サムライスピリッツ 破天降魔の章 サムスピアニメはなぜか初代とアスラ斬魔伝と、
ナコルルのイメージビデオとの三作もが世に生み出されているようなのだが、
故あって初代を観る機会が出来た。
ちなみに幼少時に観た記憶では「抜群に面白くない……」という感想が残っている。
せっかくなのでレビューしてみよう。

寛永十五年、二月――島原の乱から物語が始まる。

自然の嘆きを聞く千葉麗子ナコルル、子安武人声の渋いタムタム、
そして王虎、シャルロット、ガルフォード、それぞれが異変を感じた。
そこで場面は宇宙へと飛び、何かの瘴気が日本に集まった。
瘴気は髑髏となって城を包み、そこからビームが発射され、
戦を行っている武士、農民問わず、全てを焼死体にした後、城も崩れ去った。

その場所へ「天草四郎時貞ー!」と、フルネームで叫びながら現れる、
香取慎吾ボイスの野太さの欠片もない覇王丸。
天草もまた女にしか聞こえない宝塚声で笑いながら出現した。
どうやら天草は「我ら六人」を裏切ってアンブロジァの封印を解いたらしい。

闘いが始まり、「奥義、弧月斬!」と叫びながら気弾を撃つ覇王丸。
天草は体内から、原作の宝珠ではなく刀を取り出した。
覇王丸を暗黒神の側に妖しく誘うセクシーな唇の天草。
それに覇王丸は「聖剣士としての誇りを忘れたか!」と激怒した。

天草の攻撃が開始され窮地に立たされた覇王丸。
しかしそこに、炎を纏った青龍刀が降って来る。
こ、これは伝説の気功爆転法!
美味しいところでなぜか空から降り立ったのは王虎を先頭とした、上記の五人だった。
主人公の技はいきなり間違ったのに王虎の技は正確である。
厳密に言えば王虎が投げたはずの剣を持ったまま降って来るので、
やはり何かがオカシイのだが。

「善なる神、アニスレイザに選ばれし我ら!」「何故に裏切った!?」
前半を王虎が、後半をガルフォードが喋る華麗なる連携トーク
その後、「野郎ぉ!」と、血気盛んに突撃した後、
王虎を先頭とした上記五人は、一瞬で葬られた

覇王丸もナコルルの制止を聞かず、「死ねぇ!」と叫んで突撃後、蒼い炎に包まれて沈黙。
炎の轟音と、天草の嘲笑だけがその場に残った。
だが、聖剣士達の焼死体から、バッファローマンが出した超人強度のような赤い球が飛び出し、
どこかへ飛び去って行った。
「最後の足掻きか、アニスレイザ!」

魂だけを、未来へ――

どうやら原作で準主役だったはずの右京は、アニスレイザに選ばれなかったようだ。



有無を言わさず百年後――

気合の入った婆さんが輪廻転生について説いているところに暴れ牛が突進して来る。
そこに現れたるは道場破り帰りの覇王丸。
早速、刀を……! 抜かずに両腕で牛を止めて転ばせた。
牛ゲーで有名な故データイーストにスカウトされるのも時間の問題だろう。

人の群。ファンサービスであざみと黒子が紛れているが、
本当にファンを思うなら弧月斬を飛び道具にしないで下さいというのが偽らざる私の本心である。
そこに王虎、シャルロット、ガルフォードの三人が立っていた。
王虎曰く「妙な連中がごろごろしてるな」
だが、弁髪半裸のアンタも負けず劣らず妙であるのは言うまでもない。
パピィが匂いを嗅ぎ取った先には、道場破り中の覇王丸がいた。



道場破りを受ける師範。
恐らく名前は藤堂先生だろう。
竹刀の覇王丸に真剣を抜く大人気なさを見せる藤堂先生だが、惨敗
看板を奪われた挙句、香取慎吾氏の邪悪な笑いを聞かされ、
地面に両手を突いて嘆くはめになった。

「はん!(鼻で笑う) 約束通り看板は頂いて行くぞ!
 はっはっはっは! うぇあっはっはっはっはっは!!」


だがこの程度の腕では探している男ではないと王虎一行は失格宣言を出し、何処かへと消えた。


江戸城――
隠し階段から地下へ進み、梵字の刻まれた巨大な石が鎮座する、
原作天草ステージへと降り立つ気弱そうな髷の男。
その男こそ、江戸幕府第八代将軍、徳川吉宗だった。
陽炎と共に現れる天草。
吉宗の後ろには、同じく天草を崇める、アースクェイクと不知火幻庵の姿がある。
跪く無数の異様な兵は邪神軍、邪神兵と呼ばれるらしい。

「吉宗よ、目安箱にはまだ聖剣士達の情報は入らぬか?」
吉宗が取り出した紙を眼を光らせるだけで手元に寄せる天草。
このような魔術を使え、邪神の力を得ているにも関わらず情報源が目安箱の天草。

そこに服部半蔵が忍び込んでいた。
それに一人、気付いていた天草だったが、(面倒なので)今は泳がせておくことにした。



見世物小屋。千両狂死郎の舞いが終わり、拍手喝采が行われている。
ちなみに、場面転換後にはすでに拍手のシーンであり、
彼の見せ場であるはずの舞いのシーンはカットされている。

その後、楽屋裏に集った狂死郎、柳生十兵衛、半蔵の三人。
天草の恐怖に骨を抜かれてしまった将軍を憂い、
幕府のために元凶たる天草を討つべく、一軍を率いて立ち向かう。
それが彼らの計画だった。

しかし、軍勢の多くは農民や町民。
彼らを纏め上げる大きな力が彼らには足りなかった。
そこで白刃の矢が立ったのは、天草が目安箱から情報を集めていた、名も知らぬ聖剣士達だった。
ちなみに十兵衛の声は地井武男さんでなかなかにはまり役である。
千葉麗子女史も長台詞だと役者的で上手い。

場面は田舎に移って覇王丸。
集めて来た看板を子供達に見せびらかしてご満悦だ。
談笑の後、覇王丸は子供達にスズメバチの退治を頼まれた。
木の棒一本で巣を落とし、妙にリアルに描き込まれた蜂を巧みな棒捌きで叩く覇王丸。
妙にリアルに描き込まれた蜂はある者は羽をもがれ、
ある者は分断されて黄色い汁の中で死んだ。

あまりにリアルなので画像は貼れないが、その辺は察して欲しい。
大量の蜂の惨死体に少々気分を害してしまったのでもうそろそろにしたい。
こういうのはもっと映倫とかその辺りの偉い人になんとかして貰いたいと切に思う。
本当にやるせない思いでいっぱいだ。
お前はその黄色い汁をどう思っているんだ。力の入れ場所が違うのではないのか。

そんな覇王丸を木の陰から見守る男性は、その画風といい切なげな表情といい、



「やらないか」の人系を連想させた。


今度は母づてに与作という木こりっぽい名前の人から熊退治を頼まれる覇王丸。
駄賃は娘を嫁にやる、ということらしいのだが、
覇王丸は「いらんいらん! 酒の方がマシだ!」と一喝。
与作の娘はそんなにひどいのか…… 覇王丸の冷たい態度が気になるワンシーンだ。

早速、家を出ると、今にも死にそうな熟女が覇王丸にしがみ付き、
「五郎を見なかったかい?」と今にも死にそうに聞いた。
どうやら五郎は二年前に神隠しにあったらしい。
そして、同じように日本各地で神隠しが相次いでいることが覇王丸の証言で判った。
もしやあの悩ましげな視線で覇王丸を見ていた男性が神隠しにあったという……!?

そして行く途中、覇王丸は例の「やらないか」系の男性と出会った。
やはり知り合いだったらしく、「茂一郎!」と呼び止める覇王丸。
あっさり五郎ではなかった
というか、ここの所、与作だの五郎だの茂一郎だの有象無象の
(捻りのない)オリキャラがわんさと出て来てちょっとした日本昔話になっているのが現状だ。

しかし、男性は覇王丸の逞しい肢体を見ると伏し目がちに去って行ってしまった。
どうやら男性は恥ずかしがり屋らしい。
自分に正直になれば良いのに……

森の奥で、覇王丸はあっさりと熊を刺し殺した。念仏を唱える覇王丸。
牛と闘ったり蜂と闘ったり熊と闘ったり、これは一体何のアニメなのだろうか

その時、村の方で轟音が鳴り響いた。
村が、燃えている。与作の村が燃えている。
邪神兵達が火矢を放ち、凶刃を煌かせて女子供を斬り殺している。
それを指揮しているのはアースクェイクだった。

茂一郎と呼ばれた男性は家が燃えているのを見て、
自分の家だけは焼かない約束だったらしいアースクェイクに約束が違うと抗議を行ったが、
鎌を刺されて死んだ。裏切り者の末路は、かくも無惨なものだった。

覇王丸の母が焼ける家から出ると、そこでは今にも死にそうな五郎の母が、
邪神兵に追い詰められて今にも死にそうだった。
最後の抵抗とばかりに石を投げ付ける熟女。
仮面にそれを受け、素顔を晒した邪神兵の顔は、神隠しにあった、あの五郎だった。
「母じゃ! 母がわからんのか!」と縋りつく熟女だが、五郎の眼は正気ではなく、
やがて背後から接近した邪神兵の刃が熟女の命を奪った。

結果、直接母を手にかけなかったことが、邪神兵と成り果てた五郎の、
せめてもの救いだっただろうか。五郎は一言も発することなく、眼は虚空を彷徨っていた。

尚、この熟女の声は巴菁子さんと言うらしいが、
淡白な覇王丸とは対照的に気味が悪いくらいの迫真の演技であり、
印象的には邪神兵よりもよほど妖怪に近かったことを、合わせて表記しておこうと思う。

「お種さん!」と、五郎の母を支える覇王丸の母。
しかしお種はすでに死んでおり、絶望する覇王丸の母は大声で、
「やめてください!」と訴えるがそれで目立ってしまい、とうとう矢で射抜かれてしまった。

ご満悦のアースクェイク。だがその大笑いは、程なくして驚愕に変わった。
一人の剣士が叫びながら多勢の邪神兵を斬り伏せ、駆け込んで来る。
覇王丸。斬り込んでは逆に斬られる邪神兵。
藤堂先生以降、やっと人間と戦えた覇王丸は圧倒的に強かった。

だが、水辺でまみえた最後の邪神兵は仮面が割れていた。
五郎。覇王丸のケンカ友達だった男。
五郎を斬れない覇王丸。
そこに現れたアースクェイクの説明で、彼らは洗脳されていることが判った。

しかし覇王丸は五郎を斬らず、五郎の刀を斬った。
切っ先が飛んだ先は偶然にもアースクェイクの腹。
エクササイズを怠った彼の怠慢がこの痛みを生んだ。
怒ったアースクェイクは五郎の首に鎖鎌を巻きつけ、そのまま投げ付けて殺した。
今度は覇王丸の怒りが爆発する。
「なぜ殺したぁ!」

尚、この五郎の声は稲垣吾郎氏ではないので誤解しないで欲しい。
いかにSNKバブル期と言えどもそんな無駄な金はないのだ。

覇王丸の刀を尻で弾んで避けるアースクェイク。ファットバウンドだ。
そしてすぐさまファットチェーンソーを仕掛けて来た。
何故、弧月斬は飛び道具なのにアースクェイクの技は正確なのだろうか

窮地に陥る覇王丸。そこで前世の記憶が、王虎のむさ苦しい肉が脳裏を掠めた。
瞬間、炎のような闘気が覇王丸を包んだ。
それは刀にまで伝い、一種の魔法剣となる。
その炎でアースクェイクを弾き飛ばした覇王丸は、旋風裂斬でさらに巨体を吹き飛ばし、
落下して来る所を駆け込んで一閃! アースクェイクの命を断ち切った。

その様子を、ナコルルとタムタムが見ている。

まだ燃えている覇王丸は村の中心部へと走り込み、次々と邪神兵を斬り捨てた。
「ぉおりぁあー! 死ねぇー!!」
中身が普通の若者と判っても、今の覇王丸に容赦はない。
やがて炎が収まった時には邪神兵は全て倒されていた。

しかしすでに、村人も全て――

思い出したように「おっ母ぁー! おっ母どこだぁー!!」と叫んで捜す。
今にも命の灯を消そうとしているおっ母は覇王丸の涙を拭い、最後の告白をした。
覇王丸は自分の子供ではない。
刀と共に流星のように森に降って来た子供だと。

「お前はこの世で何かを成すべく生まれた運命の子……
 その運命の命ずるまま、生きなさい」


それだけを言って、おっ母の身体は温もりを失った。
母と、村人達の死体の中で、覇王丸の叫びだけが熱を持って響いていた。

「なぜだ! なぜなんだぁ! おっ母ぁ―――っ!!」

カタルシスのあるアクションシーンから別離へと続き、普通に面白く、ちょっと泣いた


―――――……


墓を作る覇王丸。涙が滲むが、彼は荒れた手で村人全員の墓を作った。
かつて、確かに村だったそこは、今はただ死者の霊が漂うだけ――
ゆらゆらと漂う霊魂達は、無惨な最期を乗り越え、幸せに成仏出来るのだろうか。
せめて、天の国では安らかに。覇王丸の涙は、念仏のように光る。

そこに屈託のない笑顔でナコルルが現れ、話し掛けた。



「やっと巡り会えたわね!」


空気読め!

最上の笑顔で現れた我らがアイドル、ナコルル。
敵と認識し、すぐさま刀を抜く覇王丸だったが、ナコはそれを制止した。
「待って! 貴方と争う気はないわ!」
そう説得するが、すでに彼女は取り返しのつかない程覇王丸の神経を逆撫でしていた。

他の聖剣士も集い、戦いは収まる。
だが彼らはまだ完全に覚醒していない彼をまたも酷評した。
そこで、覇王丸の意識の中に前世の記憶が波打った。
立ち眩みがし、目を擦るが、その記憶の先では確かにムサい王虎の筋肉等があったのだ。

「覇王丸、私達は貴方と同じ聖剣を継ぐ者。
 私達は、大地の善なる心の集合体である、
 アニスレイザの意思を受けた、七人の聖剣士。貴方もその一人なの」


真顔で電波発言を行う我らがアイドル、ナコルル。
ややもすると少し怖さを感じるワンシーンだ。
宗教の勧誘などはこういった感じなのだろう。
そういえば、街道で私を呼び止め、幸せを祈ってくれた女性も同じような顔をしていた。

聖剣士は七人、なぜかリーダー格となっている王虎。
よく見ると彼はピアスをしているのをご存知だろうか。心底どうでも良い知識だが。
次にタムタム、ナコルル、ガルフォード、シャルロット、そして覇王丸。
これで六人しかいない。最後の一人は彼らを裏切った、天草四郎時貞だった。

我らの敵は天草であり、暗黒神アンブロジァ。
そして覇王丸の村を襲ったのも彼らだと知ると、覇王丸の顔が永井豪になった
比較的特長のない、逆に言えば受け入れ易い絵だったにも関わらず、
突然に炎に包まれて訴えられそうなほどダイナミックプロ顔へと変貌した。
その怒りが果てしなく深いことの証だ。

覇王丸を包んだ炎の闘気は爆発し、王虎達を弾き飛ばした。
彼らが視界を取り戻すとすでに覇王丸の姿はない。消えた。何が起こった?
まだ早い。民衆が立ち上がる前に聖剣士だけで天草に挑めば百年前の繰り返しになる。
覇王丸が天草を倒しに江戸城へ向かったのならば、全力で止めねばならない。

王虎達が騒然とする中で、聖剣士の力を覚醒させて消えた覇王丸は、
街道を、普通に走っていた

「おっ母の仇は、きっとこの俺が!」

覇王丸を追って、やはり普通に走る聖剣士達。
天草アンブロジァは炎に揺られて神出鬼没なのに
聖剣士アニスレイザは徒歩ダッシュしか移動手段がないとはどういうことだ。

それを阻むべく王虎率いる聖剣士達の前に現れる不知火幻庵と邪神兵軍団。
「ここはオレとパピィで充分だ! 皆は覇王丸を追ってくれ!」
とガルフォードがオイシイお約束シーンを逃さずに名乗り出る。
それに王虎は即答で「わかった!」と怒鳴った。
一片の躊躇もなく仲間を置き去りにする善なる心の集合体の意思達はどうなのか。

それをまた全く止めようともせず幻庵はガルフォードだけに襲い掛かった。
彼は何をしたかったのか。足止めではないのか。

駆ける覇王丸を天草が宝珠で覗いている。本当にアンブロジァの力は凄い。
アンブロジァ>>>>>>>>>>>>>>>>>アニスレイザ

そして覇王丸の前に赤子を抱えた女が走りより、助けを求めた。
モデルはお静だろうか? そんな髪型をしている(この時代の髪型と言えばアレなのだが)
それを「すまんが先を急いでいる」丁重に断る覇王丸。
別にまだ怒り狂っている風でもなく、実に自然な断りぶりだった。

彼は与作の娘にも暴言を吐いていたが、そんなに女性が嫌いなのだろうか。
やはり女よりも茂一郎氏がタイプだったのだろうか。



しかし女を追っているのは邪神兵だった。覇王丸の予定は一瞬で変わる。
「その女をよこせいぃ!」と口上を上げるどうやら普通に喋れたらしい邪神兵。
それを中身が何の罪もない青年達と五郎の件で知っているだろう覇王丸は、
何の躊躇もなく一瞬で斬り殺した。
先のシーンは香取慎吾氏の演技が紳士だっただけで、
やはり彼はまだ怒りで我を見失っているようだ。

と思ったのも束の間、場面がガルフォードへ移ると
彼はプラズマブレードで邪神兵を普通に惨殺していた

洗脳されただけの罪のない邪神兵を笑顔さえ浮かべながら惨殺する、
善なる神、アニスレイザに選ばれし者と獣、ガルフォード、パピィ。
劣勢と見るやそそくさと逃げ出す幻庵。

と、その一部始終を観察している隻眼の男がいた。
徳川幕府の剣術指南、柳生十兵衛である。
つまりは天草の手の者と刃を構えるガルだったが、
十兵衛の目的は、傀儡とされた将軍の解放、すなわち天草の討伐だった。

一方、江戸城――
「天草はどこだ!」「出て来い、天草ぁ!」「天草ぁ!」
としつこいほど天草の名を連呼しながらさらに邪神兵を惨殺する覇王丸。
それを追う王虎一行も「覇王丸!」「覇王丸!」と彼の名を連呼した。
そこに現れる邪神兵の集団。

正気を失っている覇王丸、多勢に無勢のガルを大目に見るとして、
善なる神、アニスレイザに選ばれし王虎達の集団は洗脳されただけの、
罪のない若者達にどのような対応を取るのかと思ったら――

王虎「構わぬ! 斬れぃ!」

えー!? もうこの人達、無難に暗黒神入ってるよ!!

パグナパグナで周囲を一掃するタムタム。
アムベヤトロ(ママハハ飛び道具)をフェイントに(出すのだがなぜか当たってない)、
アンヌムツベで三人一辺に惨殺するナコルル。自分で斬りたかったのか
シャルロットはスプラッシュファーント。王虎はまた気功爆転法。
善なる神、アニスレイザに選ばれし聖剣士に次々と惨殺されて行く、
さらわれて洗脳されただけの罪のない若者達。

尚、脇キャラの技はこれでもかと言うくらい原作に忠実である。
なぜ主人公の弧月斬だけが飛び道具に……

一方、その覇王丸は、

「天草ぁ!」「天草はどこだぁ!」「出て来い、天草ぁ!」

と、まだ連呼していた

台本見たら、小学生の国語ノートのように
「天草」という文字で無駄に埋め尽くされているのだろうなぁ。

先程、図らずも助けた赤子を抱えた女に声を掛けられ、
天草の間への抜け道へと案内して貰う覇王丸。
その一方で、シャルロットは死角から弓で狙われピンチに陥っていた。
だが、ギリギリで間に合ったガルフォードがまたしても美味しいシーンを獲得する。
命拾いしたシャルロットは邪神兵を仲間に任せ、覇王丸を追う。



抜け道――

「天草ぁ!」「天草、どこだぁ!」「どこにいる、天草ぁ!」

そしてまだ連呼している覇王丸。
ここまでしつこいとこれはもう香取慎吾氏のアドリブではないのか?
という疑念も沸き出でるが、一度台本を見てみたい物である。

振り返ると、案内していたはずの女がいない。
よくよく考えればただの母親が天草への道などを知っているはずはないのだ。
知っていても何もすでに不自然がない理不尽アニメだけに気付かなかったが、これは罠だ。
追って来たシャルロットの忠告も聞かず、
覇王丸は彼女を斬り倒して天草の間へと進む道を選んだ。

が、剣光が激しく点滅し、二人の体が消える。
強制ワープさせられた場所には不気味な蒼い炎が。
それはやがて人の形を成して天草四郎時貞へと変わった。
徒歩で移動させられた善なる神と違い、本当に暗黒神様は凄い
そろそろ私も半分くらい暗黒神様を崇めている

この男が天草だと知るや、「天草ぁ!」と叫んで突進する覇王丸。
しかし天草が今度は持っている原作通りの宝珠に力を込めると、
そこからビームが出て来て覇王丸を襲った。
飛び出すシャルロット。彼女は健気にも覇王丸を庇い、倒れてしまう。
まぁ王虎、タムタムと裸に近い人が多い聖剣士の中にあって、
唯一、鎧を着込んでいるのでこの程度は大丈夫だろう。

一方、邪神兵達を惨殺し尽くした他の聖剣士達は、
パピィの鼻を使い、覇王丸とシャルロットを追っていた。
すると彼らもまた光り、天草に召喚されることになった。
だが、彼らは召喚された際に不気味な樹木に身体を絡め取られ、緊縛されてしまった。

「王虎!」

と、王虎の名を叫んで王虎のみを心配するシャルロット。
先程、助けて貰ったガルはスルー

宝珠パワーでさらに覇王丸を弾き飛ばし、全ての聖剣士を制した天草は、
今度は宝珠を天へ掲げ、王虎のデコが照り返るほどの光を発した。
「我がアンブロジァの力を見よぉ!」
するとその光りは外にまで影響を及ぼし、江戸城が崩れてしまった。

古人曰く、鯱が白鷺を銜える時、強者、関の原に集う。
これぞ六人の王子の戦いの中章なり――
と言う。

六人の王子とはすなわち六人の聖剣士!?
鯱…… 鯱(しゃち)は鯱(しゃちほこ)とも読める……
そうだ! 鯱とは名古屋城の屋根の両はじについている飾りの金の鯱のことだーっ!!
そして今、我々のいる姫路城は白一色に統一された外観の優美さから、
昔より人々から別名、白鷺城とも呼ばれていたんだーっ!!

ゲェー! 鯱が白鷺を銜えた―っ!!


という展開を期待したのだが、
崩れた江戸城の地下から石で出来た異様な城が浮かび上がるだけだった。

城の全景が映し出され、天外魔境2さながらに『邪神城』というテロップが入る。
やがてそれは発光し、バリアまで築いてしまった。
やはり暗黒神様は凄い。
もう8割方、暗黒神様に心奪われている視聴者たる私だが、
しかしここまで出来るのに情報源は目安箱しかないことを思い出して冷めた。
というかもう、このアニメを観るのにも冷めた。

暗黒神の結界で包まれた邪神城に聖剣士達を閉じ込め、そして覇王丸の憎しみをさらに煽る天草。
憎悪のままに剣を振るう覇王丸を軽くいなしている。
すると唸る覇王丸の身体から再び炎が噴き出し、また顔が永井豪になった
しかしこの炎は憎しみの炎。暗黒神に捕らわれつつある彼のくすんだ炎だった。

「なぜ私達を裏切って、暗黒神の封印を解いたりしたの!?」

と天草に訴えるナコルルだが、
まぁ善なる神、アニスレイザはまるで役立たずだからなぁ。
天草がFA移籍するのも致し方ないと言えば致し方ないんじゃないかなぁ。

さらに聖剣士達六人の魂を取り込んで暗黒神は完全体となる
という設定を唐突に公開する天草四郎時貞。
アンブロジァは益々凄くなるらしい。
そんな魅力に心惹かれたのか覇王丸の炎がさらに過熱する。

「我らが百年前に敗れた訳を思い出せ!」

と野太い声で訴えかける王虎だが、あんた達が弱すぎたからだ
出て来て数シーンのうちにすでに屍となった貴方達が戦力外だからです!
そして今も木の根っこみたいので緊縛されてる貴方達が全く役に立ってないからです!

民衆が立ち上がるのを待てと言う王虎。
民衆はいつの世も恐怖に屈すると言う天草。

二人の激論バトルを尻目に憎悪の虜となった覇王丸が斬りかかった。
このままでは覇王丸は暗黒神に取り込まれてしまう。
緊縛プレイ中の覇王丸、シャルロットを除いた四人は気を集中し、結界を破ると言い出した。

剣から生まれた炎が集い、それが炎のビームとなって邪神城に僅かばかりの穴を空ける。
そこに覇王丸に抱きついて飛び込み、脱出するのが、
一人だけ何もしてないシャルロットの仕事だった。

かくして、聖剣士四人は覇王丸とシャルロットだけを外界へと解き放つ。
二人に、希望を託して――



シャルロットが目を覚ました場所は、なぜか覇王丸の村だった。
隣りに横たわる覇王丸の脈を確認する。
するとその様子に気付いた子供達が、覇王丸の下へ駆け出して来た。
子供達は村外れで遊んでいたために惨劇を逃れていたらしい。

一週間が経過したが、小屋に運ばれた覇王丸は精神を囚われ、苦しげに呻くだけだった。
そこから眺める景色に、煙が上がる。邪神軍が近くまで来ている。
覇王丸は永井豪の顔のまま、精神世界で天草に誘惑され続けていた。

覇王丸を罠に導いた赤子を抱えた母親の話を持ち出し、民衆の移り身の早さを説く天草。
守る価値はない。そう断言する。
さらに茂一郎氏の裏切り行為までも覇王丸に告白し、彼の心を大きく揺さぶった。
共に立ち上がったはずの民衆に裏切られ、乱に敗れたことが天草の深い傷となっている。
いやそれは目覚めだったのか。

一方外界では、「覇王丸の心の中に入って連れ戻して来る」
とシャルロットが突然、無茶なことを言っていた。

いや、腐っても善なる神、アニスレイザ。
それくらいの奇跡は起こして貰わねば困る。
というか、そんなことが出来るのになぜ一週間も放置していたのか。

再び精神世界。
どんなに信仰しても、善なる神は応えてくれない。
ならばと瀕死の天草は、自らの命を捧げて暗黒神の封印を解く。
すると再び場面が宇宙へと飛び、霊気パワーが降りて来た。
そして復活した天草の力によりビームを発射する島原の城。
これが、百年前の島原の乱の真実だった。

自身の過去を語り、尚も覇王丸を誘惑する天草。
そこに現れる、精神体となったシャルロット。

「覇王丸、惑わされるな! 善なる神、アニスレイザの意思を思い出せ!」

そんなものあったか?
と、ややもすると自己主張の全くないアニスレザの意思を
ここまで観て来ても感じられないかも知れないが、その主張に天草が怒った。
そして放たれるビーム。シャルロットは吹き飛び、アーマーが砕け散った。
さながらファイティングバイパーズのようである。

SEGA AGES2500シリーズ Vol.19 ファイティングバイパーズ

そして外界では、覇王丸の眠る小屋へと不知火幻庵の魔の手が迫っていた。
覇王丸とシャルロットは動けない。
今、彼らを守れるのは、まだ小さな子供達だけしかいない。
彼らに、最大の危機が迫っていた――

だから一週間も無駄に過ごしてるから……


ついに小屋の前まで押し寄せる幻庵with邪神軍。
だがそこに、地を跳ねながら這う、炎が飛び掛って来た。
忍法、爆炎龍――服部半蔵と、忍者、農民の混成軍。
今、邪神軍と半蔵軍団との合戦が始まった。

精神世界では、鎧がはだけて肌が露出し、妙に色っぽいシャルロットと天草が、
今に民衆が立ち上がる、否、裏切られるだけだ、と押し問答を続けていた。
子供達の声がこの世界まで届く。だが覇王丸は動かない。
むしろ、天草の誘惑に負け、一歩、また一歩と暗黒神の下へ歩んでいる。

「お前の運命はこんなことなのか!」

涙ながらに訴えるシャルロット。
運命――
アニスレイザがどうのこうのと言われても全く反応のなかった覇王丸が、その言葉に反応した。

――お前はこの世で何かを成すべく生まれた運命の子……
――その運命の命ずるまま、生きなさい

おっ母の声と、幻庵に目前まで迫られながらも覇王丸に呼びかける子供達の声が、
今はハッキリと聞こえた。壮大な曲がかかる。正直、名曲。

「さぁ暗黒神の下へ来るのだ、覇王丸!」

と叫びながら何故かビームを撃ち攻撃を行う天草。
それでは暗黒神の下へ来る前に死んでしまう。
覇王丸の身を案じたシャルロットははだけた背を覇王丸の前に晒し、ビームを受ける。
そして尚も訴え続ける。

全ての想いを汲み取った覇王丸はついに自分を取り戻し、
「もう俺は惑わされんぞ!」と叫びながら拳からビームを撃った
それに飲み込まれ、天草は覇王丸の精神から追い出された。

外界では、子供達が覇王丸を守らんとを庇い、戦う姿勢を見せていた。
子供といえども全く容赦する気はない魔道の幻庵。

その時、子供達の後ろで奇跡の漢が立ち上がった……!

「俺は聖剣士、覇王丸!」

幻庵の肉転突きを躱し、「弧月斬!」と叫びながらまた気弾を出す覇王丸。
言うまでもなく、肉転突きは正確なのにも関わらず弧月斬は気弾である。
しかも空中から出す器用さを見せてくれた。

そして覇王丸の斬撃が入り、幻庵は文字通り真っ二つにされて死亡。
そのシーンを三連続で流すという屈辱の演出を受け、幻庵の出番は終わった。

「我が剣に一点の曇り無し!」

堰を切って覇王丸に泣きつく子供達。
その頭を撫でながら、覇王丸はシャルロットに礼を言った。
「覇王丸のあんちゃんとシャルロット、恋人同士なの?」「結婚するの?」
と、子供達の茶化しが入る。

ここまでの展開を見るにどうやら今作のヒロインはナコルルではなく、シャルロットのようだ。
真サムにおける新設定の、覇王丸に対するシャルロットの恋心を
アニメスタッフが聞かされていたのだろうが、
そんな設定さえも凌駕するナコルルの狂った人気を読み誤ったのが今作の最大の失敗であろう。
涙ながらの嘆願鎧はだけのシーンがナコルルであったならば、
今作は一部で絶賛され、永遠に語り継がれる作品となっていたに違いない。

そう、あのイメージビデオのように……

ナコルル 〜あのひとからのおくりもの〜

当のナコルルは一週間経った今も、まだ緊縛され続けている
それはそれでまた別のマニアに受けそうだが…… いずれにせよマニア向けな作品である。

颯爽と現れたわりにあっさりと幻庵を取り逃がしていた半蔵に頼まれ、
民衆達と共に天草打倒を約束する覇王丸。
今、最後の戦いが始まろうとしている――



不気味に空中へその姿を漂わせる邪神城に、
覇王丸とシャルロットが空を飛んで到着する。

何か全身を気に包まれて、唐突に空を飛んでいる
そんな特殊技能があるならもっと早く使えば良かったのではないか? という疑問も当然だろう。
やっと聖剣士として目覚めた(アニスレイザ絡みの説得はスルーだったが
覇王丸はこれまで飛行は出来なかったのだろうと納得は出来るが、
何故シャルロットは今の今まで空を飛べることを隠していたのだろうか?
空を飛んで高速で覇王丸を追えば天草との接触を容易く阻止出来たはずである。
というか、侍が飛ぶなよ

最後の最後にして脱力を与えてくれる破天降魔の章だが、
ここで皆さんお待ちかねのあのシーン、天覇封神斬のコマンド初公開が行われる!

これは当時のキャンペーンの一環で、このアニメで真サムの隠し技コマンドが
お披露目になるという事前情報により、今作の視聴率を倍増させていたのである!
今日のようにネットでアッサリ流出という事態が存在しなかった当時において、
隠し技、隠しコマンドに対する注目度は圧倒的に高かったと言って良い!
格ゲーに取り憑かれし漢達はその瞬間を今か今かと待ち続けていたのである!

だが、まさかこんな! まさかこんな形での公開になるとは誰が予想しえたであろうか!?
私は番組の最後にチョロっと普通に教えてくれるものと思っていたのにだ!
誰がこんな異形の公開方法だと予想していただろうか!?

それは、覇王丸が放った剣閃1秒未満の出来事だった!

奥義! 天覇封神斬!(てんふうじんざん)」


有り得ない抜き打ちぶり


剣光よろしく技を出す際に、閃光の走った方向がコマンド。
しかもやはり何かの間違いで技は気弾になっている
発光して飛んでいる。名前から何から全てにおいて間違っている。

このBCという閃光はいかがなものか、などと不粋なことは言わないが、
これが本当に僅か一瞬の出来事なのである。
→←↓BCというクソ長いコマンドが瞬きする間もなく示されるのである。

肉眼で捉えることなど間違いなく不可能であり、
多くのいたいけな子供達はここで技が公開されたことにすら気付けず、
結局、隠しコマンドが公開されない詐欺に枕を濡らしたのであった。
あらゆる意味でこの破天降魔の章を象徴し、全てが集約されたワンシーンと言えよう。

今作の真髄をすでに公開してしまったため、
後の展開はもはや蛇足と言っても過言ではないのだが、一応最後まで続けよう。

天覇封神斬で邪神城のバリアーを切り崩した覇王丸。
その瞬間、長らくの緊縛生活から王虎達が抜け出した。
さすが聖剣士、一週間、飲まず喰わずでもピンピンしている。
天草も早いとこ魂を抜くなり何なりしておけば良かったと思うのだが……

「覇王丸が結界を破ったのよ! シャルロットも一緒だわ!」

とまた電波を受信するナコルル。
覇王丸は邪神城の屋根の上で天草四郎時貞と対峙していた。
百年前のように体内から聖剣を取り出し、ビームを撃つ天草。
剣を出したからと言って剣術を使うとは限らないのが今作の油断のならないところである。

「この邪神の炎に己の身が焼かれる音を聴き、髪の燃える臭いを嗅ぐのだ!」

王虎への嫌味か? 一応、弁髪はあるが。

天草の猛攻を受け崩れ落ちる足場。
地上百メートルはあるだろう邪神城から落下しそうになる覇王丸とシャルロット。

「大丈夫か、シャルロット!」

彼女の手を掴み、覇王丸がなんとか耐え凌ぐ。鎧を着込んだ彼女はさぞかし重かろう。
片手で先程までの大地を掴み、二人分の体重を支える覇王丸。
その命綱となっている手を天草が残酷に踏み躙った。

喜々として自分の城を壊す天草も何だが、
何故、空を飛べる彼らが空中からの落下の危機に窮しているのかが全く解らない
全く以って理解に苦しむワンシーンである。

そこにまた気功爆転法が飛んで来た。お前はそれしか技がないのか。
さらにガルフォードのプラズマブレードが飛ぶ。
そして何故まだ手元に剣があるのかは知らないがまた気功爆転法。それはもう見飽きた
ナコルルがアペフチカムイリセ(しかしマントを投げる)を放ち、
何気に最も影の薄かったタムタムがアハウガブルを打ち込む。
聖剣士達の飛び道具ラッシュ。もはや闘い方からして侍ではない

が、「どこを見ている?」と背後に現れる天草。
ワープか、あるいは凄まじいスピードか。
裏声ではないが原作ゲーム好きには嬉しいシーンである。

覇王丸とシャルロットも復帰し、六対一で戦う準備が整う。
だがまだまだ余裕の天草は得意のビームで応戦。
それを躱し、六人がかりで刃物を煌かせてたった一人に斬り込む姿は実に醜い

人数が多すぎると見るや天草は宙へ浮き、拡散ビームを降り注がせた。
そして百年前と同じく、蒼く禍々しい邪神の炎に包まれて倒れる聖剣士達。

だがその時、立ち上がった民衆達の雄叫びが上がった。
それは開戦の咆哮。天草に動揺が走る。
弱まった炎の中から聖剣士達が立ち上がった。

「知るが良い! 剣を信じ、悪を許せぬ心! それが侍魂だ!」

天草のビームを剣で受け流し、飛び上がっての覇王丸の一突きは、
確実に天草の肉を刺し貫いていた。

二人の姿が消える。その場所はあの、梵字の刻まれた天草ステージ。
生々しい傷を刻んだ刀を覇王丸がゆっくりと抜く。もう天草に力は無かった。
険の落ちた天草は、これで、かつて共に立ち上がり、そして敗れた仲間達、
彼が誰よりも愛した恐怖に苦しむ民衆達の元へ行けると囁いて死んだ。
それは、聖剣士だった頃の、覇王丸の仲間だった頃の天草四郎だった。

駆けつけた他の仲間達へ振り返り、哀しみと共に去ろうとする覇王丸。
だが、その背後で天草の遺体が浮いた。

そこから現れ出でたのは暗黒神、アンブロジァ――

黒い怨念が宙を漂い、邪神城の上で唸りを上げる。
まだ聖剣士達の戦いは終わっていなかった。
リーダー的存在、王虎の「封印するぞ!」という掛け声と共に、
思い出したように空を飛んでその場所へ向かう聖剣士達。もう勝手にしろ

剣を構え、祈りのビームでアンブロジァ封印を試みる。
しかし本来、七人、七本あるはずの聖剣は一本、天草の一本が欠けている。
「聖剣士は七人! 天草亡き今、六人では封印出来ぬということか!」
王虎の苦悶と共に押し込まれる聖剣士達。

一方、戦に勝ち、民衆達が勝利の雄叫びを上げる。
彼らの歓喜の叫びが天草の聖剣を呼んだ。

そして覇王丸はその剣を使い、結局一人でアンブロジァを倒したのだった。
七人も要らなかった

最後は半蔵と将軍が今後について話し合い、
ご愛読有り難う御座いました


尚、今作のエンディングテーマであるGWINKOさんの
『“大好き”という嘘をついた』という曲は全く和風ではないが、普通に名曲である。
何を考えてこの普通の曲をサムスピのエンディングテーマに選んだのか
一視聴者としてはおよそ理解の範疇の超えているのだが、
ちょっとひねくれた愛を歌う、普通の名曲である。
正直、かなりオススメなので聴く機会があれば聴いてみて欲しい。

また、ここまで読んで来て気付いた人は気付いたかも知れないが、
原作キャラの中で唯一ただ一人だけ橘右京氏のみ出番がない

彼の姿が見られるのはこのエンディングアニメのシーンだけなので
彼のファンは目を凝らしてそのチンピラを峰打ちで倒し、句を読む姿を心に焼き付けるが良かろう。

最後に、彼が読む句を転載して、もう今作から離れた生活を送ろうと思う。




七瀬 あんこ画伯

風すさぶ 花の涙に 剣が舞う 右京


泣かせるのはあんただ……