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'94〜2003と来てなぜ唐突にXIなのだろう……?
と、まず誰もがそこで何のコラかと首を傾げると思われるこのKOFXIだが、
これはついに2004年にKOFのナンバリングタイトルを出せなかったがために、
2005年に発売された本シリーズ通産11作目ということでのKOFXIなのである。
元々、夏の祭典だったKOFは色々あって2001からすでに冬ギリギリの祭典となっており、
2003などは実際、稼動後2週間ほどで年が明けていた。本当にギリギリだったのだ。
以前から、これからも毎年出して欲しいという要望とは逆に、
“KOFは毎年出すからバランスが悪いんだ”
“年号にこだわらずに時間をかけて作り込んで欲しい”
といったプレイヤーの声もチラホラとあったKOFシリーズ。
それを聞き入れてか、あるいは単純にスケジュール的な都合なのか、
結果としてこのKOFXIは2003から丸2年近く空いてのリリースとなった。
途中で番外編的なNEOWAVEが挟まったので混乱してしまい易いが、
今作はKOF2003の直系として、リアルタイム交代のマルチシフトが継続されている。
そう、間にNEOWAVEがあるのですでにKOFは良作に戻っているように錯覚してしまいがちなのだが、
よくよく考えればこれは
あの2003の直系 なのである。
その事実に気付いたとき、誰もが思ったことだろう。
大丈夫なのか? と。
が、その心配は杞憂に終わり、このXIは結論から言えば大丈夫だった。
挙動やヒットストップの違和感が消えているし、コマンド入力も普通に受け付けてくれる。
若干、操作感覚が従来とは違うが、そこにある新鮮さはプラス要素だ。
SEもきちんとした音が鳴るように正常進化を遂げていた。
音質は当然、ATOMISWAVEクオリティだし、新規ドットも上手。シェン・ウーにも中割り追加。
というか、
その辺から心配しないといけないのが何か違う のだが、とにかく安心出来る造りである。
さて、システムは例によって
公式サイト かアルカディアの
ムック を見て頂くとして(手抜き)、
それ以外でこのゲームを初めてプレイした人がまず最初に取る行動と言えば、
“
小中ジャンプ攻撃をしゃがんだまま喰らう ”だろう。
その小ジャンプは恐ろしく速く、低く、それはもはや暴力であった。
バッタゲー
(バッタのようにピョンピョン跳ぶだけのゲーム) と揶揄され続けたKOFがここで、
さらなるバッタゲーへと進化していた のである。
どうなってるんだ 。
しかもジャンプ攻撃での仰け反り時間が歴代通しても異例の長さとなっており、
キャラによってはただでさえ反応出来ない昇り中段気味のジャンプ攻撃から
あっさりと地上コンボが繋がってしまうのだ。
一応、対策としてか緊急回避動作の隙が少なくなっているので、
バッタラッシュから逃げる一手として有効性が増してはいるのだが、
やはり前転頼みのスタイルは上級者相手だと隙にフルコンボ頂くリスクが付きまとう。
結局、KOFXIが最強のバッタゲーであるという事実が動くことはあるまい。
その点も踏まえて、今作は非常に“簡単”である。
クイックシフト絡みの連続技を見てしまうと敷居が高いように見えるだろうが、そんなことはない。
先の通り他のシリーズでは割とシビアなジャンプ攻撃からの繋ぎが簡単だし、
京の しゃがみB>近立ちC に代表される弱>強目押しの難易度も他とは比較にならないほど低い。
突進技辺りもドット単位で間合いを調整して先端を当てないと反撃確定!
などといったシビアな要素は要求されず、割とテキトーに出しても反撃を受けないものが多い。
ジャンプこそ速いままだが全体のゲームスピードは2003から下がっているし、
ヒットストップも長めになっているので考える余裕もある。うん、実に簡単だ。
さすがに高速操作を要求されるクイックシフト――
対応技キャンセルで交代したキャラが画面外から飛んで来るシステムは慣れを要するが、
クイックシフトに繋ぎ易い技
(主に多段技) にヒット確認で
クイックシフトからのジャンプ攻撃を当て易いキャラに交代、
そこから普通に連続技を決める、とまずはパターン化してしまえば実際、見た目ほど難しくはない。
一人がボコってる間にもう一人が跳び出して来てまたボコる、というこのクイックシフト、
理屈で考えればあの悪名高いストライカーと大差ないのだが、
一応、一対一の図式が崩れない絵面による精神面か、
あるいは単純に画面がゴチャゴチャしないからか、軽くテクニックが必要だからか、
不思議と嫌な感じがしない。というか、感覚が新鮮で爽快でやたら面白い。
11作以上も出て来た今までで一番チームバトルっぽさを感じる。
確かに長い連続技になってしまうのだが、セービングシフト
(喰らいキャンセル交代) という救済もある。
実際、バッタの恐怖により、対戦するにおいてはかなり無茶なゲームなのは間違いない。
しかし、基本簡単で、スピーディにガンガン跳び込めて、攻め込めて、
ちょっと練習すればクイックシフトが楽しくて、これがシンプルに面白い。
そう、面白いと感じるこの感覚も間違いない。
何か懐かしいな、と思ったこの感じ。
そうだ、まさに旧SNKが最も輝いていた頃のアレなのだ。
“
少々無茶でも面白ければ良いじゃない ”というあのスタンスじゃないのさ、コレ!
よくよく考えればSNK派の多くが理知整然としたCAPCOM格ゲーよりも
SNK格ゲーを好んだ原点がそこにあったと気付いた瞬間、事実、直感的に面白い以上、
このゲームについてこと細かにバランスがどうのこうのと考える意味はないような気がした。
思うに、
KOFXIは原点回帰 だったのである。
確かにこのご時世、対戦するにおいて難を残すゲーム性は批判の対象には違いないが、
僕らはいつからSNK格ゲーにそこまで厳密な対戦バランスを求めるようになったのだろうか……?
と、ふと考えてしまう奥の深い一作である。
後、多分、二年越しで調整してたんじゃなくて単純に時間がなかった。
バランス D 空気 A
やはりいくらなんでもジャンプが低すぎる。低すぎるわ!
ということで全体的なゲームバランスからしてやや微妙。
オマケにキャラバランスも良いとは言えず、
牙刀、クーラ、オズワルドが最強チームという定説が崩れる様子はない。
が、さすがにこのご時世の格闘ゲーム、対戦が成り立たないというほどではないし、
シンプルに爽快感があるので盛り上がりは最高レベルをキープ出来るだろう。
いつもの“KOF”ではあるが、挙動やシステムに新鮮さがあるのもGOOD。
ATOMISWAVE SHOCK!!
今作をプレイしていて軽く唸らされるのが美麗なデモだろう。
美しいCGが滑らかにアニメーションする姿にはさすがは新基板といった新しい波を感じる。
ボスの禍忌がクワッ! と本性を露にするシーンでは誰もがドキッ! としたはずだ。
素晴らしいサプライズ、素晴らしい作り込みである。
というか、普通に考えればATOMISWAVE最終作である今作に至るまで、
今まで全く新基板のパワーを感じなったことがオカシイ のだが。
むしろOP関連はMOWやSVCより
明らかに退化していた のは何故なのか。
そこにどういった陰謀が隠されているのか。
そしてもう一つ、基板が変わったことで大幅に制限の壁が消えたBGM。
ここに歴代KOFでメインを務めたメンバーの復帰が加わってもの凄いことになっている。
音楽知識にとんでもなく疎い僕なので形容する言葉がないのが残念でならないが、
とにかくここへ来て歴代屈指の楽曲群が軒を連ねることになったのだ。
もはや2001から長らく悩まされたBGM関連の不満は露と消え、
次、また次の期待のみが残り、また大きく膨れ上がったと言えようぞ。
同じ方が作られた以上、当たり前と言えば当たり前だが、
もはや疑う余地なく完全に旧SNKクオリティの復活だ!
有り難いことに
BLACK or WHITE? さんから
XI関連のアレンジMP3を諸々頂いている当サイトなので、心して聴きなさい、貴兄ら。
New Orderアレンジ
音声を再生するには、audioタグをサポートしたブラウザが必要です。
Queenアレンジ
音声を再生するには、audioタグをサポートしたブラウザが必要です。
PlayStation2版
公式サイト を見ての通り、アーケードの隠しキャラは当然、
紫苑、禍忌のボスキャラに加え、PS2版はNBCから7人も参戦。
しかもこれが2002のようなただのコピペ追加ではなく、
各キャラきちんとXI用に調整が入っている。
入りすぎてもはやどこがNBC? といったキャラもいるので、
ここはNBCうんぬんとは関係なく、素直にPS2用追加キャラと解釈して良いかも知れない。
MMBB、アレンジBGMにカラーエディットは当然、リアルタイム交代でない従来の3on3も出来るし、
条件を満たせばギャラリーモードで中間デモやエンディングも見放題。
その他、モードやプラクティス、オプションも充実し、ロードも皆無で文句のつけようがない。
加えて追加BGMがまた魅力的で、過去の名曲の再アレンジがとにかく嬉しい。
中でもアテナが久々に歌うアイドルソング、
傷だらけのBLUE MOONの無駄に悲愴な歌詞は必聴と言えるだろう。
と、ここまでやっておいてさらにまだ最大の追加要素が存在し、
対戦するにおいては少々無茶が過ぎたXIに、
なんとこのPS2版、
バランス調整の入ったアレンジモードが追加されている のである。
これは剣サムとは違って本当にシステム単位、キャラ単位で細々と調整が入っているのだ。
アレンジモードで一見して判るのがジャンプ攻撃での仰け反りが短くなっている点だろう。
もう昇り中段気味のバッタから地上コンボなんて繋がらないので、
きちんと従来通りに引き付けて当てる必要性が生まれた。
この時点でもはや別ゲー。
公式大会 で禁止事項に、
・キャラをKOして次のキャラが登場する際に、コマンド投げを重ねる
・技の持続を利用したガード不能現象
・ほたるの近距離C→旋撃手を利用したループコンボ
こんなルールが付いていたりもするが、
それでも充分ガチ対戦に耐え得るKOFXIスペシャル? の誕生だ。
キャラバランスも概ね上下が詰まって良い感じになっている。
強キャラをさらに強くしていた“何でも判定”も大幅カットされ、1コンボの威力が抑えられた他、
またそもそも上記ジャンプ攻撃関連の変更で入れるチャンスも減ったことになるだろう。
つまり、アーケードからカドを取ったマイルド調整。
これはもう理不尽なく対戦するならどう考えてもアレンジしか有り得ない。
しかし、連続技が繋がり難く、何でも判定も消えたアレンジは確かに爽快感で劣る。
ここで、さてどちらを取りますか……?
と問われた際、アレンジで練習してもゲーセンで役に立たないからという意見も含めて、
サイト上でも好みが割れたのが興味深くも面白かった。個人的にはアレンジ派で。
尚、当然、オプションでアーケード完全移植との切り替えも可能なので、
PS2版のXIは爽快感重視派も対戦バランス重視派も双方満足の作品に仕上がっていると言えよう。
>MMBB THE KING OF FIGHTERS XI
暗黒時代の恒例だったバグもなく、もはやこれ以上に望むものはない良移植。
近代KOFの決定版と言って良いだろう。
PICKUP
ATOMIS
オズワルド
決め台詞
見せてあげよう…… カーネフェルの真髄を!
PLAYMORE後…… というか、旧SNK末期からもう見られなくなっていた、
ステレオ美形以外でのカッコ良さを持っている特徴的な新キャラ。
このオズワルドはドットがまた上手いうえに動きが変で、
こんなちょい悪老紳士が奇怪な動きを大真面目にやるものだからどこまで本気なのか疑ってしまう。
それでいて尚、カッコ良いのだから不思議だ。
パッと見カッコ良い。動かして楽しい。
'03の新キャラはデザイン負けが顕著に思えたが、オズワルドにはそれを感じない。
この辺のセンスも戻って来ているようで嬉しい限り。
また昔のように、新作が出る度にハイセンスな新キャラクターを期待して良いのかも?
PICKUP
ATOMIS
桃子
萌えキャラを作ろうとしてまた失敗 。
そう、いろはに見られたような盛り上がりが皆無なので失敗には違いないのだろうが、
まるで存在感のないまりん 、
存在しなかったことにしたいミニョン と比べれば、
ふにふに動くドットに妙に力が入っていることもあってか、存在感は人並みにある桃子。
分布図としてはこんな具合だろうか? 少しずつ少しずつ成功に近づいている気がする。
苗字がないのは優香みたいなものだろう。
この桃子、流派が
超能力+カポエラ という時点ですでにアンニュイな気分にさせてくれるのだが、
実はあのアンニュイ漫画の最高峰、かつて週刊少年ジャンプで連載され、紙上を荒らしに荒らした後、
静かに巻末へ消えて行った尾玉なみえ女史の怪作、
“
少年エスパーねじめ ”のエッセンスがふんだんに盛り込まれている。
ここでは知れば知るほど劇中のようなあの何とも形容し難い情感豊かな表情になってしまう
その数々に触れてみることにしよう。
【えすぱ〜!】
燦然と輝く“S”の一文字!
今だ、解き放て!
白エスパー秩序の一撃!
必殺! エス波〜!
ちなみに威力はこれくらいあるのでガード不能は当然。
【いやん☆(通常投げ)】
正義のエスパーは邪悪な首の骨を許さない!
【vs巨乳キャラ】
「おっぱいやんっ……
ぅおっぱいやーんっ!!」
【場面解説】
エスパー犬である“ぱとらっし”は喋る犬としてとある夫婦に拾われ、可愛がられていたが、
夫婦に子供が生まれると次第にないがしろにされ、やがて関係が疎遠になっていった。
なんとかもう一度自分に振り向いて貰いたい“ぱとらっし”は、子供を甘噛み し、
夫婦の注意を引こうと考える。しかし、夫婦は猟銃を取り出して“ぱとらっし”を撃つのだった。
人間に絶望した“ぱとらっし”へ深い哀れみと、それ以上の愛情を持った“ねじめ”は
“ぱとらっし”を飼うことを決め、現在のパートナーである猫の“すぱな”とのコンビ解消を申し出る。
しかし、“ねじめ”の裏切り行為に不快感を持った“すぱな”は人間形態である女性の姿を取り、
おっぱいを巨大化させた。それを見た“ねじめ”は目を輝かせて喜び、手を腰に当ててダンスを踊るのだった。
【挑発】
「泣きそぉ……ねぇ……泣きそぉ?」
これも?
(C)尾玉なみえ /集英社
PICKUP
ATOMIS
ショー・疾風
うおおおおおぉぉぉ――――っ!!!!
だけで終わらせようかと思ったがちょっとした話を思い出したので書いておくことにする。
隠しキャラの目玉として登場するこのショー・疾風、実はXI発表のずいぶん前から出場が割れていた。
というのも、声優さんの仕事歴に2005年5月時点で早々と
『
キングオブファイターズ2005 ショーハヤテ役 』と記載されていたのである。
そんなバカな!
他のキャラさえ誰が出るのか判らない時期に何故ショー・疾風なぞが確定!?
ハヤテがKOFに? ハヤテが出られるのは獣神武闘会だけでは?
そもそもKOF2005なんて存在しないし…… 7月稼動のNBCの間違いか……?
様々な憶測が飛び交う中、ついに発売されたKOFXI……
まさか本当に出てるとはね 。
KOF版ハヤテはそのやかましい雄叫び、小足から始まる乱舞等、
まさに風雲快男児そのものであった他、とあるバグでハヤテのみが画面外まで移動が可能となり、
当然無敵状態のまま一方的にブーメランを投げ続けられるという
まさに風雲拳の独壇場とも言える絶対領域を生み出す能力も持っていた。
あまりにも卑怯 。
他にも風雲からはジャズウ、さらに武力から天童凱、ズィルバーと、
恐ろしくマニアックな面々がゲスト出演を果たし、いつか忘れつつあった夢のバトルを実現させてくれた。
夢のバトルというか、実際、
夢の中でも記憶になかった面々 ではあるのだが、
予想だにしない驚きの隠し要素であり、コンセプト的にNBCに近いそのキャラ選から、
本当はNBCに出す予定だったキャラが回された〜 などという説もあったりするが真偽のほどは不明。
PICKUP
ATOMIS
紫苑
荒っぽい言葉遣いが特徴の華奢な中国女性。
白い肌に一際映える美しい唇は性格に反してどこか妖艶で、
スレンダーなシルエットもやはり男言葉とのギャップが生み出す不思議な魅力に満ちている。
中ボスである彼女はアルカディアでその姿が公開される前から人気を博し、
当サイトで行われた“
KOFのヒロインは誰なのか? ”という人気投票においても
熱のこもったコメントと共に多数の票が投票された。
・紫苑可愛いよ紫苑
・初めて真の「萌え」を感じたのさ…… 今までのハァハァは只の下心ってやつだろうな。
・いやいや紫苑だろ。うん。プレイモアではじめて萌えた。
・久々に萌えた!キャラデザイカス!!
・紫苑たん朝ごはんつくって〜w
・デビューしてまだ一年も経っていないのにこの人気。来るぜ。紫苑の時代が!
・いやもうなんというかね。可愛すぎるでしょ。紫苑。
・シーオーン!!シーオーン!
・狙ってないのに何であんなに萌えるんだ!!
・いやもう。言うことは何もありません。紫苑LOVE。
・ごめんなさいほんとマジであの何ていうか萌え。
・気になるあの娘は超ツンツン……(;´Д`)
・惚れちまったものはしょうがないだろ!
・初めて会った時から……す……好……い、いや、やっぱ何でもないや……
・ムチムチキャラには下心しか感じなかったが正真正銘の萌えはこの娘が初めてなのさ……。愛を贈らせてもらうぜ。
・SNKプレイモア、紫苑をありがとう!
その後、彼女が男性だと判明した後、
当サイトのメールボックスには「死にたい……」等の文書が相次いだ。