サムライスピリッツ零 │ サムライスピリッツ零SPECIAL │ ▲ページ一番上へ
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天サムより七年の時が流れ、今再び2Dサムスピ復活!(ネオポケは除外)
すでに2D格闘というジャンル自体が話題性を欠いている中、
この報はそれなりに話題を呼んだ。
しかし、今作の開発はPLAYMOREではなく、謎の会社、悠紀エンタープライズだという。 |
いったいてめぇは何モンだぁ―――っ!! ということで早速、検索が行われた結果、
出て来た会社概要に乱れ飛ぶ
森田将棋の数々。
何故よりにもよって森田将棋か。
将棋メーカーがどんな格ゲーを作るというのだろうか。
森田将棋で研鑽を重ね積み上げて来た精密な思考プログラムによって
ミリ秒単位で戦術を思考する最強のCPUアルゴリズムでも搭載されているのか?
不安ばかりが募って行く。
しかし、世に現れたサムライスピリッツ零というタイトルは確実に予想を上回る、
しっかりとした“サムスピ”であった。
そこに在ったのは、基本的に天サムの丸コピペながら、
コンボゲー化して概ね不評だった連斬を取り去り、
単発の迫力と立ち合いで押す、確かに甦った“サムライスピリッツ”だったのだ。
SNKが天サムまでに積み上げて来た近代格ゲーとしての要素をそのまま使い、
そこから余計なシステムを省いて斬サムまでにあったサムスピ独特の一撃感を取り戻した零は、
間違いなく“サムライスピリッツ”としての決定版と言って良い作品である。
ただ一撃が無駄に減るだけならば斬サムのような時としての理不尽を生んでしまうだろうが、
そこは攻撃時に減り、自動回復する“剣気ゲージ”によって攻撃力がバラ付くようになっている。
余計な牽制で剣気を減らすのは得策ではないので、必然的に待ち助長になってはしまうものの、
剣気MAX大斬りのダメージにはそれを補って余りある爽快感があった。
公式サイトの造りも当時のSNK PLAYMOREの公式とは比較にならない充実度であり、
ゲーム自体もSVCでコケ、後のKOF2003もまた悲惨な出来の暗黒時代だったこともあって、
悠紀エンタープライズは一躍救世主として崇められることになった。
(※順番はSVC⇒零サム⇒KOF2003)
ちなみに、当時のSNK PLAYMOREは版権管理が主で、
開発はブレッツァソフトを吸収したSNKNEOGEO(旧サンアミューズメント)が行っていたようなのだが、
元々この三社は同一存在のようなものなので“PLAYMORE開発”という解釈で良いだろう。
現在はSNKNEOGEOもSNK PLAYMOREに吸収され、やっと開発が完全に内部に戻ったことになる。
閑話休題。
ゲームの出来が良かったから良いものの、
コピペコピペと言われる旧SNK倒産後の作品の中でも、今作のコピペは際立っている。
旧キャラは当然、背景もBGMもボイスもそのほとんどが七年以上前のコピペだ。
ドット関連は手を加えると逆に悪化するのが目に見えているので仕方なしとしても、
中ボスが首挿げ替えのコピペキャラ&意味不明に他キャラに変身する使い回しキャラというのは
どうにも印象が悪く、一見しての古さは拭いようがない。
コンボゲーが流行する格ゲー界において、派手な連続技がない仕様もこのご時世、
サムスピファン以外に受けるものではなく、同じ旧SNKより続くシリーズでありながら、
KOF世代をなかなか取り込めなかった部分に歳月の残酷さを感じてしまうのである。
後、CPU戦は別に森田将棋関係なかった。
無の境地 〜CONCENTRATION ONE〜
連続技がないと書いたばかりだが、実は特定状況下では最強の連続技ゲーである。
その名も無の境地。これはオリジナルコンボの新発想のようなもので、
キャンセルがかかるわけではない代わりに相手の動きがスローモーションになるのだ。
野球で言うところのボールが止まって見える状態である。
そのため、スローで仰け反っている相手に当然、通常通り動けるこちらは
問答無用で斬って斬って斬りまくることが出来る。簡単でそして爽快極まりない。
もちろん超強力システムなので厳しい発動条件があるものの、
(体力ゲージが境地ゲージを下回っている状態かつ自身が負けると終わりのラウンドのみ)
ガードされてもお構いなしに下段中段で揺さぶって
連続技に持って行けるそれはほとんどやったモン勝ち。
きちんと境地ゲージを溜めていればかなり長時間の境地タイムを得られるので、
間違いなく勝負の肝となるシステムである。
さらに恐らく今作は三本勝負前提でバランス調整をされているので、
五本設定時に最終的に貯められる境地ゲージの量=境地時間は半端ない。
と、少々強する向きはあるのだが、器用さに傾倒することなく爽快なコンボを決められ、
かつ他に見ない新しさ、そしてサムスピにピッタリ合っているこのシステムは零シリーズを象徴し、
確実に面白くしている大発明であると思う。ここへ来ての新発想には実に驚かされた。
嫌ならこの辺も調整されている零SPがあるので、零では思う存分、境地コンボを楽しむのをオススメ。
後述のCPU戦も凝っていることだし!
サムライスピリッツ零ストーリー
零! ということで、今作はストーリーが初代の前へと戻っている。
アスラ斬魔伝後にすると右京や幻十郎が死んでいたりで色々と不都合があるし、
甦サムまで進むともはや不都合しかないので
ここで時間が戻ったのは安直ではあるが、ある程度、必然的なものだったのだろう。
基本線は新主人公、徳川慶寅が、國を憂いて謀反を起こした、
かつての強敵(とも)である兇國日輪守我旺と刀を交える、といったものだが、
しかしこれがその他のサイドストーリーまで異様なほど手が込んでいるのである。
EDを中心に各キャラで連動しながら進行するストーリー展開。
格ゲーのゲーム部分でここまでストーリーを演出した作品はアーケードでは他にないのではなかろうか。
それぞれ一本のストーリーが連鎖し、関連する複数キャラでクリアしてそれが繋がるという手法は、
キャラの多い格ゲーのために存在すると言っても良いような素晴らしい相性だ。
旧来のサムスピでも見られた手法だが、それが大幅にパワーアップしているのである。
むしろなぜ多くの格ゲーは主人公のED以外をある程度“なかったこと”として進行させるのか、
その勿体無さが歯痒い。この辺に感じられるサムスピへのこだわりも悠紀が崇められた要因だろう。
もっとも、我旺を倒したのは誰か? という部分はさすがにプレイヤーキャラで矛盾するわけだが。
そこは
公式サイトに小説もあるので目を通してみると良いだろう。
しかし、凝っているストーリー上、多数付け加えられた設定……
特にナコリム姉妹に実は血が繋がっていなかった! という展開はあまりにも衝撃が大きく、
一概に受け入れられたとは言い難い部分も幾つかあったりする。
実際、悠紀が考えた後付け設定ではなく、旧SNK時代からの埋没設定も幾つかあったようなのだが、
どうしても、借り物のキャラで何やってんだ! というファン心理は働いてしまうのである。
旧SNKの壁はこんな所でも厚く立ちはだかった。
PlayStation2版
中ボスの萬三九六、黒河内夢路が使用可能になり、
そこへ前述のストーリーラインも搭載されている。
さらに加えて何と言ってもアレンジBGMを選択出来るのが大きい。
零サムはKOF2003の前に発売されているので、
これがPLAYMOREブランド初のアレンジBGM搭載となる。
かねてより音質の劣化は目を覆わんばかりだったし、
そもそも旧SNKは移植に際しては必ずアレンジBGMを搭載していたのだ。
あって当たり前だった物がなくなるというイメージダウンはやはり大きく、
PLAYMORE移植は手抜きだと叫ばれていたこの頃において、
このアレンジBGM搭載というのは果てしなく大きな要素だった。
近代ゲームとは思えないほどロードが多く、長い。SEとBGMの音量バランスが悪い。
一本目負けで二本目負け演出になってしまうキャラがいる等といったところが不満点だが、
この頃にしては充分な良移植だったと評価して良いだろう。
ナコルルの自然の宴アレンジは必聴!
PICKUP
YUKI |
徳川慶寅
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かつて、旧SNKと
パロディを超えた域の闘いを見せたあのマンガ家、
るろうに剣心で知られる和月伸宏氏が新主人公のキャラデザインとして推参してくれた!
トサカのようなちょん髷と、七本の刀を使うというド派手なスタイル、
特にザシュザシュと5ヒットする大斬りのインパクトは充分に主人公の重責を担ってくれたと言えよう。
まぁ、そもそも主人公としての覇王丸のポジションが旧作でも微妙だったというのはあるのだが……
当然、この報は当時、武装錬金連載中の週刊少年ジャンプで大々的に特集を組まれ、
カラーページでサムスピ祭りが行われ…… るようなことは全然なかった。
同じく和月先生デザインの新選組群狼伝は大プッシュだったのに…… 何故!?
結局、ジャンプに載ったサムスピの話題は和月先生の巻末作者コメントだけだった。
“主人公含む3キャラのデザイン”としか公には発表されていなかった事情も鑑みて、
お忍びのお仕事だったりしたのだろうか。
ちなみに、担当の3キャラは徳川慶寅、劉雲飛、兇國日輪守我旺である。
性能的には中撫子が壊れ気味に猛威を振るい、おおいに忌み嫌われることとなった。
ある程度、仕方のない部分かも知れないが、全体的に今作は完全新キャラの調整が甘い。
PICKUP
YUKI |
レラ
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レラ…… レラ!?
レラ!?
ちょっとでもあのゲームやアニメが記憶に残っていたのなら、誰もが驚愕し、
そしてブルブルと震えただろう。
そう、黒歴史であるあの
ナコルル 〜あのひとからのおくりもの〜からのまさかの参戦。
紫ナコルルの派生であるレラが正史に食い込んで来てしまったのだ。
レラ単体では魅力的なキャラだし、批判されるほどのものではないのだが、
ナコファン達が悲鳴を上げたのはむしろ
ヤンタムゥが正史になったのかも知れないことだろう。
レラの登場と共にナコりもの世界が正史にどの程度関わったのか、
あるいはまったく関わっていないのかは現時点では不明だが、
もしかしたら、あの子安声のイケメンボーイも正史のカムイコタンに存在し、
正式にナコルル熱愛疑惑のお相手となったのかも知れないのである。
性能的にはシクルゥを連れた羅刹ナコルルの改変キャラなものの、
デザイン上、全面改訂されているので中ボス勢ほどのコピペ感はない。
ナコりものでレラが好きだった人には素直に嬉しい参戦だろう。
問題はヤンタムゥが正史になったかも知れないことだ。
PICKUP
YUKI |
真鏡名ミナ
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琉球出身、浅黒の肌、そして過剰なまでの露出と、
意図的にナコルルの対極として作られたキャラである。
レラの参戦と零になってさらに幼児化したリムルルの存在もあってのナコ人気拡散が+に作用したのか、
新女性キャラとしてしっかりと立ち位置をキープした。ナコルルが居ながらにしてこれは何気に凄い。
後にいろは旋風を巻き起こすことを考えても、
悠紀の女性キャラデザインはハイレベルと評価して良いだろう。
そして、デザイン以上にその性能が特徴的だ。
その動きを見た者は誰もが一度は使ってみたいと思っただろう。
武器が弓である。弾数無制限で、一人シューティング状態なのである。
しかし当然、対戦格闘としてバランスを取らねばならないので、その分、装甲が紙。
2D格闘単発最大ダメージはミナに怒り爆発剣気MAX斬鋼閃で決まり! 決まりというか、
即死。
う…… ぎゃあああ!!
戦闘中も「おっぱい♪ おっぱい♪」と淫らなボイスで付きまとう(付きまとうだけ)、
チャンプルという生物を連れているのも(邪魔だと)話題を呼んだ。
PICKUP
YUKI |
妖怪腐れ外道
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妖怪だ……(ゴクリ)
一応、旧来のサムスピにも不知火幻庵ら妖怪と呼んで差し支えないキャラは存在していたのだが、
このインパクトは旧来の妖怪キャラの比ではなかった。
当初、このキャラが公式に発表されても僕は自分の目で確かめるまでは
ボーナスステージで斬るボーナス的な生き物だと信じて疑わなかったという思い出がある。
すでに尋常にとは無理な話だ。
こちらはかつてコミカライズも手掛けた内藤泰弘先生のデザインとの話。
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名前の通り、零サムのアッパーヴァージョンである。今度はドリームマッチだ。
何故にサムスピなのに“SPECIAL”か! とそのミスマッチ具合が気になる所だが、
恐らく旧SNKがPSで出したサムライスピリッツ 天草降臨SPECIALに準えたのだろう。
名作、零のバランス調整版なので当然とも言うべきか、 |
僕程度のやり込みでは悪い部分の見当たらない出来である。
次の剣サムで少々ゲーム性が変わったため、
“サムライスピリッツ”としては最高傑作なのは間違いない。
キャラバランスは当然、前作で不評だった剣気ゲージの影響を受け減り過ぎる投げ、
無の境地の調整他色々と、対戦ツールとして非常に質が高い。
ここまで理不尽なく対戦出来るサムスピは他には存在しないと断言出来よう。
NEOGEO最終作となった今作だが、見事に有終の美を飾ってくれたと言えるだろう。
そう、ゲームの出来そのものは……
ルール無用の残虐ファイト
前作、サムライスピリッツ零では過保護なまでに残虐表現が抑えられていた。
両断は当然、初代からの伝統の、血を噴き上げる鮮血KOもなく、
まるで普通の素手格ゲーのようで、爽快感に乏しかったのは間違いないだろう。
個人的には両断はともかく、サムスピの場合、鮮血KOがないとどうにも勝った気がしない。
そこでこの零SPである。
前作の反動か、今作では無慈悲なまでに容赦のない残虐ゲームになってしまった。
普通に斬り技でKOするだけで血は噴くわ横真っ二つに縦真っ二つに返り血ビッショリと、
様々なバリエーションで、ちょっと引くまでの残虐演出の数々が目に飛び込んで来る。
分断された死体が画面上にそのまま残るのがまたエグい。
これは斬天でもあった演出だが、あまりにも凄惨なためナコリムは保護されていた。
しかしこれが今作ではついに解禁!
女子供も真っ二つなのである! さらに幼女になったリムルルが真っ二つ!
それだけならまだ良かった!
今作では対無の境地システムとして、さらなる残虐フィニッシュを演じる絶命奥義なる、
猟奇的なまでの演出技が搭載されているのである。
首斬り破沙羅に絶命奥義を叩き込まれた日には女子供も首両断!
涙を流すナコリムや白目を剥いた閑丸らの生首がコロコロと転がるのである!
うっぎゃあああああ!
この残虐ファイトの数々は当然というべきか批判も生み、
一部ユーザー達、そして皆知ってるあの団体らからのクレームが現実として相次いだそうだ。
そして、NEOGEO最終作として家庭用が発売されようかという間近、かの佐世保事件勃発。
PS2版KOF2002のようなバグが残っていてもそのまま売ったあのPLAYMOREが、
直前で絶命ブロック仕様へとその手間をかけたのである。圧力の程も知れよう。
そう、家庭用NEOGEOROMでは全ての絶命奥義の演出が削除されていたのだ。
それが事前に告知されなかったのがいけなかった。
ユーザー達はROM版零SPが絶命ブロックによる
“非完全版”とも言うべき仕様になっているとは夢にも思わず、そのまま買ってしまったのである。
当然、“アーケードそのまま”が約束だったはずのNEOGEOROM、
しかも最終作がこのような形になったことにユーザー達は怒り爆発。
すでに予約発注がほとんどとなっていたNEOGEOROMのため、
直前での告知が困難だったという事情はあれども、
高額商品だけにこれは懐のダメージも果てしなく大きい。
しかも大急ぎで修正した結果、バグも多数追加されることになり、
ついにはユーザー達から署名運動まで行われるに至った。
その後、PLAYMOREは零SPROMを任意で回収。
当然、残虐演出復活などは有り得ないが、残虐部分のみをカットしたマイルド絶命奥義を搭載。
バグも修正した修正版零SPと交換するという処置を取ることになった。
まだまだ暗黒時代のSNK PLAYMOREとしては、この騒動が創設以来最大の失態と言えるだろう。
以後、零SPはサムスピ最大の名作でありながら、移植もされず、闇に葬られることとなる。
元々NEOGEO終焉が決まっての送別に急遽制作されたような作品で基板の出回りも少なく、
今後も隠れた名作のまま時勢に呑まれて行くのだろう。
(※2017年9月14日 PlayStation4、PlayStation Vitaにて配信開始!)
非常に個人的な話をさせて頂くと、零SPの残虐演出は確かに少々悪趣味が過ぎた。
が、腐れ外道や羅刹丸を惨殺するのは間違いなく爽快だったので、
絶命奥義はともかく鮮血分断は女子供にブロックをかけたうえで搭載してくれればベストに思う。
ここでまた余談だが、ユーザーとの亀裂を致命的なものにしたこの問題、
しかし憤怒の化身と化したサムスピファン達と違い、
KOFユーザーはおおよそ無関心のように見えたのが印象深かった。
どうも同社のシリーズにありながら、今やサムスピとKOFでは派閥が全くと言って良い程異なるらしい。
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