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すっかり格ゲーバブルが弾けて久しい昨今、
かつて行列を生み出したサムスピとて時代の波に逆らうことは出来ず、
とうとう“サムライ剣劇、ついに完結!”と銘打たれた2D最終作が登場した。
その名もサムライスピリッツ 天下一剣客伝。サムスピ最期のお祭りバトルだ。 |
お祭りらしく、何と2Dサムスピに登場したキャラ全てが出場という太っ腹ぶり。
そう、あの懐かしの奇怪なハゲども! 幻庵や和狆、そしてナインハルト・ズィーガーまでもが大復活!
当然、何かにつけて
「ヴァー!」と叫ぶ彼の雄姿に人々は時代を超え、魅了されることとなった。
そしてシステムの方も公式サイトを見ての通り、歴代のシステムがほぼ全て搭載され、
それを任意で選択するというスピリッツセレクトを採用。
怒、真、斬、天、零に剣サムオリジナルの剣スピリッツを加え、
これがまた偶然というか当然と言うべきか、“剣”へ近づくにつれて概ねだんだんと複雑になるので、
逆に初代サムスピがイメージされた怒スピリッツなどは
初心者や復帰プレイヤーでも触ってすぐに楽しめるようになっている。
一応、天スピリッツ、剣スピリッツが強いとされているが、使い方やキャラの相性によっては絶対ではなく、
また相手キャラを見てから対策をとり易いスピリッツを選択したり等、何気に“これ一択”となり難い。
と、細かいシステム概要は公式サイトを見れば良いとして(手抜き)、
今作は基本、天サムのコピペだった零シリーズとは違い、
操作感覚からゲーム性まで多少の変化が起こっている。
違いの程は以下の通りで――
・攻撃力が下がった
・ある程度、連続技が入るようになった
・割と気軽にジャンプ出来るようになった
・ガンガン起き攻めに行けるようになった
ずいぶん普通の格ゲーに歩み寄りを見せた形となっているのがお解り頂けるだろう。
攻撃力が下がったのは御覧の通り、剣気MAX斬鉄閃でもこれだけしか減らない。
(ついでに零SP問題を受けてか、今作ではついに血のエフェクトさえも一切ない)
当然、各スピリッツによって攻撃力は上下し、怒スピリッツの超斬りなどでは従来通りに
一撃で半分減ったりもするのだが、それはあくまで例外。
基本的に大斬りの威力はこの程度のものである。
それを補うのが連続技で、もちろんKOFなどのようにガシガシ繋がったりはしないが、
中斬り≫必殺技や連斬≫必殺技、ついでに小足から弧月斬なども基本となった。
ジャンプも速くなり(と言っても遅いキャラは遅いのだが)、
ジャンプ攻撃が強力なキャラはそれこそバッタが強くなっている。
また移動起き上がりが廃止され、そもそものダウンを回避する受身が追加。
が、その受身がまた曲者で、これには移動起き上がりのような安全性は全くない。
やり込めばやり込むほど、“受け身狩り”のリスクが如実に表れるため、
受け身狩りを含めた起き攻めが非常に強力だ。
つまり、ジャンプで跳び込みながら連続技を狙い、起き攻めで仕留めるという、
まるで普通の格ゲーのような戦法が“ある程度”取れるようになっているのである。
しかし当然、根底にあるのはサムスピなのでラッシュラッシュで攻め倒すようなことは出来ないが、
攻める楽しみが追加されたサムスピは新感覚で、非サムスピプレイヤーにも伝わる魅力があるだろう。
事実、前述の受け身狩りを加えた起き攻めは各キャラ、トリッキーなネタに溢れていて、
見ているだけでわくわくさせてくれるものがある。自分でやるなら尚更だ。
が、やはり逆に従来のサムスピが好きな人から“大斬りが減らないサムスピは駄目!”
“サムスピはサムスピらしくあれ!”という意見が出て来るのは当然であり、それもまた真理。
僕は剣サムも面白いと思ったのでしこたま楽しませて頂きました。
ただし、バランスは決して整っているとは言えず、別ゲー状態のミナがあまりにも強く、
連発されるだけで下手をすると運ゲーとなる天草の“汝、暗転入滅せよ”は物議を醸し出し、
もうずっと跳んでた方が安全じゃね? 的な一部キャラのバッタ、
連続技で武器飛ばしが入る機会が増えた結果の不毛な素手バトルの頻発、
さらに落ちた武器を画面外へ追いやる武器消し、そしてバグ絡みの永久と、
結構壊れているので今も調整版発売希望の声が大きいのだった……
対戦出来ないほどではないですけどね。
バランス D 空気 B |
上記の通りバランスは決して良いとは言えない。何とか及第点といった程度。
ミナは異質な強さだし、もはや駆け引き抜きで一方的に強い技なども多々目に付く。
そして弱いキャラは露骨に弱い。
とはいえパズルのように相手を追い込んで仕留めるネタなどは長いコンボと違い、
喰らっても楽しめるほどの盛り上がりがある。
空気が悪くなるのは素手状態で露骨にいたぶられた時くらいだろう。 |
悪夢の声変わり……
これは酷い。最後のサムスピだというのに、なんとほぼ全キャラの声優が変わっているのである。
確かに今までも覇王丸やリムルル、ガルフォードといったメインキャラが
あっさり声変わりすることはあったが、
少なくともナコルルと幻十郎は絶対に変えてはいけなかったと断言出来よう。
旧キャラ復活で戻って来たファンも多かったろうに、皆ガッカリしたことだろう。
特にやはり幻十郎のやられそうになると
「先生、お願いします!」と用心棒でも出して来そうな小物声はあまりにもダメージが大きく、
あんなに好きだったのに全く使う気が失せてしまった。全くである。
声が変わっただけで完璧にキャラの魅力が消えることに驚きが隠せない。
他は浮幽霊になった破沙羅、チバレイじゃなくなったチャムチャムなどが痛いポイントだ。
とはいえ逆に良くなったと思えるキャラも何人かは存在しているし、
実際、アースクェイクや王虎の声などは誰がやろうと
正直、別にどうでも良いだろう。
中でも覇王丸は歴代でもかなり合ってる気がするんですよね。
ちなみに一番合ってなかったのは
香取慎吾氏。
尚、あまりに不評だったためか、
サムライスピリッツ 六番勝負内収録の剣サムでは、
25キャラが旧声優陣による新録ボイスを選択出来るようになっている。「ヴァー!」も新録。
ただし、チャムチャムはチバレイではない。
PlayStation2版
ぬなななんと、完全移植とアレンジBGM追加、カラーエディットにMMBBに加え、
羅刹ガルフォード、キム・ウンチェ、パピー、シクルゥ&ママハハ、チャンプル、パクパク、
そしてこれで本当に2Dサムライキャラが全部揃うことになる黒子が追加され、
さらにスピリッツもボス専用だった魔スピリッツに獣キャラ用の獣スピリッツ、
それから各スピリッツの特殊動作を自分でエディット出来る祭スピリッツまでも用意。
アーケードにはなかった斬サムの開幕前移動、
ポリサムのSCSをアレンジしたサムライコンビネーションスラッシュ、
さらにはサムライドライブという名のスーパーキャンセルまでもが追加、選択可能となっているのだ。
サウンドテストにボイステストにとその辺も抜かりなく、プラクティスではコマンドをプログラムしたり、
一個一個選択してCPUに必殺技を出させたり出来るものだから
天草に汝、暗転入滅せよを設定して回避、反撃の練習をしたりと痒い所に手が貫通する充実度。
さらに調整が加えられたオリジナルモードも搭載され…… っと、
こちらはただ永久バグを消しただけで結局、キャラバランスはそのままなのだった。残念。
とはいえ文句の付けようのない移植である。
>MMBB サムライスピリッツ 天下一剣客伝
PICKUP
ATOMIS |
いろは
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大っぴらなアナウンスこそないものの今回も悠紀エンタープライズが制作しているサムライスピリッツ。
ただ狙うのは簡単だが、狙って当てるのは難しいという現実に直面し、
本家、SNK PLAYMOREが萌えキャラを作っては外し、作っては外しと悪戦苦闘する中、
真鏡名ミナという中ヒットを飛ばした悠紀の新たなる萌えキャラは、
伝説となった。
その秀逸かつ、衝撃の和風メイドがどうのこうのともはや語る意味もあるまい。
見たまんまである。誠、悠紀は恐ろしいキャラを作りよる。
発表された公式イラストで白目を剥いた漢達の中では「これはパンツを履いていないのではないか?」、
「いやいや、ゲーム中のスクリーンショットでは黒いパンツを履いており申す」といった
議論が日々行われ、この最強メイドはPLAYMORE移行後、最大のヒットキャラとなった。
その久々に沸いた待望のキャラ人気にあやかってか公式のプッシュも半端なく、
実にPS2版剣サムには初回特典としていろはのフィギュアが付いてしまった。
こ、これは店頭では買えぬ! と漢達は汗をしたたらせ、
いろは要らねぇ! 王虎なら欲しい。
といったツンデレを生みながらも彼女は多くの旦那様達に買われて行くのだった。
サムライスピリッツ 天下一剣客伝 公式コンプリートガイドの売り文句などは、
概要 |
サムライスピリッツ」シリーズ集大成となる『天下一剣客伝』を完全攻略!
新キャラ「いろは」の蔵出し資料など、ファンなら見逃せないコンテンツも特別収録。
隠しキャラクター含む登場全キャラクターの技、攻略を全て収録。
息長く遊べる「天下一剣客伝」をより一層、遊び込むためのポイントを解説しています。
PS2版オリジナル要素についても、全情報を公開。
人気の新キャラ「いろは」の設定資料も収録、ファンなら絶対に見逃せない内容です! |
「いろは」二回も言っている。
ゲーム中でもプレイヤーを“旦那様”としてカメラ目線で三つ指突いて登場し、
鶴の恩返しをモチーフとした屏風の向こうの全裸乱舞「絶対に見ないでください……」に
「冥途(メイド)の土産です!」といった小ネタの効いたセリフから何からもう言葉にならない。
しかもいろはステージのBGMは
生演歌(夕鶴の舞 歌:真帆花ゆり)と来た。
そのあまりの露骨さに賛否両論あったりもする彼女だが、
同時にまた文句なくPLAYMORE後の最強キャラと言えるだろう。
正直、今作ではナコルルの立場さえないのだ。
挙句、こんな本まで出た。
PICKUP
ATOMIS |
祭囃子双六
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すいません、このキャラばかりは顔見るだけで素で笑ってしまいます(笑)
何かに付けて「わっしょーい!」と叫ぶのは攻撃する分にはまだ解るのですが、
死にボイスまで「ぅわっしょ……ぅいぃ……」って! 死ぬときまでわっしょい! って!
キャラを選んだ際の
「合点承知の助よぉー!」がすでに面白いし、
登場時の
「あたりきしゃりきのコンコンチキよぉー!」がまた、くぷぷ(笑)
狙って作ってるには違いないんだろうけど、
ここまで全力でアホなキャラを作る姿勢には笑いをこらえられません。
しかも当初の予定ではコイツがボスだったって言うじゃない!? どう考えてもそれはなしだろ!(笑)
その名残でCPU戦では乱入キャラとして出て来る彼ですが、そこでまた爆笑ですよ。
サムライスピリッツ 天下一剣客伝 公式コンプリートガイドより
こんなカッコイイキャラがボツって双六採用ってどんな会社なんだ、悠紀。
本当に森田将棋を作っていた所なのか。