと走った。
その先で出会った丁寧な物腰の仮面の男…… 大物の予感がする。一体何者なのか?
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MOTHER FUCKER!! |
一方その頃、テリーはビリーの退治をすでに終えていた。
急ぎ、メディアの名を呼びながら走るテリー。そこで目にしたものは……
世が世なら「メディアハード」等の同人誌が出版されていたことだろう。
く、くやしい……
ボスと思われる男と対峙したアンディの怪我は軽かったが、
なぜかメディア以上に放心状態となっていた。
彼はただ、
「斬影拳……」と呟いた。斬影ハメでも受けたのだろうか?
世が世なら「アンディハード」等の同人誌が出版されていたことだろう。